【事例解説】泥酔した女性に対する不同意性行等罪の疑いで逮捕

2024-03-11

泥酔した女性の同意を得ることなく性行したとして不同意性行等罪の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・事件概要

東京都新宿警察署は、都内の専門学校に通う男子学生不同意性交等罪の疑いで逮捕した。
男子学生は、友人と入った居酒屋で出会った女性と話をしていく内に好意を抱き、2件目に誘って泥酔した女性を自宅に連れ帰り、同意なく性行為に及んだとされている。
被害にあった女性から被害届を提出された新宿警察署が捜査の上、男を逮捕した。
(フィクションです)

・不同意性交等罪とは

2023年の刑法一部改正により、刑法177条不同意性交等罪を規定しています(出典/e-GOV法令検索)。
不同意性交等罪は、従来の(準)強制性交等罪と強制性交等罪を改正したものです。

同条1項によれば、例えば、アルコールの影響下にあるために(176条1項3号)、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交(中略)をした者は、(中略)5年以上の有期拘禁刑(改正法施行までは「有期懲役」)」を課されることになります。
不同意性行等罪が成立するためには、上記心理状態が、176条1項各号に該当するような行為または事由その他これらに類する行為や事由によって生じていたことが必要です。
176条1項各号に該当する行為・事由としては、暴行若しくは脅迫(1号前段)、アルコールや薬物を摂取した影響下にあること(3号後段)などが規定されています。

本件の被害者は、何件か居酒屋をハシゴしてお酒を飲んだ結果、泥酔していたようです。
したがって、刑法176条1項3号の規定する「アルコール若しくは薬物を摂取させること又はその影響があること」に該当し、性行について同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難だった可能性があります。
男子学生が、仮に、このような状態にあることにに乗じて性行に及んだのあれば、不同意性交等罪が成立する可能性があります。

・有効な同意の有無

サークルの打ち上げや会社の飲み会など、異性とお酒を飲む機会は珍しくありません。
お酒を飲んで、性行について同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難となるかは、その人の体質やどれくらいのお酒を飲んだかによって変わってくるでしょうから、性交の前にお酒を飲んでいたら必ず不同意性交等罪が成立するわけではありません

もっとも、有効な同意ができない状態だったかどうか事後的に判断するのは非常に困難です。
相手方が性行為について同意していたことを証明することは、とても難しいです。
被害者の証言はもちろん重要ではあるものの、それだけで決定的な証拠として事件が処理されるのであれば冤罪のリスクが高まります。

 

・できるだけ早く弁護士に相談を

したがって、冤罪で不同意性交等罪の嫌疑をかけられた場合には、性犯罪やわいせつ事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。

仮に、同意なく性行為に及んだ可能性がある場合には、被害者と示談を成立させることが非常に重要となります。
検察官が起訴するとなった場合には、被害者に精神的負担が生じる可能性もあります。
したがって、被害者との間で示談が成立して当事者間で問題が解決しているのであれば、検察官はあえて起訴せずに不起訴処分することも多いようです。

ただし、示談を焦るあまり、加害者が自ら被害者に接触しようとするのは得策ではありません。
被害者は通常強い処罰感情を有しているでしょうから、交渉に応じてくれない可能性が高いです。
そこで、示談交渉は弁護士に一任されることをおすすめします。
加害者本人と話をすることを頑なに拒絶される方であっても、弁護士に相手であれば交渉に応じてくれることは少なくありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、不同意性行等罪を含む性犯罪・わいせつ事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分を得られる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。