【事例解説】公然わいせつ罪で執行猶予期間中の再犯(後編)
前回に引き続き、公然わいせつ罪の刑の執行猶予期間中に、再度、公然わいせつを行った架空の事件を参考に、執行猶予期間中に再犯した場合の取り扱いとその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
札幌市在住の会社員男性Aは、同市内の公園で陰部を露出しているところを目撃者に通報され、公然わいせつの容疑で逮捕されました。
Aは、2年前に、公共施設で陰部を露出した公然わいせつ罪で、懲役3か月執行猶予3年の判決の言渡しを受けており、本件犯行時において執行猶予期間中でした。
(事例はフィクションです。)
前回の前編では、執行猶予期間中の再犯による執行猶予の取り消し、解説しました。
再度の執行猶予について
執行猶予期間中に更に罪を犯した場合でも、再び執行猶予付き判決が言い渡される場合があります(これを「再度の執行猶予」といいます。)
「再度の執行猶予」がなされた場合は、先に述べた通り、必要的取消しの対象にならないとされます。
再度の執行猶予の要件は、前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予されている者が、(1)1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受ける場合に、(2)情状に特に酌量すべきものがあること、と規定されています(刑法第25条第2項)。
なお、初度の執行猶予の際に保護観察に付されていた場合は、再度の執行猶予を受けることができません(同項但書)。
執行猶予制度の趣旨は、被告人を刑務所に服役させるのではなく、社会内で更生させるという点にあることから、執行猶予期間中に再犯した場合、社会内での更生ができるかについて、より厳しく判断されることになるため、実際に認められる例も限定的とされます。
執行猶予期間中の再犯の刑事弁護
特に、本件Aのように、同一・同種の犯罪での再犯の場合は、社会内での更生が困難であると認定される可能性が高く、再度の執行猶予を得ることは極めて難しいと考えられます。
しかし、端から諦めるのではなく、再度の執行猶予の獲得に繋がり得る事情がないかを検討するため、刑事事件に強い弁護士に一度相談することをお勧めします。
再度の執行猶予を獲得するためには、前件を踏まえてみても、被告人がなお社会内で更生できるという事情を示すことが不可欠と考えられます。
例えば、犯行の動機や態様について前件とは異なる事情、専門機関での治療など前件の際はなかった再犯防止の取組みなどにより「情状に特に酌量すべきものがある」ことを説得的に主張 し、再度の執行猶予を得られる可能性を高める弁護活動を行う余地はあります。
結果として、再度の執行猶予を得ることができなくても、こうした弁護活動は、再犯の量刑を軽くすることにも繋がると考えられます。
まずは弁護士にご相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、様々な刑事事件において、執行猶予や刑の減軽を獲得した実績が豊富にあります。
自身やご家族が、執行猶予期間中に再犯をしてしまい、今後のことでご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。