児童ポルノ製造罪で再逮捕
児童ポルノ製造罪で再逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
Aさんは、自宅に、児童の裸などを記録した児童ポルノ(DVD100枚)を持っていた件で逮捕されました。その後、児童ポルノ所持罪では処分保留のまま釈放されましたが、今度は児童ポルノ製造罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~児童ポルノ法(所持罪)とは~
児童ポルノ法(略称、以下「法」)では、「児童ポルノ」の所持等を禁止しています(法7条各項)。
ちなみに、「児童ポルノ」は、児童の裸などが記録された写真、電磁的記録に係る記録媒体(DVD等)その他の物のことを言います(法2条3項)。
ところで、一概に児童ポルノ所持の罪と言っても、法ではその目的により、異なる罰則を設けています。
すなわち、法7条1項では「自己の性的好奇心を満たす目的」での所持に対し「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に、法7条3項では「児童ポルノの提供目的」での所持に対し「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」に、法7条7項では「児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供する目的」での所持に対し、「5年以下の懲役も若しくは500万円以下の罰金、又は併科」に処す旨定めているのです。
このように、児童ポルノが拡散する恐れのある所持につれて罰則が重くなっていることが分かります。
法が児童の権利の保護を目的としているからです(法1条)。
~処分保留、再逮 ~
Aさんは児童ポルノ単純所持で処分保留となったようです。
処分保留とは文字通り刑事処分が保留されたというだけにすぎませんから、不起訴になったとか、許されたとかいう意味ではありません。
検察官が処分保留にしたということは、それ以上身柄を拘束してまで捜査を継続する必要はないという意思表示とも取れます。
したがって、釈放、つまり身柄拘束を解かれるのが通常です。
ただし、あくまで身柄拘束は、その罪ごと、事件ごとに行われるというのが現在の実務です(これを事件単位の原則といいます)。
つまり、A罪で釈放となった場合でも、B罪で再逮捕、再勾留されるおそれがあります。
再逮捕の場合、被疑者の逃亡等を阻止するため、釈放手続き中に逮捕状を持った刑事が待ち構えていて、釈放されるやすぐに逮捕状を被疑者に示し再逮捕するというのが通常のようです。
ただし、身柄拘束が罪ごと、事件ごとに行われるという原則は、釈放、身柄解放の場合にもそのまま当てはまります。
たとえA罪で早期に釈放されなかったからといって、B罪でもそうなるとは限りません。
釈放の可否はあくまで罪ごと、事件ごとに判断されるのです。
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