監護者わいせつ罪と初回接見

2021-05-26

監護者わいせつ罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

兵庫県内に住むAさん(55歳)は、Bさん(10歳)を養女として迎えていました。ある日、Aさんは、Bさんが寝ている間に身体を触るなどのわいせつな行為を行いました。Bさんは、そのことを児童相談所に相談に行ったところ、児童相談所はBさんを保護することにしました。そして、児童相談所から、「養父から性的虐待を受けている少女を保護している」との通報を受けた警察官は、Aさんを監護者わいせつ罪の疑いで逮捕しました。突然Aさんが逮捕されたため、どうすれば良いのかわからなかったAさんの奥さんは弁護士事務所に相談の電話をかけました。
(フィクションです。)

~監護者わいせつ罪~

監護者わいせつ罪は刑法179条に規定されています。

179条
1項 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条の例による。

「第176条の例による」との「第176条」とは「強制わいせつ罪」を指し、「例による」とは法定刑を強制わいせつ罪と同様

6月以上10年以下の懲役

とするという意味です。

「監護者」は法律上の監護権(民法820条)に基づかなくても、事実上現に18歳未満の者を監督し保護する者であれば「監護者」に当たります。反対に、法律上の監護権を有していても、実際に監護している実態がなければ現に監護する者に当たりません。現に監護している実態があるかどうかは、同居の有無や居住状況、指導や身の回りの世話などの生活状況、生活費の負担などの経済的状況、未成年者に対する諸手続の状況などを考慮して判断されます。
(例)
・同居して子供の寝食の世話をして指導・監督している親
・単身赴任して平日は子供との関わりは少ないが、配偶者を介したり電話やメールで指導等をしたり、休日に帰宅して指導等をしている親
・親の再婚相手で、養子縁組している者
・養子縁組していない者であっても、同居し子供の寝食の世話し指導・監督している者

「影響力」とは、監護者が被監護者の生活全般にわたり、衣食住などの経済的な観点や生活上の指導・監督などの精神的な観点から、現に被監督者を監督し、保護することによる生じる影響力とされています。「あることに乗じて」とは、当該影響力が一般的に存在し、当該行為時においてもその影響力を及ぼしている状態でわいせつ行為・性交等をすることをいいます。わいせつ行為をする場面で、特定の影響力が生じるための具体的な行為を行う必要はありません。影響力を及ぼしている状態でわいせつ行為を行ったことで「影響力があることに乗じて」に当たります。

「わいせつな行為」とは、判例によると、行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる行為であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいうとされています。
(例)
・乳房を触る、揉む、舐める
・性器を触る、舐める
・自己の陰茎を性器に押し当てる

~監護者わいせつ罪の弁護活動~

監護者わいせつ罪・監護者性交等罪は、被害者が同居している18歳未満の者である場合が大半であり、証拠隠滅や、被害者との接触のおそれから、逮捕されるとそのまま身体拘束を受ける可能性は極めて高いです。
そこで、ご家族の方から弁護士に初回接見を依頼してもらうことをおすすめします。

初回接見のメリットは

● 逮捕期間中から接見可能
● 接見の曜日,時間に制限がない
● 立会人が付かない 
● 事件の内容(逮捕・勾留事実)を詳しく知ることができる
● 事件の見通し,対応(弁護方針,弁護活動)を知ることができる
● ご家族等からのご伝言をお伝えすることができる 

等の点があります。
接見後は,依頼者様に接見のご報告をさせていただきます。遠方にお住まいの方であれば電話によるご報告も可能です。その後,ご希望であれば正式な契約を結ばさせていただきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずはお気軽に0120-631-881までご連絡いただければと思います。専門のスタッフが初回接見のためのご案内をさせていただきます。