国選弁護人から私選弁護人へ乗り換えを検討
今回は、強制わいせつ事件の弁護人の乗り換えについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、数件の強制わいせつ罪の疑いで神奈川県川崎警察署に逮捕・勾留されています。
Aさんには国選弁護人がついていますが、Aさんの要望に対しても消極的で、あまり接見にも来てもらえていない気がしています。
これを聞いたAさんの両親は「私選弁護人」という制度を知りました。
Aさんの両親は、Aさんが国選弁護人の仕事に不満を漏らしていたことを知っていたので、私選弁護人に乗り換えることを検討しています。(フィクションです)
~強制わいせつ罪とは?~
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をする犯罪です。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした場合には、暴行・脅迫によらなくても、また、被害者の同意があったとしても、強制わいせつ罪が成立します(刑法第176条)。
法定刑は6月以上10年以下の懲役となっており、有罪の場合は、必ず懲役刑が言い渡されます。
したがって、懲役刑の執行が猶予されない場合は、刑務所に入らなければなりません。
執行猶予付き判決の獲得のためには、起訴前、起訴後ともに、入念な弁護活動が必要です。
~刑事手続の概略~
逮捕されてしまった場合は、警察署に引致された後、犯罪事実の要旨、弁護人選任権について説明を受け、弁解を録取されます。
ケースの場合、複数の強制わいせつ事件が嫌疑となっているため、1つの事件についての捜査を終え、釈放された後に、別の件で再び逮捕されてしまう可能性もあります。
~検察への送致~
取調べ後、留置の必要が認められると、警察は逮捕時から48時間以内にAさんを検察へ送致します。
検察では、身柄を受け取った時から24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するか、あるいは起訴するかを決定します。
~勾留の判断~
Aさんの勾留の可否は裁判官が判断します。
勾留請求を受けた裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
Aさんの刑事手続は、この時点に当たります。
さらにやむを得ない事由があると認められると、最長10日間、勾留が延長されます。
~国選弁護人と私選弁護人~
(国選弁護人)
国選弁護人とは、被疑者に勾留決定がなされている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないとき、その請求により、国が付する弁護士です。
原則として弁護士費用は無料で(※)、身柄解放活動、被害者との示談交渉を行うことができます。
しかし、あまり事件解決に熱心でない弁護士がいるとの話を聞くこともあります。
また、付けられる弁護士は必ずしも刑事事件が得意とは限りません。
後者は運の問題ではありますが、前者については、国選弁護人に対して支払われる報酬の額に問題がありそうです。
(※)原則として弁護士費用は無料ですが、被告人に執行猶予付き判決がなされ、再就職の見込みもある、というケースにおいては、弁護士費用の支払いを求められる場合もあります。
(私選弁護人)
文字通り、被疑者サイドで選任する弁護士です。
国選弁護人は基本的にランダムで付けられるので、必ずしも刑事事件が得意な弁護士が付くとは限りませんが、私選弁護人の場合は、当該弁護士の得意分野、弁護士との相性などを考慮した上で、自由に選ぶことができます。
また、弁護士も事件解決を見越した弁護士費用を提示するので、熱心に弁護活動を行ってもらえることが期待できます。
国選弁護人の働きに不満がある場合は、自身の経済的事情を考慮しつつ、乗り換えを検討することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が国選弁護人の活動に不満を感じておられる場合は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。