監護者わいせつ罪で事情聴取

2019-03-03

監護者わいせつ罪で事情聴取

事例:Aは、同居している妻Bの連れ子であるV(15歳)に対し、わいせつな行為をした疑いを持たれている。
Vの被害の訴えを受けて、埼玉県蕨警察署の警察官は、Aを監護者わいせつ罪の疑いで後日任意で事情聴取する予定である。
Aは、性犯罪事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~刑法の性犯罪規定における新類型(監護者わいせつ(性交等)罪)~

刑法は平成29年改正に伴い、新たに刑法179条において新たな類型の性犯罪を処罰する旨の規定を定めました。
179条は1項において、「18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条の例による」とし、監護者わいせつ罪を定めました。
ちなみに、2項では「18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第177条の例による」とし、監護者性交等罪を定めています。
これらはそれぞれ、176条の強制わいせつ罪における「わいせつ」行為、177条の強制性交等罪(旧強姦罪)における「性交等(旧姦淫)」行為に対応し、本件では前者のわいせつ行為が問題となっています。

そもそもの前提として、なぜ刑法において監護者わいせつ罪、看護者性交等罪という規定を新たに創設する必要があったのでしょうか。
それは、13歳以上18歳未満の者に対して、「暴行又は脅迫」という手段は用いられていないものの、被害者が逆らえない立場を利用して「わいせつ」行為や「性交等(旧姦淫)」行為に及んだ場合もまたその悪質性において、強制わいせつ罪や強制性交等罪(旧強姦罪)とかわるところがないと考えられるためです。
したがって、実親や養親等の「監護者」が、その「影響力があることに乗じて」「わいせつ」行為をした場合には、監護者わいせつ罪の成否が問題となるのです。

また、「わいせつ」行為該当性に関しては、近年の最高裁判例(最大判平成29・11・29)が重要です。
最高裁は、わいせつ行為には、犯人の性欲を刺激興奮させ又は満足させるという性的意図が必要であるという判例法理を変更し、わいせつ行為に該当するというためには性的意図は必ずしも必要ないと判示しました。
したがって、本件でもAのVに対する行為が、「わいせつ」行為に該当するかどうかは弁護上も極めて重要な事項といえます。
なお、上述した平成29年の改正刑法により新設された本罪も、親告罪とはされていないことに注意が必要です。

~監護者わいせつ罪における弁護活動~

本件のような家族や身内に対する犯罪であっても、Aには身に覚えのない行為つまり冤罪である可能性は一概には否定できません。
したがって、弁護士としては、臆断を持つことなくまずは相談者の声に十分に耳を傾けることが重要です。
また仮に、監護者わいせつ罪で逮捕や送検されてしまうと、相手が家族あるいは身内ということもあり、示談を行うことが難しくなるとも考えられます。
そして、そもそも事実上家族関係の維持等が困難になることも考えられるため、被疑者・被害者双方への配慮が不可欠です。
このように、監護者わいせつ(性交等)事件においては、他の性犯罪とは異なる対応が求められる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、監護者わいせつ罪を含む性犯罪に強い刑事事件専門の法律事務所です。
本件のように新設された犯罪に関しては、特に性犯罪事件を多く取り扱う弁護士に相談することが何よりも肝要です。
監護者わいせつ事件でお困りの方は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)にまずはご連絡ください。
埼玉県蕨警察署への初回接見費用:37,300円