準強制性交等罪(旧準強姦罪)で逮捕・示談

2019-02-21

準強制性交等罪(旧準強姦罪)で逮捕・示談

事例:AはVを飲食店に誘い出し、ともに飲食に興じていたが、Vが席を離れた隙にVの飲み物に睡眠薬を投入した。
これを飲んだVは、もうろうとした状態となり、Aはこれを利用しVをホテルに連れ込み、やがて睡眠状態に陥ったVに性交した。
兵庫県長田警察署の警察官は、Aを準強制性交等罪(旧準強姦罪)の疑いで逮捕した。
Aの家族は、性犯罪事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~準強制性交等罪(旧準強姦罪)~

本件では、Aは準強制性交等罪(旧準強姦罪)の疑いで逮捕されていますが、これはいかなる罪なのでしょうか。
刑法178条2項は、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による」と規定しています。
ここにいう「前条の例による」とは、前条(刑法177条)である強制性交等罪(旧強姦罪)と同じく「5年以上の有期懲役」に処される可能性があることを意味します。

準強制性交等罪(旧準強姦罪)にいう「心神喪失」とは、いわゆる刑法39条1項の責任無能力の規定とは異なるものです。
ここにいう「心身喪失」とは、失神、睡眠、泥酔等により性的活動に関する正常な判断をなしえない状態をいいます。
まさに本件は、睡眠薬により睡眠状態に陥っているのであり、被害者Vの「心神喪失」に乗じて「性交等」をしたといえ、準強制性交等罪(旧準強姦罪)の罪責が問われ得ることになります。
刑法改正に伴い強姦罪・準強姦罪の実行行為である「姦淫」は「性交等(性交、肛門性交又は口腔性交)」に改められたことから、必ずしも直接的な性行為に及んでいない場合も本罪の適用があることになります。

なお、もし上記行為により被害者に怪我を負わせてしまった場合は、準強制性交等致傷罪(旧準強姦致傷罪)として、刑法181条2項により「無期又は6年以上の懲役」が法定刑となり、極めて重く処罰される可能性があることに注意が必要です。

~性犯罪の非親告罪化と刑事弁護~

2017年に改正施行された刑法により、いわゆる性犯罪の規定が非親告罪となり、被害者の告訴がなくとも検察官が起訴することが可能になりました。
このような非親告罪化に関しては、昨今の性犯罪事件の報道等により一般国民にもよく知られるようになってきています。
しかし、この非親告罪化に関しては、示談の有効性等に関し誤った理解が流布している状況にあり、ここでその趣旨を今一度確認すべきでしょう。

刑法典における性犯罪規定の非親告罪化の趣旨は、性犯罪が親告罪であることがむしろ被害者の負担になると考えられたことによります。
つまり、告訴することによって加害者から報復を受けるのではないかといった精神的苦痛から被害者を解放することに主眼があるのです。
したがって、非親告罪となった性犯罪においても、検察官の処分(起訴・不起訴等の判断)にあたっては、被害者の意思・処罰感情が十分に配慮する必要があることに変わりはありません。
よって、非親告罪化した後の準強制性交等罪(旧準強姦罪)等の性犯罪においても、被害者との示談の成立は、依然として被疑者の刑事処分に大きな影響力を有することになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪事件を含む刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
被害者との示談交渉を含めて、これまで多数の性犯罪事件の弁護活動を手がけてきた弁護士が依頼者のご要望にお応えいたします。
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