【事例解説】児童買春と淫行条例違反

2023-07-06

 児童買春と淫行条例違反の成立する事例とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

<事例1>
福岡市在住の成人の自営業男性A1は、SNSで知り合った17歳の女子児童V1に対し、現金3万円を渡すことを約束の上、福岡市内のホテルで性行為を行った。

<事例2>
大阪市在住の成人の会社員男性A2は、出張先の福岡県の飲食店で知り合った17歳の女子児童V2と、福岡市内のホテルで性行為を行った。なお、A2からV2に対し、金品等の供与やその約束は一切なされていない。

(上記いずれの事例も、フィクションです。)

児童買春とは

 「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(児童買春・児童ポルノ規制法)第2条において、「児童買春」とは、(1)児童(18歳未満の者)等に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、(2)児童に対し性交等をすること、と定められています。

 「対償」は、必ずしも金銭に限らず、アクセサリーや食事などでも、性交等の見返りとして与えるものであれば該当し得ます。なお、供与する相手方は、児童本人のほか、買春の周旋者や保護者等も対象です。
 「性交等」は、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童に自己の性器等(性器、肛門又は乳首)を触らせる行為も含みます。

 事例1でのA1の行為は、上記要件(1)及び(2)を満たすため、児童買春の罪が成立し得ます。
 児童買春で有罪となった場合、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

淫行条例違反とは

 福岡県青少年健全育成条例(淫行条例)第31条は、青少年(18歳未満の者)に対し、淫行又はわいせつな行為をしてはならない、と定めています。

 判例によると、「淫行」とは、(ア)青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交等、又は(イ)青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交等、と解釈されています。

 児童買春と異なり、対償の供与は要件にないため、事例2でのA2の行為は、淫行条例違反が成立し得ます。
 淫行条例違反で有罪となった場合、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

児童買春と淫行条例違反の刑事弁護

 法定刑の違いのとおり、児童買春の方が淫行条例違反より罪が重くなり、実刑判決となる割合も高い傾向にあります。
 
 両罪とも、児童に対する性的搾取の防止という社会的法益を侵害する罪とされるため、被害者との示談が成立したとしても不起訴処分を得られるとは限りませんが、示談の成否は、起訴の判断のみならず起訴された場合の量刑判断にも影響を及ぼすため、被害者との示談を成立させることは重要です。

 なお、被害者は未成年者のため、通常、示談交渉は両親等の保護者と行うこととなりますが、保護者が子の被害に憤慨するなど感情的になり、被害者本人との示談交渉の場合よりも難航するおそれがあるため、刑事事件に強く、示談交渉の経験の豊富な弁護士への相談をお勧めします。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、示談成立による不起訴処分刑の減軽を獲得している実績が数多くあります。
 児童買春事件淫行条例違反事件で自身やご家族が加害者となりご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。