【事例解説】わいせつ目的で小学生の女の子をトイレに連れ込み(後編)
遊園地で家族と一緒に遊びにきていた小学生を、わいせつ目的でトイレに連れ込んだとして、わいせつ誘拐罪等で男が逮捕された事件(事件)について、前編・中編・後編に分けて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
・事例
東京都中央警察署は、家族と一緒にショッピングモールに来ていた小学生V(10)の女の子に対して、わいせつな行為をしようとしたとして、都内の会社員の男性A(29)をわいせつ誘拐罪の容疑で逮捕した。
Aは、ショッピングモールにて家族とはぐれ一人で歩いていたVに声をかけ、お母さんが待っている場所に連れて行ってあげると嘘をついてVを人気の少ないトイレに連れ込んだとされている。
トイレの中に入ってAが鍵をかけたところ、Vが「お母さんはどこ」と泣き始めたのをみて、Aはかわいそうに思いVをトイレから出してあげることにした。
歩き回って両親のもとに戻ったVが、知らない人(A)にトイレに連れ込まれたことを告げたところ、両親が被害届を出したため、防犯カメラからAが特定され逮捕されるに至った。
(フィクションです)
・不同意わいせつ罪における弁護活動
不同意わいせつ罪は被害者のいる犯罪ですから、被害者との間で示談を成立させることができるかどうかが重要になってきます。
示談が成立すれば不起訴処分を得ることができるかもしれませんし、仮に起訴されたとしても刑が減刑されたり執行猶予がついたりする可能性があるからです。
ここで注意したいのは、示談交渉のため加害者自ら被害者(の両親)に直接連絡をとることは得策ではないということです。
本件では、被害者は未成年であるため、示談交渉の相手方は親権者である両親になります。
そして、Vの両親からすれば、Aは大切な子供にわいせつ行為をしようとしてトイレに連れ込んだ張本人なわけです。
当然Aに対して、強い処罰感情を有していると考えられますから、連絡を取ることすら拒絶されかねません。
そこで、示談交渉は法律のプロである弁護士に一任されることをおすすめします。
加害者と連絡をとることを拒絶される被害者であっても、弁護士相手であれば交渉に応じてくれることは少なくありません。