【事件解説】中学生に対するわいせつ目的面会要求容疑で警察の取調べ

2023-09-14

 14歳の中学生の少女に、金銭を支払う約束をして、わいせつ行為をする目的で面会を要求したとして、わいせつ目的面会要求の容疑で警察の取調べを受けた事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事件概要

 中学3年生の少女V(14歳)に金銭を支払う約束をして、わいせつ行為をする目的で面会を要求したとして、埼玉県川口市の男性A(33歳)がわいせつ目的面会要求の容疑で、警察の取調べを受けました。
 Vの母親の通報により面会前に事件が発覚したものであり、埼玉県川口警察署の調べによると、Aは「SNSでVのアカウントを見つけ、中学生だと知りながらメッセージを送った」と、わいせつ目的面会要求の容疑を認めているとのことです。
(実際の事件に基づき作成したフィクションです。)

わいせつ目的面会要求罪とは

 わいせつ目的面会要求等罪(刑法第182条)は、令和5年の性犯罪規定に関する刑法改正によって、新たに創設された犯罪です。令和5年7月13日から施行されました。

 16歳未満の人は、性的行為に関する自由な意思決定の前提となる能力が不十分なため、性犯罪の被害に遭う危険性が高いことから、16歳未満の人が性被害に遭うのを防止するため、実際の性犯罪に至る前の段階であっても、性被害に遭う危険性のない保護された状態を侵害する危険を生じさせたり、これを現に侵害する行為(いわゆる性的グルーミングなど)を新たに処罰することとされました。

 わいせつ目的面会要求とは、16歳未満の者に対してわいせつの目的で、威迫、偽計、利益供与等の不当な手段(同条1項1~3号)を用いて、面会を要求する行為とされています(ただし、13歳以上16歳未満の者に対する行為については、行為者が5歳以上年長の者である場合に限ります。)。

 本件Aの行為は、「金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をして面会を要求すること。」(同条1項3号)に該当するものであり、AはVより5歳以上年長の者であるため、Aにわいせつ目的面会要求罪が成立し得ると考えられます。

 わいせつ目的面会要求罪の法定刑は、1年以下の拘禁刑(施行されるまでは「懲役」)又は50万円以下の罰金と規定されていますが、実際に面会をした場合は、刑罰が加重され、2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金となります。
 なお、面会の上、実際にわいせつ行為に及んだ場合には、別途不同意わいせつ罪が成立することとなります。

わいせつ目的面会要求事件の刑事弁護

 わいせつ目的面会要求罪は新たに創設された犯罪ではありますが、罪を認める場合であれば、他の性犯罪と同様、被害者との示談を成立させることが、不起訴処分や刑の減軽を得るために重要であることに変わりないと考えられます。

 被害者が未成年者のため、通常、示談交渉は両親等の保護者と行うこととなりますが、加害者に氏名や電話番号等の個人情報を知られないために、弁護士が間に入らないと示談交渉することができない場合が多いです。
 また、保護者が子の被害に対する怒りや悲しみなどで感情的になり、被害者本人との示談交渉の場合よりも難航するおそれがあるため、刑事事件に強く、示談交渉の経験の豊富な弁護士への相談をお勧めします。

 示談金の支払いと併せて、被害児童と今後一切接触しないことを誓約することにより、示談書に「刑事処罰まで求めない」旨の宥恕条項を入れてもらうことができれば、不起訴処分等を得られる可能性を高めることが期待できます。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、未成年の児童が被害者である様々な性犯罪において、示談成立による不起訴処分等を獲得している実績が多数あります。

 わいせつ目的面会要求の容疑で自身やご家族が警察の取調べを受けるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。