【事例解説】女性につきまといストーカー規制法違反で逮捕(前編)
恋愛感情を抱いた女性に対してストーカー行為を行ったことによって、ストーカー規制法違反の疑いで捜査されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
北海道札幌市に住むAは、自身が恋愛感情を抱いていた、レストランで働く20代の女性Vに対し、勤務終了後などに2カ月間のうちに5回にわたりつきまとい、繰り返しVの行動を盗撮するなど、ストーカー行為をした疑いが持たれています。
今回、警察署から、ストーカー規制法に基づく「警告」を受けました。
(フィクションです)
【ストーカー行為】
ストーカー規制法(出典/e-GOV法令検索)では、ストーカー行為を「つきまとい等」や、承諾なく相手方の位置情報を取得する行為などの「位置情報無承諾取得等」を反復して行う行為として規定しています(2条4項)。
前者の「つきまとい等」については、以下に例示する8つの行為のうち、いずれかの行為を「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で、「当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者」に対して行うことをいいます(2条1項柱書)。
1.つきまとい・待ち伏せ・立ちふさがり・見張り・押しかけ・うろつき行為(同項1号)
2.監視していると思わせるような事項を告げ、又は知りうる状態に置く行為(同項2号)
3.面会・交際等義務のないことの要求(同項3号)
4.著しく粗野又は乱暴な言動(同項4号)
5.無言電話・電話拒否後の連続した電話・文書送付・FAX送信・電子メールの送信等の行為(同項5号)
6.汚物などの送付(同項6号)
7.名誉を害する事項を告げ、又はその知りうる状態に置く行為(同項7号)
8.性的羞恥心を侵害する事項を告げる等行為(同項8号)
なお、上記1から4までの行為と、5のうち電子メールの送信等の行為については、「身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に」という限定が付いています(2条4項)。
事例では、Aは、恋愛感情に基づいて被害者のVに対して過去6回つきまとい行為を行い、盗撮等の行動の自由や平穏を害するような方法で2条1項1号の「つきまとい」を行っているので、身体の安全が害されるような方法により行われたとして、「ストーカー行為」に当たる可能性があります。
ストーカー行為を行うと、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられることになります(18条)。