わいせつ目的誘拐・監禁罪
わいせつ目的誘拐罪と監禁罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
大阪府内に住むアルバイト男性Aはドライブしていたところ、好みの女性Vを見かけたため、「遊びに行こうよ」と声をかけ、Vを自分の車に乗せて様々な場所に連れ出し、また、車中にてホテルに誘うなどの働きかけを行いました。
その後、恐怖を感じたVがドライブ途中の飲食店のトイレから110番通報したため、Aはパトカーにより駆けつけた警察官にわいせつ目的誘拐罪、監禁罪の疑いで逮捕されました。
(フィクションです。)
~わいせつ目的誘拐罪~
わいせつ目的誘拐罪は刑法225条に規定されています。
(営利目的等略取及び誘拐)
第二百二十五条 営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
「略取」とは、暴行または脅迫を手段として、他人の意思に反し、その生活環境から離脱させ、自己または第三者の事実的支配の下に置く行為を言います(判例)。
ここで言う「脅迫」とは、畏怖心を生じさせる目的で他人に害悪を告知する一切の場合を言い、必ずしも反抗を抑圧するに足りる程度の者である必要はないとされています。
また、「誘拐」とは、詐欺または誘惑の手段によって他人の自己の実力的支配下に置き、その居所を移させる場合に成立し、甘言によって人を惑わし判断を誤らせることは誘惑に当たるとされています(判例)。
~監禁罪~
監禁罪は刑法220条に規定されています。
(監禁)
第二百二十条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
「監禁」とは、人が一定の区域内から脱出することが不可能又は著しく困難にすることをいいます。そして、監禁といえるためには、被監禁者の自由の拘束が完全なものであることを要しないとされています。したがって、一応、脱出の方法がないわけではないけれども、生命・身体の危険を冒すか、又は常軌を脱した非常手段を講じなければ脱出できないような場合であれば監禁といえます。また、監禁罪の監禁は「不法」であることが必要です。したがって、正当な監禁は違法ではなく処罰されません。不法かどうかは、社会通念に従って判断されます。
では、監禁と逮捕にはどのような違いがあるのでしょうか??
この点、逮捕とは、例えば、人の身体を縄で縛るなど、人の身体を直接的に拘束することで人の行動の自由を奪うことをいいます。他方、監禁とは、例えば、走行する自動車に乗せる行為など、一定の場所からの脱出を不可能にしたり、著しく困難にすることをいいます。そして、監禁には、物理的に脱出を困難することだけでなく、心理的に脱出を困難にすることも含むとされています。
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監禁罪などの疑いがかけられると、悪質であるなどとして逮捕される可能性が高いです。
そこから人を死傷させた場合は逮捕監禁致死傷罪が成立しますが、その場合はなおさら逮捕の可能性が高いでしょう。
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