【事例解説】執拗に会うことを求めた男性をストーカー規制法違反で逮捕
以前の交際相手に、振られた後も執拗にSNSでメッセージを送るなどした男が、ストーカー規制法違反で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
・事件概要
大阪府北警察署は、以前交際していた相手女性Vに振られた後、相手が嫌がっているにもかかわらず繰り返しSNSで通話をしようとしたりメッセージを送り続けたりしたほか、相手女性の自宅付近で待ち伏せを繰り返した男Aをストーカー規制法違反の容疑で逮捕しました。
北警察署の取調べに対し、男は、「彼女とは長い間付き合っていたので、自分のことをもう一度考え直してもらえればやり直せると思った。連絡が取れなくなったので、直接話をしようと思って自宅の近くで待ってた」と供述しています。
(フィクションです)
・ストーカー規制法違反とは
ストーカー規制法(出典/e-GOV法令検索)は、振られた相手などの特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情や、そういった自身の感情が満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者などに対し、「つきまとい等」をすることを禁じています(同法3条)。
ここでいう「つきまとい等」とは、例えば、相手の自宅や勤務先などで待ち伏せしたり、自分と会って話すことを要求したり、電話しないで欲しいと言われているのにもかかわらず振り返し電話することなどが含まれます(同法2条1項1号、3号、5号)。
このような行為を、同一相手に対し反復して行った場合、「ストーカー行為」となり(同法2条4項)、ストーカー行為をしたものは、一年以下の懲役または百万円以下の罰金に処せられます(同法18条)。
本件でAは、元交際相手に対し、再び恋人になりたいと言う恋愛感情を抱き、その感情を充足する目的で、①相手が嫌がっているにもかかわらず執拗にSNSで通話をしようとしたり、メッセージを送るなどしています(同法2条5号)。
またVからの返事がないことを理由に、V宅に待ち伏せもしたようです(同法2条1号)。
Aのしたこれらの行為は、ストーカー規制法2条が定める「つきまとい等」に当たる可能性がある上、男はこれらの行為を反復して行っていたようですから「ストーカー行為」に当たるとして罪に問われる可能性があります。
・ストーカー規制法違反で逮捕された場合の刑事弁護
ストーカー規制法違反は被害者のいる犯罪ですから、ストーカー規制法違反で逮捕された場合、被害者との間で示談が成立させることができるかが重要となります。
ストーカー規制法違反は、被害者の告訴がなくても起訴される可能性のある非親告罪であるものの、起訴をすれば被害者にとっても大きな負担になるため、被害者の意思を尊重する運用が取られているからです。
したがって、被害者との間で示談が成立していれば、起訴されない可能性が高まります。
もっとも、示談交渉のためとはいえ、加害者本人が直接被害者と連絡を取ろうとすることは得策ではありません。
本件Vは、かつてAと交際していたとはいえ、現在はSNSでの通話やメッセージのやり取りを拒絶されているわけですから、A自ら示談交渉をしようとしても取り合ってもらえない可能性が高いです。
そこで、示談交渉は弁護士に一任されることをおすすめします。