セクハラ
セクハラと刑事事件
⑴ セクハラとは
セクハラ(セクシュアルハラスメント)とは、「性的な嫌がらせ」、すなわち「相手方の意に反する性的な言動への対応により、仕事を行う上で一定の不利益を与えたり、就業条件を悪化させること」をいうとされています。
具体的にどのような行為がセクハラに該当するかについては、
⑴性的な関心、欲求に基づくもの(例えばスリーサイズを聞くなど身体的特徴を話題にすることや、ヌードポスター等を職場に貼ることなど)
⑵性別により差別しようとする意識等に基づくもの(例えば、「男のくせに根性がない」、「女には仕事を任せられない」などと発言すること)など
が考えられます(人事院規則10-10参考)。
⑵ セクハラが刑事事件となる場合とは
セクハラが刑事事件となる場合としては、以下の罪名が考えられます。
ア 不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)(刑法176条)、迷惑防止条例違反
相手方が同意していないことや、同意・不同意の意思を形成表明することが困難な状態であることに乗じて、体に触れるといったようなセクハラについては、触った部位やそのような行為を行った場所等により、不同意わいせつ罪や、各都道府県が定める迷惑防止条例違反に該当する可能性があります。
イ 名誉毀損罪(刑法230条1項)、侮辱罪(刑法231条)、迷惑防止条例違反
公衆の場で、相手方の性に関する事実を大きな声で話す場合には、その発言内容によっては、名誉棄損罪、侮辱罪、各都道府県が定める迷惑防止条例違反となる可能性があります。
ウ ストーカー規制法違反
相手方に対する好意に基づいて、相手方を待ち伏せした場合には、ストーカー規制法違反となる可能性があります。
エ 傷害罪(刑法204条)
相手方に対する執拗な性的嫌がらせにより、相手方が精神障害に罹患した場合には、傷害罪となる可能性があります。
セクハラ事件の対応
1 無罪を主張する場合
身に覚えがないにも関わらず、セクハラに関する刑事事件の容疑を掛けられてしまった場合には、弁護士を通じて、警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対してその旨主張することで、不起訴又は無罪を獲得する余地があります。
セクハラには当たらないことを主張・証明にはポイントがあるところ、効果的な主張・証明を行っていくことは、一般の方には困難と思われます。
この点、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、セクハラ事件など刑罰(刑事責任)が問題になる刑事事件・少年事件を取り扱っており、セクハラ事件の刑事弁護実績が豊富な弁護士が多数在籍しておりますので、適切なアドバイスをすることにより、不起訴・無罪を獲得するためのサポートをさせていただきます。
2 罪を認める場合
⑴ 謝罪、示談
被害者感情が重要視される昨今、セクハラ事件においても、被害者の方と示談することは、重要な弁護活動です。
警察に被害届が提出される前であれば、被害届の提出を阻止し、警察の介入を阻止して事件化を防ぐことができます。
警察に被害届が提出されてしまった後であっても、セクハラ事件においては、示談をすることによって、不起訴を獲得する可能性を高めることができます。
セクハラ事件では、被害弁償や示談の有無及び被害者の処罰感情が行為者の処分に大きく影響することになるので、弁護士を介して迅速で納得のいく示談をすることが重要です。
また、示談をすることで行為者が釈放される可能性もありますので、示談によって行為者の早期の学校復帰・社会復帰を目指すことができます。
⑵ カウンセリング等を受ける
セクハラ事件の加害者のなかには、その背景に自己の性的衝動に対するコントロールに関し、何らかの問題を抱えている場合が多く、そのような場合には、専門家による治療が必要となります。
カウンセリングを受けたり、クリニックに通うことによって、問題を根本から改善する必要があります。