【事例解説】女性に連絡を取り続けた男がストーカー規制法違反で逮捕
交際を申し込んだ相手女性に振られた後に、相手が嫌がっているにもかかわらず、繰り返し電話をかけ自分と会うように要求するなどした男がストーカー規制法違反で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
・事件概要
愛知県西警察署は、交際を申し込んだ相手女性に振られた後に、相手が嫌がっているにもかかわらず、繰り返し電話をかけ自分と会うように要求し、着信拒否されると相手女性の勤務先に待ち伏せるなどした男(29)をストーカー規制法違反の容疑で逮捕しました。
西警察署の取調べに対し、男は、「交際を申し込んだら振られてしまったが、自分のことをもっと知ってもらったら考えが変わるはずなので、とりあえず会って話す必要があると思った。そのために何回か電話をかけたが繋がらなくなったので勤務先に行って会おうと思った」と供述しています。
(フィクションです)
・ストーカー規制法違反とは
ストーカー規制法(出典/e-GOV法令検索)は、振られた相手などの特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情や、そういった自身の感情が満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者などに対し、「つきまとい等」をすることを禁じています(同法3条)。
ここでいう「つきまとい等」とは、例えば、相手の自宅や勤務先などで待ち伏せしたり、自分と会って話すことを要求したり、電話しないで欲しいと言われているのにもかかわらず振り返し電話することなどが含まれます(同法2条1項1号、3号、5号)。
このような行為を、同一相手に対し反復して行った場合、「ストーカー行為」として処罰の対象になる可能性があります。(同法2条4項)
ストーカー規制法18条で、ストーカー行為をしたものは「一年以下の懲役または百万円以下の罰金」と規定されています。
・事例の男のストーカー行為について
本件で男は、自分が好意を抱いている女性に対し、自身の恋愛感情を充足するために、①相手からやめて欲しいと言われているにもかかわらず繰り返し電話をかけ(同法2条5号)、②自分と会って話をすることを要求しています(同法2条)。
そして、相手女性から着信拒否されてしまい電話が繋がらなくなったため、③その勤務先に待ち伏せしたようです(同法2条1号)。
男のしたこれらの行為は、ストーカ規制法の定める「つきまとい等」に当たる可能性がある上、男はこれらの行為を反復して行っていたようですから「ストーカー行為」に当たる可能性があります。
上述の通り、ストーカー行為は、1年以下の懲役または百万円以下の罰金に処せられますが、一定の場合にはさらに刑が加重されることがあります。
本件のような男の行為に対し、警察本部長等は「警告」を(同法4条)、都道府県公安委員会は「禁止命令等」を発することがあり(同法5条)、禁止命令等に違反してストーカー行為をした者は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されることがあります。
・ストーカー規制法違反で逮捕された場合の刑事弁護
ストーカー規制法違反は被害者のいる犯罪ですから、ストーカー規制法違反で逮捕された場合、被害者との間で示談を成立させることができるかが重要となります。
ストーカー規制法違反は、被害者の告訴がなくても起訴される可能性のある非親告罪ですが、起訴をすれば被害者にとっても大きな負担になるため、被害者の意思を尊重する運用が取られています。
したがって、不起訴を目指すためには、被害者との間で示談が成立していることが重要となります。
もっとも、加害者自ら示談交渉のために被害者と接触しようとしても拒絶される可能性が非常に高いです。
そこで、示談交渉の経験豊富な弁護士に示談交渉は一任されることをおすすめします。