未成年の誘拐に関する犯罪

2021-11-24

未成年者の誘拐に関する犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

大阪市内に住むAさんは、自宅近くの通学路において、Vちゃん(9歳女子児童)に対し、「お菓子を買ってあげるからついておいで」などと言い、Vちゃんと手をつないで家に帰り、自宅に招き入れました。その後、Vちゃんの帰りがないことを心配したVちゃんの親が警察に相談。警察が聞き込みを行っていたところ、Vちゃんと手をつないで歩いているAさんを見たとの目撃証言を得たことから、Aさんは未成年者誘拐罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~未成年者誘拐罪~

本罪は刑法224条に規定されています。

刑法224条
 未成年者を略取し、誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

「未成年者」とは20歳未満の者をいいます。
「略取」とは、略取された者の意思に反する方法、すなわち暴行、脅迫を手段とする場合や、誘惑に当たらない場合でしかも相手方の真意に反する方法を手段として、未成年者を自分や第三者の支配下に置くこと、「誘拐」とは、欺罔(騙すこと)や誘惑を手段として、他人を自分や第三者の支配下に置くことをいいます。「誘拐」と「略取」とをあわせて「拐取」ということもあります。
Aさんが「お菓子を買ってあげるからついておいで。」と言い、Vちゃんと手をつないで歩く行為は「誘拐」に当たるでしょう。
本罪は告訴がなければ起訴されない親告罪です。

また、Aさんはわいせつ目的等誘拐罪を疑われる可能性もあります。
本罪は刑法225条に規定されています。

刑法225条
 営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。

今回のようなケースでは未成年を自宅に呼び込み、強制わいせつ罪(刑法176条、6月以上10年以下の懲役)、強制性交等罪(5年以上の有期懲役)などの性犯罪に当たり得る行為をするというケースも散見されます。仮に、そのような行為が疑われた場合は、未成年者誘拐罪ではなく本罪が適用される可能性があります。

本罪は未成年者誘拐罪と異なり親告罪ではありません。

~告訴の取消しなら示談~

前述のとおり、未成年者誘拐罪は告訴がなければ公訴提起(起訴)できない親告罪です(刑法229条)。よって、すでに捜査機関に告訴が提出されている場合、告訴を取消してもらうことによって公訴提起(起訴)及びその後の刑事裁判を回避することができます。告訴を取消してもらうには、未成年者の保護監督者と折り合いがつくまで話し合い、適切な形式、内容で示談する必要が大きいと言えます。

弁護士あいち刑事事件総合法律事務所は,未成年者誘拐罪等をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。被害者側に告訴を取消してもらいたい,起訴を回避したいなどという方,その他でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間,無料法律相談,初回接見サービスを受け付けております。