公然わいせつ罪

公然わいせつ罪の法定刑は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料です(刑法第174条)。

 

公然わいせつ事件の解説

1 公然わいせつ罪とは

公然わいせつ罪は、公然とわいせつな行為をした場合に成立します。

 

2 「公然と」について

「公然と」といえるためには、不特定又は多数の人が認識することのできる状態でわいせつな行為がなされる必要があります。

現実に不特定又は多数の人が認識する必要はなく、その認識の可能性があれば足りることから、不特定の人がいる可能性のある場所(公園など)でわいせつな行為をした場合には、仮にその場に誰もいない場合であっても公然わいせつ罪が成立することになります。

 

3 「わいせつな行為」について

「わいせつな行為」とは、性欲を刺激、興奮又は満足させ、かつ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為をいうとされています。

「わいせつ」という概念は本罪以外の犯罪においても出てくる言葉ですが、犯罪の種類によってわいせつの概念も多少異なる場合があります。

本罪における「わいせつな行為」の具体例としては、陰部を露出する行為や、性交等が考えられます。これに対して、接吻は本罪における「わいせつな行為」には当たらないといわれています。

 

4 公然わいせつ事件等の流れ(令和3年度検察統計年報参照)

刑事事件として処理された公然わいせつ事件等(公然わいせつ事件のほか、わいせつ文書頒布等を含みます。)のうち、行為者が逮捕されたケースは約25%と高くありません。また、逮捕された場合の勾留率は約67%と高いものの、勾留延長される場合は約56%に止まります。

そして、公然わいせつ事件等として処理されたケースの起訴率は約31%とされています。

 

公然わいせつ事件の対応

1 無罪を主張する場合

身に覚えがないにも関わらず、公然わいせつの容疑を掛けられてしまった場合には、弁護士を通じて、警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対してその旨主張することで、不起訴又は無罪を獲得する余地があります。

身に覚えのない公然わいせつの容疑をかけられた場合には、アリバイや真犯人の存在を示す証拠を提出することで、公然わいせつ罪を立証する十分な証拠がないことなどを主張していきます。

もっとも、アリバイの主張・証明にはポイントがあるところ、効果的な主張・証明を行っていくことは、一般の方には困難と思われます。

この点、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、公然わいせつ事件など刑罰(刑事責任)が問題になる刑事事件・少年事件を取り扱っており、公然わいせつ事件の刑事弁護実績が豊富な弁護士が多数在籍しておりますので、適切なアドバイスをすることにより、不起訴・無罪を獲得するためのサポートをさせていただきます。

 

2 罪を認める場合

⑴ 謝罪、示談
公然わいせつ罪は、特定の被害者を観念できないものの、目撃者を実質的な被害者と観念することもできます。

そこで、被害者感情が重要視される昨今、公然わいせつ事件においても、実質的な被害者の方と示談することは、重要な弁護活動です。

警察に被害届が提出される前であれば、被害届の提出を阻止し、警察の介入を阻止して事件化を防ぐことができます。

警察に被害届が提出されてしまった後であっても、公然わいせつ事件においては、示談をすることによって、不起訴を獲得する可能性を高めることができます。

公然わいせつ事件では、被害弁償や示談の有無及び被害者の処罰感情が行為者の処分に影響を与える場合もあるので、弁護士を介して迅速で納得のいく示談をすることが重要です。

また、示談をすることで行為者が釈放される可能性もありますので、示談によって行為者の早期の学校復帰・社会復帰を目指すことができます

ただし、目撃者と示談をしたからといって、不起訴となる可能性が格段に高くなるわけではないので、その点は注意が必要です。

 

⑵ カウンセリング等を受ける
公然わいせつ事件の加害者のなかには、その背景に自己の性的衝動に対するコントロールに関し、何らかの問題を抱えている場合が多く、そのような場合には、専門家による治療が必要となります。

カウンセリングを受けたり、クリニックに通うことによって、問題を根本から改善する必要があります。

 

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