性犯罪の被害者のために

【性犯罪・わいせつ事件の被害者のために】

1 弁護士の代理による性犯罪・わいせつ事件被害の告訴

性犯罪・わいせつ事件被害者にとって、事件の内容を警察等に話すことは、事情聴取の過程で自分のことがあからさまになってしまうリスクを伴うものであり、できれば忘れていたい話したくないと思う被害者も多いようです。また、事件が裁判になってしまえば、もしかすると世間に噂が広がってしまうのではないかという不安もあり、自身の性犯罪・わいせつ事件被害を刑事告訴することに対して、なかなか抵抗感があるものという実情です。

刑法などに規定されている犯罪の中には、「親告罪」とされているものがあります。親告罪とされる犯罪については、被害者による刑事告訴がなければ、警察は捜査を開始することができず、検察は事件を起訴することができません。性犯罪・わいせつ事件のうち親告罪とされているものは、ストーカー規定法違反などです。

これらの犯罪が親告罪とされているのは、女性の名誉やプライバシーを守るためです。

しかし、被害者の立場から見ると、性犯罪・わいせつ事件の加害者に刑事裁判を経て責任を償ってほしいと考えた場合に、被害者自身が刑事告訴をする必要があることになります。

刑事告訴を受理した捜査機関には、捜査を開始し、起訴するか否かの判断を申告者に伝える義務が生じます。多くの事件処理に追われて忙しい警察や検察は、冤罪を引き起こすことのないようにと、犯人が有罪となる見込みが立たない限り、性犯罪・わいせつ事件の刑事告訴を受理したがらない傾向にあります。

性犯罪・わいせつ事件の被害者が弁護士によるサポートを受けることで、弁護士は、性犯罪・わいせつ事件事実を裏付ける客観的事実や証拠を捜査機関に向けて提示し、告訴受理に向けた取り組みをいたします。弁護士のアドバイスのもとで、告訴状に記載する犯罪成立要件となる事情や、その立証のための証拠収集の段取りについて、後の裁判における証明活動の準備をしておき、弁護士の働きかけで捜査機関の関与を促すことにより、刑事裁判の実現に繋げることができると考えられます。

 

2 弁護士の代理による性犯罪・わいせつ事件被害の示談交渉

性犯罪・わいせつ事件の加害者側が示談交渉を申し込んできて、被害者も話し合いで解決したいと考える場合には、被害者自身が加害者側と示談交渉を行うこともできますが、加害者側と直接交渉をしたくない被害者の方は、委託を受けた弁護士が代わりに行います。

加害者が示談を求めてくる主な目的は、①加害者が真摯に反省し被害弁償を尽くして、被害者の被害回復を図るため、②検察官による処分(起訴・不起訴)や裁判官による量刑を軽くするため、です。また、示談により被害弁償が解決したとして、将来民事上の損害賠償請求を防ぐという意味合いもあります。

被害者が示談申し込みを承諾するメリットは、①早期に被害弁償を受けることができること、②示談金の支払い以外にも、「加害者は被害者との接触を禁じる」といったような遵守事項を設けることができること、となります。犯罪被害について民事訴訟を提起し、判決を得るまでには、早くても数か月はかかるところ、示談であれば、示談成立と同時に金銭の受取りが可能です。

示談締結に当たって「被害者との接触禁止」といったような遵守事項を設ける際に、被害者自身による直接交渉の場合には、その遵守事項の内容で本当に今後の被害者の身の安全を確保できるのか、あるいは、加害者側が遵守事項をきちんと守るのかについて、不安が残ることも考えられます。示談書に記載する遵守事項の内容が今後のために十分であるかの検討や、もし加害者が遵守事項を守らなかった場合の対応検討について、豊富な経験に基づく弁護士の代理交渉と、弁護士による示談方針のアドバイスが重要となります。

一方で、被害者が示談申し込みを承諾するデメリットは、①加害者の処分・量刑が軽くなる可能性があること、②示談の条件が被害者の気持ちに沿った内容でなかった場合に、一旦告訴を取り消すと再度告訴できないことや、示談金を総額として受領した場合に、後日、原則としてその金額以上を請求できないこと、となります。

示談には、一般的に「加害者を宥恕する(犯人を許す)」点を含み、また、被害弁償を受け取ると、「被った損害が少しでも回復した」と評価されることになります。また、加害者が示談内容通りの金銭賠償をしなかった場合、当事者間作成の示談書に強制力はないため、改めて民事訴訟を提起する必要が出てくることになります。

ただし、加害者の資力が少ない場合、示談のタイミングを逃すと、その後に、事実上相手方から損害賠償を受けられなくなるおそれがあるので、注意が必要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、性犯罪・わいせつ事件被害に遭われた方からの相談をお待ちしております。刑事事件の経験豊かな弁護士が、相談者様の被害に関する刑事告訴の支援や、示談のための交渉代理など、加害者側の責任を追及していくためのサポートをさせていただきます。

 

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