出会い系サイト規制法違反
出会い系サイト規制法に違反して、児童を性交等の相手方となるように誘引するなどした場合の法定刑は、100万円以下の罰金です(出会い系サイト規制法第33条、第6条各号)。
出会い系サイト規制法違反事件の解説
1 出会い系サイト規制法とは
⑴ はじめに
出会い系サイト規制法とは、出会い系サイトの利用に起因する児童買春その他の犯罪から児童を保護することで児童の健全な育成に資することを目的としており、その内容として出会い系サイト等の運営者・保護者の責務・国及び地方公共団体それぞれの責務が定められています。
⑵ 出会い系サイト(インターネット異性紹介事業)とは
出会い系サイト(インターネット異性紹介事業)とは、異性交際希望者の求めに応じ、その異性交際に関する情報を、インターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれに伝達し、かつ、当該情報の伝達を受けた異性交際希望者が電子メールその他の電気通信(有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けること)を利用して当該情報に係る異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする役務を提供する事業をいいます。
2 出会い系サイト規制法により罰則の対象となる行為について
⑴ 児童を性交等の相手方となるように誘引すること
例:性交渉させてくれる女子高校生、募集中など
なお、性交等とは、性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、他人の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。)を触り、若しくは他人に自己の性器等を触らせることをいうとされています。
また、性交類似行為とは、異性間の性交とその態様を同じくする状況下における又は性交等を模して行われる手淫、口淫行為等をいうとされています。
⑵ 人を児童との性交等の相手方となるように誘引すること
例:誰か、女子高生と性交渉してくれる人、募集中など
⑶ 対償を供与することを示して、児童を異性交際の相手方となるように誘引すること
例:女子高生で一緒に食事してくれる人には、〇万円を援助しますなど
なお、対償とは、現金のみならず、衣服やバッグなどの物、その他の財産上の利益をいいます。
また、異性交際とは、性交を除く面識のない異性との交際をいいます。
⑷ 対償を受けることを示して、人を児童との異性交際の相手方となるように誘引すること
例:女子高生が一緒にカラオケ行くから、〇万円援助してくれる人募集中など
3 出会い系サイト規制法違反事件の検挙状況(警察庁 広報資料参照)
平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 | |
法第6条(禁止誘引違反) | 451 | 360 | 337 | 278 |
児童による誘引 | 273 | 252 | 185 | 152 |
出会い系サイト規制法違反事件の対応
1 無罪を主張する場合
身に覚えがないにも関わらず、出会い系サイト規制法違反の容疑を掛けられてしまった場合(第三者により勝手に携帯電話機を使用されるなどして、出会い系サイトを利用された場合など)には、弁護士を通じて、警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対してその旨主張することで、不起訴又は無罪を獲得する余地があります。
第三者により勝手に携帯電話機を使用されるなどして、出会い系サイトを利用されたことを主張する場合には、そのような状況であったことを推認できる客観的な証拠、事情を捜査機関に主張していくこととなります。
もっとも、このような主張・証明にはポイントがあるところ、効果的な主張・証明を行っていくことは、一般の方には困難と思われます。
この点、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、出会い系サイト規制法違反事件など刑罰(刑事責任)が問題になる刑事事件・少年事件を取り扱っており、出会い系サイト規制法違反事件の刑事弁護実績が豊富な弁護士が多数在籍しておりますので、適切なアドバイスをすることにより、不起訴・無罪を獲得するためのサポートをさせていただきます。
2 罪を認める場合
⑴ 謝罪、示談
出会い系サイト規制法は、特定の被害者を想定したものではなく、社会一般の児童を保護するためのものであることから、特定の被害者を観念できないものの、当該行為の相手方を実質的な被害者と観念することができます。
そこで、被害者感情が重要視される昨今、出会い系サイト規制法違反事件においても、実質的な被害者の方と示談することは、重要な弁護活動です。
また、示談をすることで行為者が釈放される可能性もありますので、示談によって行為者の早期の学校復帰・社会復帰を目指すことができます。
⑵ カウンセリング等を受ける
出会い系サイト規制法違反事件の加害者のなかには、その背景に自己の性的衝動に対するコントロールに関し、何らかの問題を抱えている場合が多く、そのような場合には、専門家による治療が必要となります。
カウンセリングを受けたり、クリニックに通うことによって、問題を根本から改善する必要があります。