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【事件解説】女性用浴場に侵入し建造物侵入罪で逮捕 否認事件の弁護活動
入浴施設の女性用浴場に侵入したとして、建造物侵入の容疑で逮捕された事件を参考に、建造物侵入罪の成立と故意を否認する事件の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事件概要
入浴施設の女性用浴場に侵入したとして、静岡市在住の会社員男性Aが、建造物侵入の容疑で逮捕されました。
静岡県中央警察署の調べによると、女性客から「男が入ってきた」と相談を受けた従業員が、女性用浴場でAを取り押さえ、警察に通報したとのことです。
Aは、「女性用浴場に入った事実は認めるが、男性用浴場と間違えて入ってしまった」などと供述し、容疑を一部否認しているとのことです。
(実際の事件に基づき作成したフィクションです。)
建造物侵入罪とは
正当な理由がないのに、人の看守する建造物に侵入した場合は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する、とされています(刑法第130条)
「建造物」とは、住居、邸宅以外の建物一般を指します。入浴施設は、人(施設の管理人)が看守している「建造物」にあたるといえます。
建造物侵入罪における「侵入」とは、建造物の管理権者の意思に反して立ち入ることとされ、入浴施設の女性用浴場に男性が立ち入ることは、通常、施設の管理人の意思に反するものと考えられます。
故意を否認する事件の刑事弁護
刑法第38条第1項で、罪を犯す意思がない行為は、法律に特別の規定がある場合を除いて罰しない、と規定されています。
「罪を犯す意思」は「故意」とも呼ばれ、犯罪事実を認識・認容しているときに故意があるとされます。故意がない場合、外形的には犯罪の構成要件に該当する行為を行った場合であっても、過失犯処罰規定などの特別の規定がない限り、罰せられないこととなります。
本件Aは、女性用浴場に男性用浴場と間違って入ったと供述しており、これは、入浴施設の管理人の意思に反する立ち入りという、建造物侵入罪における「侵入」を行うことの認識・認容、即ち故意がなかったという主張になります。
建造物侵入罪には、過失犯処罰規定などの特別の規定がないため、故意が認定されなければ、Aは罰せられないことになります。
故意を否認する事件の場合、弁護活動としては、被疑者の主張に合理性が認められるよう、被疑者や家族、関係者などから、被疑者の生活状況や事件の経緯などを聴き取ったり、客観的な証拠を収集したりした上で、嫌疑不十分による不起訴処分を目指すことが考えられます。
本件でいえば、Aの入浴施設の利用状況・回数、女性用浴場と男性用浴場の入れ替えの有無や表示の仕方、利用客の多寡、取り押さえられた際のAの様子などの諸般の事情から、男性用浴場と間違って女性用浴場に入ったというAの供述が不合理でなく、故意が認められるか疑わしいことを、検察官に対して、意見書などで的確に主張する必要があると考えられます。
なお、このような否認事件の場合は、逮捕後に勾留されて、身体拘束が長期化することや、捜査機関による取調べが厳しくなる可能性が高くなることが考えられるため、逮捕後早い段階で、刑事事件に強い弁護士に依頼し、身体拘束からの解放に向けた弁護活動を行ってもらうことや、取調べ対応についてのアドバイスを受けることをお勧めします。
まずは弁護士にご相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、否認事件において、嫌疑不十分による不起訴処分や無罪判決を獲得している実績があります。
建造物侵入の容疑でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
【事件解説】元交際相手に復縁を迫り、ストーカー規制法違反で逮捕
元交際相手の女性に復縁を迫り、待ち伏せや連続で電話をかけるなどしたとして、ストーカー規制法違反の容疑で逮捕された事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事件概要
元交際相手の20代の女性Vに復縁を迫り、待ち伏せや連続で電話をかけるなどしたとして、長野県松本市の男性A(33歳)がストーカー規制法違反の容疑で逮捕されました。
長野県松本警察署の調べによると、Aは、元交際相手のVに復縁を迫るため、Vの勤務先の近くで待ち伏せをしたり、着信拒否にもかかわらず連続で電話をかけるなどのストーカー行為をした疑いです。Aは、ストーカー規制法違反の容疑を認めています。
(実際の事件に基づき作成したフィクションです。)
ストーカー規制法違反とは
「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(「ストーカー規制法」)では、特定の者に対する「恋愛感情」等や、それが満たされなかったことに対する「怨恨の感情」を充足する目的で、特定の者やその関係者に対し、「つきまとい等」を行うことを禁じています。
「つきまとい等」にあたる行為として、本件AがVに対して行った「待ち伏せ」や「拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかける」行為が含まれます(同法2条1項)。
同一の相手に対して、「つきまとい等」を反復することを「ストーカー行為」とし、ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する、とされています(同法2条4項、18条)。
被害者から警察への相談・申出により、警察から「つきまとい等」をした者に対して、「つきまとい等」を止めるよう「警告」が発せられることもありますが、行為の悪質性などから、被害者への接触を禁止した上で捜査を行う必要性が高いとして、警告のないまま逮捕される場合もあります。
なお、警告に反して「つきまとい等」を続ける者に対しては、都道府県公安委員会は「禁止命令等」を発することができるとされ、「禁止命令等」に違反してストーカー行為をした者は、刑が加重され、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金が科される可能性があります。
ストーカー規制法違反事件の刑事弁護
本件のように、ストーカー規制法違反で逮捕され身体拘束された場合、弁護活動としては、加害者が被害者と接触しないための具体的な措置を講じたことなどを検察官や裁判官に主張し、身体拘束からの解放を目指します。
また、ストーカー規制法違反は、被害者との示談の成立を目指すことも重要な弁護活動だと考えられます。
ストーカー規制法違反は、被害者の告訴がなくとも検察官の判断で起訴できる罪(非親告罪)となりましたが、実務上の運用は、被害者の意思を尊重し、プライバシー侵害が生じないように配慮する観点から、被害者との示談が成立することにより、検察官が起訴することなく事件が終了する可能性を高められると考えられるためです。
しかしながら、事件の性質上、被害者が加害者との直接の示談交渉を拒む可能性は極めて高く、警告や禁止命令等が発せられている場合であれば、加害者が直接示談交渉を申し入れたりすること自体がストーカー行為の一環とみなされてしまう恐れもあるため、身体拘束されている場合はもとより、そうでない場合でも、示談交渉は弁護士に依頼して行う必要性が高いと考えられます。
まずは弁護士にご相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、ストーカー規制法違反事件において、身体拘束からの解放や示談成立による不起訴処分を獲得している実績があります。
ストーカー規制法違反の容疑で自身やご家族が逮捕されたり、警察の取調べを受けるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
【事件解説】中学生に対するわいせつ目的面会要求容疑で警察の取調べ
14歳の中学生の少女に、金銭を支払う約束をして、わいせつ行為をする目的で面会を要求したとして、わいせつ目的面会要求の容疑で警察の取調べを受けた事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事件概要
中学3年生の少女V(14歳)に金銭を支払う約束をして、わいせつ行為をする目的で面会を要求したとして、埼玉県川口市の男性A(33歳)がわいせつ目的面会要求の容疑で、警察の取調べを受けました。
Vの母親の通報により面会前に事件が発覚したものであり、埼玉県川口警察署の調べによると、Aは「SNSでVのアカウントを見つけ、中学生だと知りながらメッセージを送った」と、わいせつ目的面会要求の容疑を認めているとのことです。
(実際の事件に基づき作成したフィクションです。)
わいせつ目的面会要求罪とは
わいせつ目的面会要求等罪(刑法第182条)は、令和5年の性犯罪規定に関する刑法改正によって、新たに創設された犯罪です。令和5年7月13日から施行されました。
16歳未満の人は、性的行為に関する自由な意思決定の前提となる能力が不十分なため、性犯罪の被害に遭う危険性が高いことから、16歳未満の人が性被害に遭うのを防止するため、実際の性犯罪に至る前の段階であっても、性被害に遭う危険性のない保護された状態を侵害する危険を生じさせたり、これを現に侵害する行為(いわゆる性的グルーミングなど)を新たに処罰することとされました。
わいせつ目的面会要求とは、16歳未満の者に対して、わいせつの目的で、威迫、偽計、利益供与等の不当な手段(同条1項1~3号)を用いて、面会を要求する行為とされています(ただし、13歳以上16歳未満の者に対する行為については、行為者が5歳以上年長の者である場合に限ります。)。
本件Aの行為は、「金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をして面会を要求すること。」(同条1項3号)に該当するものであり、AはVより5歳以上年長の者であるため、Aにわいせつ目的面会要求罪が成立し得ると考えられます。
わいせつ目的面会要求罪の法定刑は、1年以下の拘禁刑(施行されるまでは「懲役」)又は50万円以下の罰金と規定されていますが、実際に面会をした場合は、刑罰が加重され、2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金となります。
なお、面会の上、実際にわいせつ行為に及んだ場合には、別途不同意わいせつ罪が成立することとなります。
わいせつ目的面会要求事件の刑事弁護
わいせつ目的面会要求罪は新たに創設された犯罪ではありますが、罪を認める場合であれば、他の性犯罪と同様、被害者との示談を成立させることが、不起訴処分や刑の減軽を得るために重要であることに変わりないと考えられます。
被害者が未成年者のため、通常、示談交渉は両親等の保護者と行うこととなりますが、加害者に氏名や電話番号等の個人情報を知られないために、弁護士が間に入らないと示談交渉することができない場合が多いです。
また、保護者が子の被害に対する怒りや悲しみなどで感情的になり、被害者本人との示談交渉の場合よりも難航するおそれがあるため、刑事事件に強く、示談交渉の経験の豊富な弁護士への相談をお勧めします。
示談金の支払いと併せて、被害児童と今後一切接触しないことを誓約することにより、示談書に「刑事処罰まで求めない」旨の宥恕条項を入れてもらうことができれば、不起訴処分等を得られる可能性を高めることが期待できます。
まずは弁護士にご相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、未成年の児童が被害者である様々な性犯罪において、示談成立による不起訴処分等を獲得している実績が多数あります。
わいせつ目的面会要求の容疑で自身やご家族が警察の取調べを受けるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
【事件解説】禁止地域で個室性的サービス 風営法違反で逮捕
禁止地域で個室性的サービスを行ったことで、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、「風営法」)違反で逮捕された事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事件概要
8月20日、福岡県警中央警察署は、風営法違反(禁止地域営業)の容疑で同市中央区の風俗店経営者の男性A(32歳)を逮捕しました。
警察の調べによると、5月20日午後8時30分~午後9時ごろ、禁止地域であるにもかかわらず、店舗に設けた個室で、男性客に対して女性店員が性的サービスを提供する営業をしたとのことです。Aは風営法違反(禁止地域営業)の容疑を認めています。
(過去に報道された実際の事件に基づき、事実関係を大幅に変更したフィクションです。)
店舗型性風俗特殊営業と禁止区域
風営法第2条第6項では、店舗型性風俗特殊営業を規定しており、その一つとして、店舗に個室を作り、その個室内で異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業(いわゆる店舗型ファッションヘルス)を定めています(同項2号)。
本事件では、店舗の個室内で性的サービスを異性に提供していたとされており、それが事実であれば、事件の店舗は風営法上の店舗型性風俗特殊営業にあたると考えられます。
風営法第28条では、地域の善良な風俗環境や青少年の健全な育成のため、店舗型性風俗特殊営業の禁止区域を定めています。
具体的には、官公庁施設や学校、図書館や児童福祉施設などの周囲200メートルの区域内、及び各都道府県の条例が定める禁止地域では、店舗型性風俗特殊営業を禁止されており、違反した場合は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金又はその両方が科されます。
風営法違反(禁止地域営業)の刑事弁護
風営法違反で逮捕された場合、逃亡や罪証隠滅の恐れがあるとして、勾留が決定・延長され身体拘束が長期化したり、接見等禁止決定が付いたりする可能性も十分に考えられるため、身体拘束からの解放や接見等禁止決定の解除に向けた弁護活動を行うことが必要になります。
また、取調べにおいては、被疑事実以外の余罪を厳しく追及されることも予想されますが、どのような受け答えをするのが良いか、事案によって様々に異なることが考えられますので、刑事事件に強い弁護士に相談した上で対応することをお勧めします。
逮捕されていない段階でも、警察の捜査を受けていることを知った場合は、弁護士に相談し、問われる可能性のある罪と事件の見通し、それを踏まえての適切な対応についての助言をもらうことをお勧めします。
なお、本件においては、そもそも風営法第27条で義務付けられている店舗型性風俗特殊営業の公安委員会への届出を行っていれば、その段階で営業禁止地域内であることが分かったはずであることから、風営法違反(禁止地域営業)のほか、風営法違反(無届営業)(6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこの併科)が成立することも考えられます。
まずは弁護士にご相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、様々な刑事事件において、身体拘束からの解放、不起訴処分や刑の減軽を獲得した実績があります。
風営法違反の容疑でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
【事件解説】泥酔した女性に対する不同意性交等罪で逮捕
車内で泥酔中の女性に無理やり性交したとして、不同意性交等罪で逮捕された事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事件概要
新潟市内の駐車場の車中で、泥酔した20代の女性Vに無理やり性交した疑いで、同市在住の会社員男性A(45歳)が不同意性交等の容疑で逮捕されました。
警察の調べによると、Vは仕事で飲酒後に意識が朦朧とし、駐車場に停めたVの車の中で泥酔していたところ、Aが車内に乗り込み、Vが泥酔しているのに乗じて無理やり性交したとのことです。AとVに面識はありません。
後日、Vが「車の中でレイプされた。」と警察に相談して警察の捜査が開始され、付近の防犯カメラの映像などからAを割り出し、逮捕に至りました。
Aは、不同意性交等の容疑を認めているとのことです。
(過去に報道された実際の事件に基づき、事実関係を大幅に変更したフィクションです。)
不同意性交等罪とは
不同意性交等罪(刑法第177条)は、令和5年の性犯罪規定に関する刑法改正によって、従来の強制性交等罪に代わり、新たに創設された犯罪です。令和5年7月13日から施行されました。
法定刑は、5年以上の有期拘禁刑、となっています(「拘禁刑」はまだ施行されていないので、それまでは「懲役」になります。)。
不同意性交等罪が成立するためには、下記(1)~(3)の要件を充たす必要があります。
(1)1号から8号に該当する(及び類する)行為又は事由により
(2)同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて
(3)性交等(性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの)をしたこと
本件Vが、泥酔していた状態は、要件(1)3号「アルコール摂取の影響がある状態」又は4号「睡眠その他の意識が明瞭でない状態」にあたると考えられ、その程度が、要件(2)「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」と認められる場合、Aがそれに乗じてVに性交等を行ったことにより、Aに不同意性交等罪が成立し得ると考えられます。
なお、Aの行為は、改正前においては、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、性交等を行ったとして、準強制性交等罪に該当したと考えられますが、改正前の強制性交等罪と準強制性交等罪は、改正により不同意性交等罪に一本化されることとなりました。
不同意性交等事件の刑事弁護
不同意性交等罪は、被害者の告訴がなくとも検察官の判断で起訴できる罪(非親告罪)ではありますが、実務上の運用は、準強制性交等罪と変わらないと考えられ、被害者の意思を尊重し、プライバシー侵害が生じないように配慮する観点から、被害者との示談によって告訴の取消しに結びつけることができれば、検察官が起訴することなく事件が終わる可能性を高められると考えられます。
不同意性交等罪は被害者の性的自由を侵害する重大な犯罪であることから、被害者は加害者に強い嫌悪感や恐怖感などを抱くことが通常であり、加害者が被害者と示談交渉を直接行うことは極めて困難だと考えられます。
他方で、弁護士であれば、被害者も話を聞いても良いとなることも多く、示談交渉の余地が生まれ、刑事事件に強く示談交渉の経験豊富な弁護士であれば、十分な内容の示談がまとまる可能性が見込まれます。
すぐに弁護士にご相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、法改正前の準強制性交等事件において、示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
不同意性交等事件でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
【事件解説】船酔いした知人女性に対する不同意わいせつ罪で逮捕
ボートに同乗していた女性が船酔いでぐったりしていたところ、胸などを触ったとして逮捕された不同意わいせつ事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事件概要
和歌山市沖で、プレジャーボートに同乗していた女性Vが船酔いでぐったりしていたところ、胸などを触った疑いで、同市在住の会社員男性A(45歳)が不同意わいせつの容疑で逮捕されました。
警察の調べによると、知人関係にあったAとVは、釣りをするためAの所有するプレジャーボートに一緒に乗っており、Vが船酔いでぐったりしたところ、AはVの介抱に乗じて胸などを触ったとのことです。
Aは、不同意わいせつの容疑を認めているとのことです。
(過去に報道された実際の事件に基づき、事実関係を大幅に変更したフィクションです。)
不同意わいせつ罪とは
不同意わいせつ罪(刑法第176条)は、令和5年の性犯罪規定に関する刑法改正によって、従来の強制わいせつ罪に代わり、新たに創設された犯罪です。令和5年7月13日から施行されました。
法定刑は、6月以上10年以下の拘禁刑、となっています(「拘禁刑」はまだ施行されていないので、それまでは「懲役」になります。)。
不同意わいせつ罪が成立するためには、下記(1)~(3)の要件を充たす必要があります。
(1)1号から8号に該当する(及び類する)行為又は事由により
(2)同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて
(3)わいせつな行為をしたこと
本件Vが、船酔いでぐったりしていた状態は、要件(1)4号「睡眠その他の意識が明瞭でない状態」にあたると考えられ、その程度が、要件(2)「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」と認められる場合、Aがそれに乗じてVの胸を触るなどのわいせつな行為を行ったことにより、Aに不同意わいせつ罪が成立し得ると考えられます。
なお、Aの行為は、改正前においては、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、わいせつな行為を行ったとして、準強制わいせつ罪に該当したと考えられますが、改正前の強制わいせつ罪と準強制わいせつ罪は、改正により不同意わいせつ罪に一本化されることとなりました。
不同意わいせつ事件の刑事弁護
不同意わいせつ罪は、被害者の告訴がなくとも検察官の判断で起訴できる罪(非親告罪)ではありますが、実務上の運用は、準強制わいせつ罪と変わらないと考えられ、被害者の意思を尊重し、プライバシー侵害が生じないように配慮する観点から、被害者との示談によって告訴の取消しに結びつけることができれば、検察官が起訴することなく事件が終わる可能性を高められると考えられます。
本件AとVのように元々知人関係にあった場合でも、性犯罪であることから、被害者は加害者に強い嫌悪感や恐怖感などを抱くことが通常であり、加害者が被害者と示談交渉を直接行うことは通常困難だと考えられます。
他方で、弁護士であれば、被害者も話を聞いても良いとなることも多く、示談交渉の余地が生まれ、刑事事件に強く示談交渉の経験豊富な弁護士であれば、十分な内容の示談がまとまる可能性が見込まれます。
すぐに弁護士にご相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、法改正前の準強制わいせつ事件において、示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
不同意わいせつ事件でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
【事件解説】入浴施設で女児の裸を盗撮し逮捕
入浴施設で女児の裸を盗撮したとして、性的姿態等撮影の容疑で逮捕された事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事件概要
熊本市内の入浴施設で5歳の女児の裸を盗撮したとして、同市在住の会社員男性A(23歳)が性的姿態等撮影の容疑で逮捕されました。
警察の調べによると、市内の温泉入力施設の洗い場で、県内に住む5歳の女児の裸を小型カメラで撮影していたところ、Aが不審な動きをしているのをその場に居合わせた女児の父親が目撃し、現行犯逮捕しました。
Aは、性的姿態等撮影の容疑を認めているとのことです。
(過去に報道された実際の事件に基づき、事実関係を大幅に変更したフィクションです。)
性的姿態等撮影罪とは
盗撮行為は、これまで各都道府県の迷惑防止条例によって規制されていましたが、令和5年7月に「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(以下、「性的姿態撮影等処罰法」)が成立、施行され、盗撮行為を全国一律で規制することとなりました。
性的姿態撮影等処罰法によって、新たに「性的姿態等撮影罪」(単に「撮影罪」と表現されることもあります。)という犯罪が設立されました(同法2条1項)。
同罪では、「性的姿態等」を、正当な理由がなくひそかに撮影する行為を、一定の例外を除き処罰の対象にしています。
この「性的姿態等」の対象の一つに、「人の性的な部位(性器、肛門、臀部、胸部など)」(同法2条1項1号イ参照)が規定されています。
なお、正当な理由なく13歳未満の者の「性的姿態等」を撮影する行為は、被害者が成人の場合と異なり、上記一定の例外なく処罰の対象とされています(同法2条1項4号参照)。
本件Aは、入浴施設の洗い場で、5歳の女児の裸を小型カメラで撮影しており、正当な理由なく13歳未満の者の性的姿態等を撮影したとして、同罪の容疑で逮捕されたものと考えられます。
なお、18歳未満の児童を盗撮した場合には、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)も別途成立する可能性があります。
幼児に対する性的姿態等撮影事件の刑事弁護
児童買春・児童ポルノ禁止法違反を別とすれば、本事件でのAの行為は、法改正前であれば、熊本県迷惑行為等防止条例違反(盗撮)として、法定刑は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(常習でない場合)でしたが、性的姿態等撮影罪の法定刑は3年以下の拘禁刑(拘禁刑の運用が開始されるまでは、懲役刑)又は300万円以下の罰金となっており、厳罰化されました。
このように、性的姿態等撮影罪は新しく設立された犯罪ということもあるため、今後どのような手続で事件が進み、どの程度の刑罰が科される可能性があるのか、刑事事件に強い弁護士に相談されることをお勧めします。
また、本件は被害者が女児であることから、両親等の保護者との示談交渉が、被害者が成人の場合よりも難航するおそれがあるため、その点からも、刑事事件に強く、示談交渉の経験の豊富な弁護士への相談をお勧めします。
まずは弁護士にご相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、法改正前の迷惑防止条例違反(盗撮)事件において、逮捕・勾留による身体拘束からの解放や示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
性的姿態等撮影の容疑でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
【事件解説】商業施設で女性のスカートの中を盗撮し逮捕
商業施設で女性のスカートの中を盗撮しようとしたとして、性的姿態等撮影の容疑で逮捕された事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事件概要
青森市内の商業施設で女性のスカートの中をスマートフォンで撮影しようとした疑いで、同施設内で勤務する派遣社員の男A(45歳)が、性的姿態等撮影の容疑で逮捕されました。
警察の調べによると、Aは、同市内の商業施設で買い物をしていた20代の女性客のスカートの中をスマートフォンで撮影しようとし、スカートの下に手を伸ばしたところ、それに気付いた女性の友人が警備員に伝え、警備員が警察に通報しました。
警察の調べに対し、Aは性的姿態等撮影の容疑を認めているとのことです。
(過去に報道された実際の事件に基づき、事実関係を大幅に変更したフィクションです。)
性的姿態撮影撮影罪とは
盗撮行為は、これまで各都道府県の迷惑防止条例によって規制されていましたが、令和5年7月に「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(以下、「性的姿態撮影等処罰法」)が成立、施行され、盗撮行為を全国一律で規制することとなりました。
性的姿態撮影等処罰法によって、新たに「性的姿態等撮影罪」(単に「撮影罪」と表現されることもあります。)という犯罪が設立されました(同法2条1項)。
同罪では、「性的姿態等」を、正当な理由がなくひそかに撮影する行為を、一定の例外を除き処罰の対象にしています。
この「性的姿態等」の対象の一つに、「人が身に着けている下着のうち現に性的な部位を覆っている部分」(同法2条1項1号イ参照)が規定されています。
本件Aは、商業施設で女性客のスカートの中をスマートフォンで撮影しようとしており、「人が身に着けている下着のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分」の撮影として、同罪(又は同罪の未遂)の容疑で逮捕されたものと考えられます。
性的姿態撮影撮影事件の刑事弁護
本事件でのAの行為は、法改正前であれば、青森県迷惑行為等防止条例違反(盗撮)として、法定刑は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(常習でない場合)でしたが、性的姿態等撮影罪の法定刑は3年以下の拘禁刑(拘禁刑の運用が開始されるまでは、懲役刑)又は300万円以下の罰金となっており、厳罰化されました。
都道府県の迷惑防止条例違反(盗撮)で逮捕された場合、初犯で被害者との示談が成立すれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高かったのですが、厳罰化された性的姿態等撮影罪においては、同様に不起訴処分を獲得できるとは必ずしも限らない可能性があります。
このように、性的姿態等撮影罪は新しく設立された犯罪ということもあるため、今後どのような手続で事件が進み、どの程度の刑罰が科される可能性があるのか、刑事事件に強い弁護士に相談されることをお勧めします。
まずは弁護士にご相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、法改正前の迷惑防止条例違反(盗撮)事件において、逮捕・勾留による身体拘束からの解放や示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
性的姿態撮影撮影の容疑でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
【事件解説】未成年女児に対する不同意性交等罪で逮捕
オンラインゲームで知り合った未成年女児に性交等をしたとして、不同意性交等罪で逮捕された事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事件概要
香川県高松市内の公園の多目的トイレで、未成年女児V(14歳)に性交等をした疑いで、同市在住の大学生の男性A(20歳)が不同意性交等の容疑で逮捕されました。
香川県高松北警察署の調べによると、2人は7月上旬、インターネットのオンラインゲームを通じて知り合いSNSを交換し、SNS上でAから会うことを持ちかけたとのことです。
Aは、Vが16歳未満であることを知りながら性交等をした不同意性交等の容疑を認めているとのことです。
(過去に報道された実際の事件に基づき、事実関係を大幅に変更したフィクションです。)
不同意性交等罪とは
不同意性交等罪(刑法第177条)は、令和5年の性犯罪規定に関する刑法改正によって、従来の強制性交等罪に代わり、新たに創設された犯罪です。令和5年7月13日から施行されました。
法定刑は、5年以上の有期拘禁刑と規定されています(「拘禁刑」はまだ施行されていないので、それまでは「懲役」になります。)。
不同意性交等罪という罪名ではありますが、被害者が16歳未満であれば、原則として、被害者の同意があっても同罪が成立するため、本件Aは、Vが16歳未満であることを知りながら性交等をした容疑を認めており、同罪が成立すると考えられます(同条第3項)。
なお、強制性交等罪では、被害者の同意の有無にかかわらず罪が成立する被害者の年齢が「13歳未満」であったところ、不同意性交等罪では「16歳未満」に引き上げられています
これと併せて、被害者の年齢が13歳・14歳・15歳の場合を13歳未満の場合と区別して取り扱うこととされ、被害者の年齢が13歳・14歳・15歳の場合は、加害者が、被害者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に該当しなければ、被害者の同意の有無にかかわらず同罪が成立するという原則に対する例外が認められます。
しかしながら、本件では、被害者Vの年齢が14歳、加害者Aの年齢が20歳であるため、この例外が認められる場合に該当しないと考えられ、原則どおり被害者の同意があっても同罪が成立することとなります。
未成年者に対する不同意性交等事件の刑事弁護
未成年者に対する不同意性交等罪の場合、被害者側との示談が成立したとしても不起訴処分を得られるとは限りませんが、示談の成否は、起訴された場合の量刑や執行猶予の判断にも影響を及ぼし得るため、示談を成立させることはなお重要と言えます。
被害者が未成年者のため、通常、示談交渉は両親等の保護者と行うこととなりますが、保護者が子の被害に対する怒りや悲しみなどで感情的になり、被害者本人との示談交渉の場合よりも難航するおそれがあるため、刑事事件に強く、示談交渉の経験の豊富な弁護士への相談をお勧めします。
示談金の支払いと併せて、被害児童と今後一切接触しないことを誓約することにより、示談書に「刑事処罰まで求めない」旨の宥恕条項を入れてもらうことができれば、不起訴処分を得られる可能性を高めることが期待できます。
すぐに弁護士にご相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、法改正前の強制性交等事件において、示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
不同意性交等罪でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
【事件解説】女性の下半身を触った不同意わいせつ罪で逮捕
列車内で女性の下半身を触ったとして逮捕された不同意わいせつ事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事件概要
岡山市内の列車内で、隣の座席に座る20代の女性Vの下半身を触った疑いで、同市在住の会社員男性A(35歳)が不同意わいせつの容疑で逮捕されました。
警察の調べによると、Aは、列車内でVの隣に座り肩などを押しつけ体を密着させたうえ、下半身を触った疑いがもたれています。2人に面識はなく、Vは不同意わいせつの容疑を認めているとのことです。
(過去に報道された実際の事件に基づき、事実関係を大幅に変更したフィクションです。)
不同意わいせつ罪とは
不同意わいせつ罪は、令和5年の性犯罪規定に関する刑法改正によって、従来の強制わいせつ罪に代わり、新たに創設された犯罪です。令和5年7月13日から施行されました。
法定刑は、6月以上10年以下の拘禁刑、とされています(「拘禁刑」はまだ施行されていないので、それまでは「懲役」になります。)。
不同意わいせつ罪が成立するためには、下記(1)~(3)の要件を充たすことが必要となります。
(1)1号から8号に該当する行為又はこれらに類する行為があり
(2)それらの行為により同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて
(3)わいせつな行為をしたこと
本事件で、AがVの隣に座り肩などを押しつけ体を密着させたうえ、下半身を触った一連の行為について、要件(1)における、1号「暴行若しくは脅迫を用いること」、5号「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと」又は6号「予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること」の少なくともいずれかに該当し得ると判断されたものと考えられます。
なお、改正前の強制わいせつ罪における「暴行」とは、「人の反抗を抑圧したり、著しく困難にさせる程度の有形力の行使」と限定して解釈されていましたが、不同意わいせつ罪における「暴行」は、その程度を問わず「人の身体に対する有形力の行使」であれば足りるとされ、暴行の程度は、要件(2)で考慮されることとなりました。
よって、AがVに「肩などを押しつけ体を密着させた」行為が「暴行」と認められる可能性は、法改正前よりも高くなったと考えられます。
不同意わいせつ事件の刑事弁護
本事件でのAの行為は、法改正前であれば、岡山県の迷惑行為防止条例違反(痴漢)の適用にとどまる可能性もありましたが、Aは不同意わいせつの容疑で逮捕されることとなりました。
同罪は、岡山県の迷惑行為防止条例違反(痴漢)と異なり、法定刑に罰金刑がないため、起訴され有罪になると拘禁刑(懲役)が科されることとなります。
不同意わいせつ罪は、被害者の告訴がなくとも検察官の判断で起訴できる罪(非親告罪)ではありますが、実務上の運用は、強制わいせつ罪と変わらないと考えられ、被害者の意思を尊重し、プライバシー侵害が生じないように配慮する観点から、被害者との示談が成立することにより、検察官が起訴することなく事件が終わる可能性を高められると考えられます。
そのため、逮捕・勾留されている場合の身体拘束解放の点のみならず、不起訴処分を目指す点からも、被害者との示談を早期に成立させることが重要ですが、性犯罪であることから、被害者は加害者に強い嫌悪感や恐怖感などを抱くことが通常であり、加害者又はその家族が被害者の連絡先を教えてもらい示談交渉を直接行うことは困難です。
他方で、弁護士であれば、検察官を通じて被害者の連絡先を教えてもらえることも多く、示談交渉の余地が生まれ、刑事事件に強く示談交渉の経験豊富な弁護士であれば、十分な内容の示談がまとまる可能性が見込まれます。
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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、法改正前の強制わいせつ事件において、示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
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