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【事例解説】盗撮事件で自首・出頭を検討(前編)

2025-04-20

今回は、盗撮事件を起こし、自首をするメリット及びデメリットにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

盗撮

事例

Aさんは職場の女子更衣室に用意した小型カメラをしかけ、着替えをする女性職員を盗撮しようと考えました。
小型カメラを購入し、職場の女子更衣室に入り、見つかりにくい場所に小型カメラを設置しました。
後日、カメラを回収するために再度女子更衣室に入ったところ、カメラがなくなっていることに気付き、自身の犯行が誰かに発覚してしまったことを悟り、不安に感じています。
Aさんは、今後の対応について、刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

Aさんに成立する犯罪

性的姿態等撮影罪について

以前は、各都道府県の迷惑行為防止条例違反として処罰されていた盗撮行為ですが、令和5年に施行された「性的姿態等撮影罪」(同法2条1項)により、全国で統一的に処罰されることになりました。
性的姿態等撮影罪の正式名称は、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」と言い、同法律の第2条1項に定められています。
法定刑は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金となっています。
「性的姿態等」の対象は
人の性的な部位
(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部)
人が身に着けている下着
(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)
のうち現に性的な部位を覆っている部分と規定されています。

建造物侵入罪(刑法第130条前段)について

盗撮目的で会社の社屋や女子更衣室に立ち入った行為により成立する可能性が高いと思われます。

迷惑防止条例違反及び軽犯罪法違反について

各都道府県の定める迷惑防止条例違反の罪
若しくは
軽犯罪法違反の罪(軽犯罪法第1条23号)
盗撮カメラを女子更衣室に設置するなどした行為により成立する可能性が高いと思われます。
迷惑防止条例は、「公共の場所」や、「公共の乗物」における盗撮行為を規制していることが多いですが、近年、そのような場所以外における盗撮行為をも規制する条例を制定する自治体が増えています。
反対に、そのような規定がない場合には、迷惑防止条例違反ではなく、軽犯罪法違反の嫌疑をかけられることになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
盗撮事件を起こしてしまい、自首・出頭を検討されている方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】自身の養子と性交し、監護者性交等罪で逮捕(後編)

2025-04-13

自身の養子と性交し、監護者性交等罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
この後編では、被害者の供述等の証拠について争われた例を解説します。

事例

Aは、自身と同居している養女のV(16歳)と、今年の4月~5月ごろにかけて複数回性交をしました。
Vが母親に被害を告白したことをきっかけに、Vは児童相談所に保護され、Aは逮捕されました。
(フィクションです)

自身の養子と性交し、監護者性交等罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
この後編では、被害者の供述等の証拠について争われた例を解説します。

実行行為の存否について

今回の事例では、第三者による犯行の目撃等がなく、さらにAが性交の事実を否定しているとします。そのような場合は、被害者の供述や、客観証拠などによって犯罪の実行行為があったことを認定することになります。

ここで、被害者の供述の信用性などが争われた判例(福岡高判令和3・10・29)を紹介しながら、被害者の供述の信用性の判断のポイントを解説します。

なお、この判例の事案は、今回の事例に近いものですが、被害者(以下Vとする)が14歳であったことと、被害者が軽度知的障害段階(IQ77,精神年齢11歳4か月)であったことが今回の事例とは異なっています。

この判例では、被害者の供述の信用性を判断するうえで、

被害者の供述は客観的証拠によって裏付けられているか否か
被害者の供述に具体性・迫真性があるか否か
被害者の供述に不自然・不合理な点があるか否か
被害者に虚偽供述の動機があるか否か

が審理されました。

①まずVの供述を被害者の外陰部の損傷という客観的証拠によって裏付けることができるかどうかが争われました。

1審では、損傷は性交によらなくても起こり得ること、損傷の状態から挿入された物を同定することはむずかしいこと、もとより、Vの身体の損傷からそれを生じさせた者を推認することはできない、などの理由でVの供述が客観的証拠によって裏付けられているとは言えず、信用性を備えていないと結論付けました

 これに対し、控訴審では、性暴力や虐待事案に関する生体鑑定の法医学の専門的知見をもつ医師の供述から、むしろ損傷はVの供述を裏付ける客観証拠と認められる可能性が高いとしました。

②次に、Vの供述が実際に体験しなければ供述できないほどの具体性・迫真性があるかどうかについては、未成年であることや軽度知的障害であることを考慮すると、具体性・迫真性に欠けるからといって直ちに架空の被害を創作した合理的疑いが生じると推認するのは適当ではない、としたうえで、Vの供述のほぼすべてが検察官の誘導尋問によって引き出されたものであるともいえない、としました。

③さらに、1審では、AやVと同居している他の家族が、犯行に一切気付かなかったというのは不自然・不合理である、としましたが、控訴審では、VはAを恐れて抵抗せず、起きていることがAにばれないようにしていたと供述していることや、Aにおいても発覚を防ぐため細心の注意を払っていたとみるのが自然であり、他の家族が気付かなかったとしても不自然・不合理であるとはいえないとしました。

④最後に、虚偽供述の動機があるか、については、VがAに悪感情を抱いていたことから、ストレス源であるAを悪者にしようと考え虚偽の供述をしたという可能性について、それなりに合理性があるというのが1審の判断でした。
しかし、控訴審ではVの被害申告の経緯には特に作為的なものがうかがわれず、むしろ慎重で真摯なものであったとみる余地が十分にあるとして、さらに審理を尽くすべきとしました。

この事案では、最終的にVの供述の信用性が認められ、Aは懲役7年の実刑となりました。

(参考図書:『裁判例に学ぶ刑法各論Ⅰ 個人的法益編』)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が警察に逮捕されてしまった方や、ご心配なことがある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
まずは、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

【事例解説】自身の養子と性交し、監護者性交等罪で逮捕(前編)

2025-04-06

自身の養子と性交し、監護者性交等罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
この前編では監護者性交等罪の成立要件や罰則などについて解説します。

事例

Aは、自身と同居している養女のV(16歳)と、今年の4月~5月ごろにかけて複数回性交をしました。
Vが母親に被害を告白したことをきっかけに、Vは児童相談所に保護され、Aは逮捕されました。(フィクションです)

監護者性交等罪について

刑法179条2項(監護者性交等罪)は、18歳未満の者に対し、「その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等を」する行為を罰しています。

第百七十九条
(省略)
2十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条第一項の例による。

監護者性交等罪は2017年に新設された犯罪で、罰則は5年以上の有期拘禁刑です。
それまでは同種の事案では、青少年保護条例や児童福祉法が適用されることが多かったのですが、それらに比べて罪が重くなっています。
罰金刑もないため、起訴されると、公開での裁判が開かれることになります。

監護者性交等罪の成立要件について

監護者性交等罪の構成要件は以下の4つです。

監護者であること
相手が18歳未満の者であること
監護者であることによる影響力に乗じたこと
性交等を行ったこと

監護者とは、親などのように、生活全般にわたって保護する者のことです。
 同居の有無や、身の回りの世話をしているかどうか、生活費の支出をしているかどうかなどの事情から、監護者かどうかが判断されます。そのため、親権者であっても「監護者」にはあたらない場合もありますし、反対に、親権者ではなくても「監護者」にあたる場合もあります。
 たとえば、親から子供を預かって実際に養育している親類や、同居している親の交際相手などは監護者に該当する可能性があります。
 一方、学校や塾の教師、習い事のコーチ、バイト先の教育係などは、子供の生活全般にわたって世話をしているとまでは言えないため、基本的に監護者にはあたらないでしょう。

③「監護者であることの影響力に乗じ」とは、生活を保護することによって生じている影響力を利用することをいいます。
 衣食住など生活全般について、被害者が自己に一定程度依存している関係にあることを認識しながらわいせつな行為に誘導する場合などが該当するでしょう。

④「性交等」とは、

性交:陰茎を膣内に挿入する行為
肛門性交:陰茎を肛門に挿入する行為
口腔性交:陰茎を口腔内に挿入する行為

のことを意味します。

今回の事例で、Aは、自己と同居しているVの養親でありながら、Vと性交をしており、監護者であることの影響力がないとされるような特段の事情がない限り、監護者性交等罪が成立する可能性があります

後編では、被害者の供述などの証拠の信用性の判断について、それが争われた判例を紹介しながら解説します。

弁護活動

監護者性交等罪は懲役刑のみで罰金刑はありませんので、起訴されることはすなわち公開裁判が開かれることを意味します。また、有罪になれば、執行猶予付き判決を得ない限り刑務所に収監されます。

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【事例解説】デリヘルでサービスの様子を無断でライブ配信(後編)

2025-03-29

デリヘルでサービスを受けている様子を無断でライブ配信したとして、性的姿態等送信罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

盗撮

事例

Aさんは、デリヘルを利用してサービスを受けている様子を、設置したカメラでライブ配信していました。 
被害者が、カメラが設置されていることに気付き店のスタッフを呼びました
店のスタッフに問い詰められたAさんは、ライブ配信していたことを認めたため、警察を呼ばれる事態になりました。 
Aさんは臨場した警察官に警察署まで連れていかれて、そのまま逮捕されるに至りました
警察からAさんを逮捕した旨連絡を受けた、Aさんの両親は、事件の詳細を知るために弁護士に初回接見を依頼しました
(フィクションです。)

性的姿態等送信罪の前科が付くことを回避するには

性的姿態等送信罪前科を付けたくないとお考えの方は、まずはいち早く弁護士に盗撮事件について相談して、事件の見通しや今後の対応といったことについてアドバイスを貰われることをお勧めします。
今回の事例において、まずは、早期の身体解放を目指します。具体的には、逮捕後に勾留手続に進まないよう、逮捕後直ちに、弁護士が逮捕された者と面会して直接事件の内容を聴取することで、今後の事件の見通しを示し、取調べへの対応を検討します。
逮捕は、最長72時間の時間制限があり、その後に検察官が行う勾留請求によって裁判所が勾留決定を出せば、10日間から20日間も身体拘束が続くことになるため、もしも拘束された場合には日常生活に大きな支障が出る可能性が高いです。そこでこれを阻止するために、弁護士は、検察官や裁判官と交渉し、逮捕後の勾留を阻止するための主張を行う、勾留決定に対して準抗告を行うなど、釈放に向けた働きかけを行います。
また、盗撮事件を起こしてしまった場合、被害者方との示談交渉を行い、示談を締結することが、最終的な処分の軽減を図る上で重要になります。
示談交渉に際しては、被害者方と盗撮事件を起こした本人の当事者間で直接に示談交渉を行うことも不可能ではありません。
しかし、被害者方からすれば、直接盗撮事件の犯人と交渉を行うのは避けたいと思うのが通常であると考えられます。また、充分な法的知識を持たない当事者同士による示談の場合、示談の条件等に不備がある場合も少なくなく、示談締結後になって再度トラブルが発生するといったことも想定されます。
そのため、性的姿態等撮影罪の前科がつくことを避けるために被害者の方との示談をしたいと考えている方は、法律の専門家である弁護士に示談交渉を依頼し示談を締結されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が性的姿態等送信罪で逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】デリヘルでサービスの様子を無断でライブ配信(前編)

2025-03-21

デリヘルでサービスを受けている様子を無断でライブ配信したとして、性的姿態等送信罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

盗撮

事例

Aさんは、デリヘルを利用してサービスを受けている様子を、設置したカメラでライブ配信していました。 
被害者が、カメラが設置されていることに気付き店のスタッフを呼びました
店のスタッフに問い詰められたAさんは、ライブ配信していたことを認めたため、警察を呼ばれる事態になりました。 
Aさんは臨場した警察官に警察署まで連れていかれて、そのまま逮捕されるに至りました
警察からAさんを逮捕した旨連絡を受けた、Aさんの両親は、事件の詳細を知るために弁護士に初回接見を依頼しました
(フィクションです。)

性的姿態等送信罪について

ライブストリーミングなどで不特定、多数人に被害者の性的姿態を送信した場合、性的姿態等送信罪が成立します。
性的姿態等送信罪は、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」の5条に定められています。

第五条 不特定又は多数の者に対し次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 正当な理由がないのに、送信されることの情を知らない者の対象性的姿態等の影像(性的影像記録に係るものを除く。次号及び第三号において同じ。)の影像送信(電気通信回線を通じて、影像を送ることをいう。以下同じ。)をする行為
二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為
三 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは不特定若しくは多数の者に送信されないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為
四 正当な理由がないのに、十三歳未満の者の性的姿態等の影像(性的影像記録に係るものを除く。以下この号において同じ。)の影像送信をし、又は十三歳以上十六歳未満の者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、当該十三歳以上十六歳未満の者の性的姿態等の影像の影像送信をする行為

2 情を知って、不特定又は多数の者に対し、前項各号のいずれかに掲げる行為により影像送信をされた影像の影像送信をした者も、同項と同様とする。

3 前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。

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【事例解説】養子にわいせつ行為をしてしまったら?

2025-02-17

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が、養子にわいせつ行為をしてしまった事例について解説します。

事例

Aは16歳の養子Vの養父です。これまで10年間以上同居し、寝食の世話をしてきました
ある日、大学受験のために塾に通わせてほしいというVに対し、Aは「胸を触らせてくれたらいいよ」などと持ち掛け、裸にさせたVの性器や胸を触りました
(フィクションです)

監護者わいせつについて

刑法には監護者わいせつ罪という犯罪があります。

第179条 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、6か月以上10年以下の懲役に処す

・「そのものを現に監護する者」とは、親などのように、生活全般にわたって保護する者のことです。
同居の有無や、身の回りの世話をしているかどうか、生活費の支出をしているかどうかなどの事情から、監護者かどうかが判断されます。そのため、親権者であっても「監護者」にはあたらない場合もありますし反対に、親権者ではなくても監護者」にあたる場合もあります。
たとえば、親から子供を預かって実際に養育している親類や、同居している親の交際相手などは監護者に該当する可能性があります。
一方、学校や塾の教師、習い事のコーチ、バイト先の教育係などは、子供の生活全般にわたって世話をしているとまでは言えないため、基本的に監護者にはあたらないでしょう。

・「監護者であることの影響力に乗じ」とは、生活を保護することによって生じている影響力を利用することをいいます。
衣食住など生活全般について、被害者が自己に一定程度依存している関係にあることを認識しながらわいせつな行為に誘導する場合などが該当するでしょう。

・「わいせつな行為」とは、たとえば、被害者の胸や性器を触ったり、自己の陰茎を被害者の性器に押し当てるなどの行為がわいせつな行為にあたります
さらに、性器を触るにとどめず、指や陰茎を膣の中に入れたりすれば、不同意性交等罪が成立する可能性があります

また、監護者性交等罪が成立しない場合でも、青少年保護条例や児童福祉法の淫行罪に成立することがあり得ます。

弁護活動

監護者わいせつ罪は懲役刑のみで罰金刑はありませんので、起訴されることはすなわち公開裁判が開かれることを意味します。
また、有罪になれば、執行猶予付き判決を得ない限り刑務所に収監されます

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
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【事例解説】SNSを利用して、わいせつ目的で未成年を誘拐

2025-02-10

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が、わいせつ目的で未成年が誘拐された事例について解説します。

女子高校生

事例

Aは、SNSのアプリで、16歳の高校生だというVが「家出したい」と投稿しているのを見かけました
そこで、Aは、わいせつな行為をする目的で、Vを誘拐しようと考え、「~県だけど来る?」「交通費も出すし、車で迎えに行ってもいいよ」などと言って誘惑、駅前で合流したあと、4時間後に自宅に連れ込みました
その後は3日間ほど寝泊まりさせました
(フィクションです)

わいせつ目的誘拐罪について

刑法には、わいせつ目的誘拐罪という犯罪が定められています。

(営利目的等略取及び誘拐)

第二百二十五条  営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する

わいせつ目的誘拐罪が成立するためには、

わいせつの目的を有すること

わいせつ目的で、他人を誘拐すること

が必要です。

わいせつ目的」とは、不同意性交や不同意わいせつなどの性的行為をする目的のことです。第三者にわいせつ行為をさせる目的あるいは被誘拐者にわいせつ行為をさせる目的も含まれるため、例えば売春をさせる目的も、わいせつ目的に当たります。

誘拐」とは、欺罔・誘惑を手段として、他人をその生活環境から離脱させ自己または第三者の事実的支配下に置くことです。

本件では、Aは初めからわいせつな行為をする目的がありました

そして、家出願望のある少女に対して「車で迎えに行ってあげる」などと誘惑し、自己の支配下である自宅に連れて帰っています。

被害者は、一般的に社会経験や所持金などが乏しい16歳の高校生であり、加えて家出願望もあったことから、本件のような程度の誘惑でも家出を決意させるものとして十分と判断される可能性が高いでしょう。

また、もし仮に被害者の同意があったと認識していたとしても、保護者の監護権や親権も保護法益として考慮する必要があることから、違法性がないとは言えません。相手の同意があるから違法ではないと思った、という言い逃れは認められない可能性が高いでしょう。

したがって、Aが、わいせつ目的を有したうえで、誘惑を手段とし、Vを遠方の自宅に連れ帰った時点で、わいせつ目的誘拐罪が成立する可能性が高いでしょう。

なお、刑法では未成年誘拐罪も定められていますが、わいせつな目的がある場合は、より罪の重いこちらの犯罪が成立することになります。

また、誘拐に加えて、たとえばわいせつな行為や性交をすると、不同意わいせつ罪や不同意性交罪も成立し得ます

そのほか、たとえば、裸体や性行為時の姿を撮影し、その写真をインターネットで不特定多数の者が見える形でアップロードをするなどすれば、リベンジポルノ防止法3条にも違反します。こちらの法定刑は三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金です。

 

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所がわいせつ目的で未成年が誘拐された事例について解説致しました。

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【事例解説】お金を払って性交したが実は相手が18歳未満だったら?

2025-02-03

18歳未満の相手を買春した事例、及び児童買春罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

女子高校生

事例

23歳のAは、SNSで知り合った女性Vに3万円を払ってホテルで性行為をしました。
Vは19歳だと言っていましたが、後日、警察署から、17歳の女性と性交をした疑いで、事情聴取されました。
児童買春罪で捜査を進めているとのことです。
(フィクションです)

児童買春について

児童買春罪は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(いわゆる児童ポルノ法)に定められています。

児童ポルノ法2条によれば、児童買春とは、

児童(=18歳未満の者)に対して
対償を供与し、又はその供与の約束をして、
性交等をすること

を意味するとされています。

②「対償を供与し」、というのは、性交の対価としてお金や、その他の経済上の利益を与えることです。バッグや食品なども該当します
また、実際に与えなくても、それらを与えるという約束をするだけで足ります
なお、経済上の利益を与える先は、その児童本人に限られず、その保護者や、買春をあっせんした者も含まれます

③「性交等」とは、

性交(陰茎を膣に挿入すること)
性交類似行為(肛門性交や口腔性交など)
自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器・肛門・乳首を触ること
自己の性的好奇心を満たす目的で、児童に自己の性器・肛門・乳首を触らせること

が挙げられています。

警察の言うことが事実ならば、Aは、17歳の児童」であるVに対し3万円という「対償を供与し」、「性交」をしているため、児童買春罪が成立する可能性があります。

一方で、Aが本当にVの年齢を19歳だと信じていたならば、犯罪の故意がないため犯罪は成立しないかもしれません。
ただし、警察や裁判所がそのAの言い分通りの認定をするとは限りません。
また、未必の故意といわれますが、Vが18歳未満かもしれないとAが認識していた場合でも、故意が認められる可能性があります

 

弁護活動

上述のとおり、今回の事例では未必の故意が認められるかどうかが犯罪の成否を大きく左右するかもしれません
そこで、警察がAを取調べする際には、AがVの年齢を18歳未満かもしれないと認識していた、という調書を取ろうとする可能性があります。
取調べの際に、一つの選択として黙秘を貫くかそれともそれ以外に最善の方法があるかどうかの判断は、証拠関係などによっても様々あり得ます
ですから、なるべく早い段階で弁護士に相談されることをお勧めいたします。

児童買春・児童ポルノ禁止法違反被疑事件で警察から捜査を受けている方、ご家族が児童売春等をしてしまいお困りの方は、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
また、逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に弁護士を警察署まで派遣する「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
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【事例解説】SNSで中学生にわいせつな写真を要求するのは犯罪?

2025-01-27

SNSで中学生に対し、わいせつな写真を要求した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

電話

事例

30代会社員のAは、SNSで知り合った中学生に対し、「お金を払うから全身の裸の写真を撮って送ってほしい」というメッセージを送りました。
後日、警察署から、取調べをするという電話がかかってきました
(フィクションです)

映像送信要求罪について

令和5年7月13日の改正刑法施行により、映像送信要求罪刑法182条3項)が導入されました。

13歳未満の者、あるいは(行為者が5歳以上年長の場合に)16歳未満の者に対し、
次のような映像を撮らせ、それを送信することを要求した場合に成立する犯罪です。

性交、肛門性交又は口腔性交をする姿態をとった映像
膣又は肛門に身体の一部(陰茎を除く。)又は物を挿入し又は挿入される姿態をとった映像
性的な部位(性器や肛門、もしくはこれらの周辺部、でん部、胸部)を触り又は触られる姿態や、露出した姿態をとった映像

Aは、中学生だという(16歳未満の)Vに対し全身の裸の写真を撮って送ってほしいというメッセージを送りました。全身の写真ですから、胸部や性器を露出した写真ということになるでしょう。したがって、Aの行為には映像送信要求罪が成立する可能性があります。

映像送信要求罪の罰則は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金と定められています。

なお、わいせつの目的で、お金を払うからなどといってさらにVに面会を要求した場合などは、面会要求罪(刑法182条1項)が成立する可能性があります。この場合の罰則は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。また、実際に面会に成功した場合には、罪が重くなり、2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金となります

まずはご相談を

映像送信要求罪や面会要求罪の被疑事件で警察から捜査を受けている方や、ご不安の方は、刑事事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
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【事例解説】女性に風俗店をあっせんしたとして職業安定法違反で逮捕 

2025-01-18

女性に性風俗店を斡旋したとことで、職業安定法違反で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

ストーカー

参考事例

Aさんは、仕事をきっかけに知り合った客や、自身が街で声を掛けた女性に対し、風俗店を紹介して働かせていたとして、職業安定法違反で逮捕され警察署に逮捕されました。
Aさんは、性風俗店から、紹介した女性の売り上げの一部から報酬をもらっており数か月で数百万円を儲けていました
Aさんは、女性に同意させたうえで性風俗店に紹介することを説明していたので、警察の逮捕には納得できていません
(フィクションです。)

職業安定法違反について

Aさんと同じように、この行為の何が犯罪なの?と疑問に思う方もおられるかもしれません。
実はAさんの行為は職業安定法違反となる可能性があります。

職業安定法第63条
次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、これを1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
1 (略)
2 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集、募集情報等提供若しくは労働者の供給を行い、又はこれらに従事したとき

公衆道徳上有害な業務
性風俗店は、公衆道徳上有害な業務とされています。
公衆道徳上有害な業務」とは、社会共同生活上守られるべき道徳を害する業務と定義されており、風俗営業法を遵守している性風俗店であっても、「公衆道徳上有害な業務」に該当するとされています。
性風俗店の他、ストリップや、アダルトビデオなどの性産業が「公衆道徳上有害な業務」に該当するとされています。

スカウト行為の問題点

Aさんのように、性風俗店に女性を紹介、斡旋する行為を「スカウト」と言います。
関係者によると、このスカウトが間に入ることによって、性風俗店で働きたい女性は、希望にあったお店で働けたり不安が解消されるといったメリットもあるといいます。
しかしスカウトには、女性が稼いだお金の何パーセントがお店から支払われるシステムなので、スカウトが自分の儲けを優先するあまりに、女性が意図しない働き方をさせられたりするケースもあるといいます。
職業安定法違反によって逮捕される人の報道が増えているとは思われるものの、スカウト行為が犯罪に該当する認識が無いという方もまだまだおられるのではないかと思います。
スカウトを利用するお店も、これが違法であることの認識がないことがあるため、お店の誘い話をうのみにするべきではないでしょう。

まずは弁護士に相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、売春の斡旋や職業安定法違反に関するご相談を初回無料で承っております。
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