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【事例解説】学園祭開催中の大学の女子トイレに侵入した男を逮捕

2024-06-19

学園祭開催中の大学に一般客を装い忍び込み、女子トイレに侵入した男が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

トイレ

事例

A(50歳、男性)は、学園祭が開催されている福岡県内にある大学に、一般客を装い忍び込み、人気の少ない校舎の1階にある女子トイレに侵入した疑いが持たれている。
Aが女子トイレに入るのを校舎の外から見かけた大学生が警備員に「男性が女子トイレに入って行った」通報したところ、防犯カメラの映像からAが特定され、博多警察署の捜査の結果、Aは逮捕された。
取調べに対し、Aは「純粋に一回女子トイレに入ってみたかった」と容疑を認めている。

(フィクションです。)

女子トイレに侵入すると何罪になる?

本件Aは、男性であるにもかかわらず女子トイレに侵入したとして、逮捕されてしまったようです。
取調べに対し、Aは、「純粋に女子トイレに入ってみたかった」と述べているようですが、この場合Aは建造物侵入罪に問われる可能性があります。

刑法130条(出典/e-GOV法令検索) 建造物侵入罪
正当な理由がないのに、(中略)人の看守する(中略)建造物(中略)に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する

まず、建造物とは、屋根を有し支柱などによって支えられた土地の定着物で、人が出入りすることのできる構造のものであり、住居用以外の建造物一般のことをいいます。
具体的には、体育館や商業施設のほか、本件でAが侵入した学校の校舎も建造物にあたります。
次に、侵入とは、管理権者の意思に反する立ち入りのことを言います。
Aが侵入した大学の校舎の管理権者は、Aのような男性が女子トイレに侵入することを認めていないと考えられます。
以上より、Aは、純粋な興味関心から女子トイレに忍び込んだようですから、正当な理由なく人の看守する建造物に侵入したとして、建造物侵入罪が成立する可能性が高いと言えます。

 

逮捕されたらすぐに弁護士に相談を

本件Aは建造物侵入罪の疑いで逮捕されたようです。
逮捕自体は最大で72時間となっていますが、引き続き身体拘束の必要があると検察官と裁判官から判断された場合には、最長で20日間も身体拘束が追加されます。
Aが会社員だった場合、長期間にわたって出勤することができず、会社に事件が発覚して解雇されてしまう可能性があります。
弁護士は、検察官と裁判官に対し、勾留に対する意見書を提出することができますから、このタイミングで釈放を求めることができます。
したがって、早い段階で弁護士に相談して、意見書を提出する機会を逃さないことが大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
建造物侵入の疑いで警察に逮捕されたご家族様をいち早く釈放させてあげたいとお考えになっている方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

 

【事例解説】医師の男が面会要求罪で警察から呼び出し②

2024-04-06

医師の男が面会要求罪で警察から呼び出しを受けた事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

事例 

医師のAさんは、SNSで連絡を取り合っている14歳の中学生の女子Vわいせつな目的を持ちながら何度も会おうとメッセージを送り続けていました。 
また、会ってくれたら5万円あげるよと金銭面でも誘惑をしていました。
何度断ってもしつこく誘ってくることに恐怖を覚えたVさんは両親に相談しました。
Vさんから、事情を聞いた両親は警察に相談し被害届を提出する運びとなりました。 
数日後、Aさんのもとに警察から連絡があり、Aさんは取調べのため警察に行くことになりました。 
不安を感じたAさんは、警察から取調べを受ける前に弁護士に相談することにしました。 
(フィクションです。)

医師免許への影響

 
これから、医師免許を取得しようとする医学部生などが面会要求罪で前科がついてしまうと医師免許が取得できない可能性があります。
医師法4条(出典/e-GOV法令検索)において相対的欠格事由として以下のことが定めれています。

「第4条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある
一 心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
三 罰金以上の刑に処せられた者
四 前号に該当する者を除くほか、医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者」

痴漢行為により、罰金以上の刑を受けると医師法4条3号の相対的欠格事由に該当することになります。
また、医師免許をもっている医師が第4条各号のいずれかに該当した場合は、厚生労働大臣から、戒告、3年以内の医業の停止、免許の取消しのいずれかの処分を受ける可能性があるため注意が必要です(医師法7条1号から3号)。

医師免許を守るために

医師免許をこれから取得しようとする方や医師の方が、痴漢行為で警察に逮捕された場合は、弁護士に依頼して初回接見に来てもらうことをお勧めします。
今後の刑事手続きの流れや取調べに対するアドバイスを聞くことで、精神的な負担が軽減されるだけでなく、不利な供述調書が作られることを防ぐことが出来ます。
また、痴漢による迷惑防止条例違反や不同意わいせつ罪は、被害者がいる犯罪になるため、犯罪行為を認めている場合は示談の締結が早期の釈放や処分の軽減にとって重要になります。
示談は、被疑者の方でもすることはできますが、逮捕されている間は連絡をとることが不可能ですし、釈放後であっても被疑者からの交渉だと拒絶されてしまう場合が少なくありません。 
そのため、刑事事件における示談交渉の経験が豊富な弁護士に依頼して示談交渉に動いてもらうことが重要となります。

まずは弁護士に相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、逮捕などの身体拘束からの解放や示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

【事例解説】医師の男が面会要求罪で警察から呼び出し①

2024-03-27

医師の男が面会要求罪で警察から呼び出しを受けた事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

事例 

医師のAさんは、SNSで連絡を取り合っている14歳の中学生の女子Vにわいせつな目的を持ちながら何度も会おうとメッセージを送り続けていました。 
また、会ってくれたら5万円あげるよと金銭面でも誘惑をしていました。
何度断ってもしつこく誘ってくることに恐怖を覚えたVさんは両親に相談しました。
Vさんから、事情を聞いた両親は警察に相談し被害届を提出する運びとなりました。 
数日後、Aさんのもとに警察から連絡があり、Aさんは取調べのため警察に行くことになりました。 
不安を感じたAさんは、警察から取調べを受ける前に弁護士に相談することにしました。 

面会要求罪とは

面会要求罪とは、令和5年7月13日の改正刑法施行により新設された犯罪になります。
処罰される行為としては、わいせつな目的をもった者が子どもに対して面会を要求することです。 
(十六歳未満の者に対する面会要求等)
第182条 (出典/e-GOV法令検索)わいせつの目的で十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。
 威迫し、偽計を用い又は誘惑して面会を要求すること。
 拒まれたにもかかわらず、反復して面会を要求すること。
 金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をして面会を要求すること。
2 前項の罪を犯し、よってわいせつの目的で当該十六歳未満の者と面会をした者は、2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する。
(以下略)

どのような行為が面会要求罪に該当する? 

面会要求罪は、わいせつの目的で16歳未満の者に対し、①威迫し、偽計を用い又は誘惑しするか、②拒まれたにもかかわらず、反復するか、③金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をして面会を要求した場合に成立します。

具体的には、俺の親戚にはヤクザがいる会わないとどうなるかわかるな等威迫する場合、会わないと言われているのにしつこく会おうよとメッセージを送り続ける場合、会ってくれたら何万円あげるよと言って会おうとする場合などが考えられます。
なお、16歳未満の者が13歳以上である場合には、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限るという年齢による制限もあります。

まずは弁護士に相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、逮捕などの身体拘束からの解放や示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

【事例解説】女性に連絡を取り続けた男がストーカー規制法違反で逮捕

2024-03-18

交際を申し込んだ相手女性に振られた後に、相手が嫌がっているにもかかわらず、繰り返し電話をかけ自分と会うように要求するなどした男がストーカー規制法違反で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

ストーカー

・事件概要

愛知県西警察署は、交際を申し込んだ相手女性に振られた後に、相手が嫌がっているにもかかわらず、繰り返し電話をかけ自分と会うように要求し、着信拒否されると相手女性の勤務先に待ち伏せるなどした男(29)をストーカー規制法違反の容疑で逮捕しました。
西警察署の取調べに対し、男は、「交際を申し込んだら振られてしまったが、自分のことをもっと知ってもらったら考えが変わるはずなので、とりあえず会って話す必要があると思った。そのために何回か電話をかけたが繋がらなくなったので勤務先に行って会おうと思った」と供述しています。
(フィクションです)

・ストーカー規制法違反とは

ストーカー規制法(出典/e-GOV法令検索)は、振られた相手などの特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情や、そういった自身の感情が満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者などに対し、「つきまとい等」をすることを禁じています(同法3条)。
ここでいう「つきまとい等」とは、例えば、相手の自宅や勤務先などで待ち伏せしたり、自分と会って話すことを要求したり、電話しないで欲しいと言われているのにもかかわらず振り返し電話することなどが含まれます(同法2条1項1号、3号、5号)。
このような行為を、同一相手に対し反復して行った場合、「ストーカー行為」として処罰の対象になる可能性があります。(同法2条4項)
ストーカー規制法18条で、ストーカー行為をしたものは「一年以下の懲役または百万円以下の罰金」と規定されています。

・事例の男のストーカー行為について 

本件で男は、自分が好意を抱いている女性に対し、自身の恋愛感情を充足するために、①相手からやめて欲しいと言われているにもかかわらず繰り返し電話をかけ(同法2条5号)、②自分と会って話をすることを要求しています(同法2条)。
そして、相手女性から着信拒否されてしまい電話が繋がらなくなったため、③その勤務先に待ち伏せしたようです(同法2条1号)。
男のしたこれらの行為は、ストーカ規制法の定める「つきまとい等」に当たる可能性がある上、男はこれらの行為を反復して行っていたようですから「ストーカー行為」に当たる可能性があります。

上述の通り、ストーカー行為は、1年以下の懲役または百万円以下の罰金に処せられますが、一定の場合にはさらに刑が加重されることがあります。
本件のような男の行為に対し、警察本部長等は「警告」を(同法4条)、都道府県公安委員会は「禁止命令等」を発することがあり(同法5条)、禁止命令等に違反してストーカー行為をした者は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されることがあります。

・ストーカー規制法違反で逮捕された場合の刑事弁護

ストーカー規制法違反は被害者のいる犯罪ですから、ストーカー規制法違反で逮捕された場合、被害者との間で示談を成立させることができるかが重要となります。
ストーカー規制法違反は、被害者の告訴がなくても起訴される可能性のある非親告罪ですが、起訴をすれば被害者にとっても大きな負担になるため、被害者の意思を尊重する運用が取られています。
したがって、不起訴を目指すためには、被害者との間で示談が成立していることが重要となります。

もっとも、加害者自ら示談交渉のために被害者と接触しようとしても拒絶される可能性が非常に高いです。
そこで、示談交渉の経験豊富な弁護士に示談交渉は一任されることをおすすめします。

・まずは弁護士に相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、逮捕などの身体拘束からの解放や示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

【事例解説】触法少年によるわいせつ事件の弁護活動(13歳の少年に警察から呼出しがあった架空の事例に基づく解説)

2024-01-18

 13歳の少年が女児にわいせつ行為を行った架空の事例を参考に、14歳に満たない者が犯罪に該当する行為をした場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

 札幌市内在住の少年A(13歳)が、小学校から帰宅途中の女児V(8歳)の陰部を下着の上から触るわいせつな行為を行いました。
 帰宅したVから事件の話を聞いた母親が警察に通報し、後日、Aは、札幌中央警察署から本事件の調査のための呼出しを受けました。
(事例はフィクションです。)

14歳に満たない者が犯罪に該当する行為をした場合の取扱い

 刑法第41条で、14歳に満たない者の行為は罰しない、と定めています。
 これは、14歳未満の者については、一律に責任能力を否定し、罪を犯し得ないとされているためです。
本件Aの行為は、Aが14歳以上であればVに対する不同意わいせつ罪に該当し得るものですが、Aは行為時において13歳のため、犯罪は成立せず、Aに刑罰が科されることはありません。

 しかし、14歳未満の者で、刑罰法令に触れる行為(つまり、犯罪に該当する行為)をした少年(以下、「触法少年」といいます。)は、児童福祉法及び少年法の手続きにより、調査や家庭裁判所の審判(以下、「少年審判」といいます。)の対象となることがあります(少年法第3条など)。

警察・児童相談所の調査について

 触法少年が起こした事件(以下、「触法事件」といいます。)の場合、警察は刑事事件として捜査を行うことができず、逮捕・勾留といった身体拘束を行うこともありません。
警察は、事件について調査を行い、少年の行為が一定の重大な罪に係る刑罰法令に触れる場合など、事件を児童相談所に送致します(少年法第6条の2、6条の6)。

 事件が送致されると、児童相談所は、少年が再び同じ非行を行わないために、どういった処遇が必要かなどを判断するための調査を行います。
調査は在宅で行われることもありますが、児童の安全の確保や行動観察などのために、児童相談所等に「一時保護」される場合もあります(児童福祉法第33条)。

 調査の結果、少年や保護者への訓戒や児童福祉士らによる指導継続、又は児童養護施設等入所といった福祉的措置で終わることもありますが、少年審判に付することが適当と認められる場合は、事件は家庭裁判所に送致されます(児童福祉法第27条、少年法第6条の7)。

家庭裁判所の調査・審判について

 事件が家庭裁判所に送致されると、少年が非行に至ってしまった原因を探り、どうすれば再非行をせずに立ち直ることができるかなどを探るため、家庭裁判所調査官による調査が行われます。
 調査は在宅で行われることもありますが、少年の心身の状況等の鑑別などのために、「観護措置」として、原則4週間、少年鑑別所に収容される場合もあります(少年法第17条第1項、3項、4項)。

 調査の結果、少年審判が開始され、少年の非行事実があると認められた場合、非行内容や少年の抱える問題性(「要保護性」といいます。)に応じて、処分を決定します(保護処分又は不処分の決定)。

 保護処分は、重い順に、少年院送致、児童自立支援施設・児童養護施設送致、保護観察処分、となっていますが、決定の時に14歳に満たない者の場合、少年院送致は、特に必要と認める場合に限り行われます(少年法第24条第1項)。
 保護観察処分は前2者と異なり、少年を家庭等に置いたまま、保護観察官による指導監督という社会内処遇によって、少年の更生を目指すものです。

触法事件における弁護活動

 事件に関する調査が開始された場合、弁護士は、警察や児童相談所の調査への対応に関するアドバイスを行います。特に、触法少年の場合は、自分が思っていることを上手く表現することができない場合もあるため、警察などへの対応は、慎重に行う必要があります。
 児童裁判所に送致された後、一時保護される可能性のある事案においては、一時保護の必要性があるのかを検討し、回避に向けた取組みを行う必要がある場合も考えられます。

 少年法は、「少年の更生を図る」ことを目的としていることから、少年事件では、「要保護性」をいかに解消できるかが問題となるため、事件が家庭裁判所に送られた後は、弁護士が付添人(少年法第10条)として、少年の更生に向けた活動をし、家庭裁判所に対し適切な処分を求めることが考えられます。
 具体的には、少年の家庭や学校での普段の素行を踏まえ、少年本人への働き掛けや、ご家族と協力して、少年を取り巻く環境を整えるなどし、少年が再び非行を行う危険性がない事情などを説明していくことになります。

 これまで述べたとおり、少年事件、特に触法事件は、児童相談所の関与など成人事件とは異なる点が多く、どのような段階で、どのような対応をしていくべきか専門的な判断を必要としますので、できるだけ早期の段階で、触法事件の弁護活動の経験が豊富な弁護士に相談することをお勧めします。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、主に刑事事件や少年事件を取り扱っており、触法事件における弁護活動の豊富な実績があります。
 ご家族が少年事件の加害者となるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】陸上大会で女子選手の下半身を撮影し逮捕(後編 ※福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)の成立について)

2024-01-11

 前回に引き続き、高校生の陸上競技大会で女子選手の下半身を撮影したとして、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)で逮捕された架空の事件を参考に、性的姿態等撮影罪や迷惑行為防止条例違反(盗撮、卑わいな言動)の成立とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

 福岡市内であった高校生の陸上競技大会で女子選手の下半身を撮影したとして、同市内在住の男性Aが、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)の容疑で逮捕されました。
 福岡県中央警察署の調べによると、Aは、福岡市内であった高校生の陸上競技大会で、10代の女子選手の下半身をデジタルカメラでズーム撮影していたところ、それに気付いた選手の保護者が警察に通報しました。
 Aは、「服の上から撮影するだけでは罪にならないと思っていた」と、供述しているとのことです。
(事例はフィクションです。)

前回の前編では、性的姿態等撮影罪の成立について、解説しました。

福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)とは

 盗撮行為につき性的姿態等撮影罪が成立しない場合であっても、各都道府県が定める迷惑行為防止条例において規定されている「卑わいな言動」として、処罰の対象になる可能性があります。

 福岡県迷惑行為防止条例では、何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、「卑わいな言動」を行ってはならない、と規定されています(第6条第1項2号)。

 そのため、本件Aのように、「公共の場所」といえる陸上競技場で、女子選手の下半身をデジタルカメラでズーム撮影したという場合、その女子選手に恥ずかしい思いをさせたり、不安を覚えさせる「卑わいな言動」を行ったとして、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)が成立する可能性があります。

 なお、Aは、「服の上から撮影するだけでは罪にならないと思っていた」と供述していますが、刑法第38条第3項で、法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない、と規定されているため、罪の成立は妨げられないこととなります。

盗撮行為を罪に問われた場合の刑事弁護

 福岡県迷惑行為防止条例違反(盗撮、卑わいな言動)の法定刑は、常習でない場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金ですが、性的姿態等撮影罪の法定刑は、未遂犯を含めて、3年以下の拘禁刑(施行までは懲役刑)又は300万円以下の罰金と、大きな開きがあります。

 福岡県迷惑行為防止条例違反(盗撮、卑わいな言動)で逮捕された場合、初犯であり、被害者との示談が成立すれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高かったのですが、厳罰化された性的姿態等撮影罪においては、同様に不起訴処分を獲得できるとは必ずしも限らない可能性があります。

 盗撮行為に関する処罰規定は大幅に改正されたばかりということもあるため、盗撮行為を罪に問われた場合、今後どのような手続で事件が進み、どの程度の刑罰が科される可能性があるのか、刑事事件に強い弁護士に相談されることをお勧めします。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、新法制定前の福岡県迷惑防止条例違反事件において、身体拘束からの解放や示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。

 盗撮行為を行ったとして、ご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

【事例解説】陸上大会で女子選手の下半身を撮影し逮捕(前編 ※性的姿態等撮影罪の成立について)

2024-01-04

 高校生の陸上競技大会で女子選手の下半身を撮影したとして、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)で逮捕された架空の事件を参考に、性的姿態等撮影罪や迷惑行為防止条例違反(盗撮、卑わいな言動)の成立とその弁護活動について、前編・後編に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

 福岡市内であった高校生の陸上競技大会で女子選手の下半身を撮影したとして、同市内在住の男性Aが、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)の容疑で逮捕されました。
 福岡県中央警察署の調べによると、Aは、福岡市内であった高校生の陸上競技大会で、10代の女子選手の下半身をデジタルカメラでズーム撮影していたところ、それに気付いた選手の保護者が警察に通報しました。
 Aは、「服の上から撮影するだけでは罪にならないと思っていた」と、供述しているとのことです。
(事例はフィクションです。)

性的姿態等撮影罪の成立について

 令和5年7月13日に施行された「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(「性的姿態撮影等処罰法」)により、従来、各都道府県の迷惑行為防止条例違反として処罰されていた盗撮行為は基本的に、「性的姿態等撮影罪」(同法2条1項)として、全国一律での処罰の対象となりました。

 本件Aの盗撮行為につき、性的姿態等撮影罪が成立するでしょうか。

 同罪では、「性的姿態等」を正当な理由がなくひそかに撮影する行為を、一定の例外を除き処罰すると定めています。
 この「性的姿態等」の対象として、(1)人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部)、又は(2)人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を覆っている部分、と規定されています(同法2条1項1号イ参照)。
 スカートの中の下着を盗撮するような、性的姿態等撮影罪が成立し得る典型的な例とは異なり、衣服の上からの撮影にとどまる場合は、通常、「性的姿態等」の撮影に該当しないと考えられます。

 本件Aは、陸上競技のユニフォームを着た女子選手の下半身の撮影ということであり、透視機能付きカメラでもなく、大腿部の撮影とユニフォームの上からの臀部の撮影にとどまるものであれば、性的姿態等撮影罪が成立する可能性は低いと考えられます。

 なお、性的姿態等撮影罪には未遂犯の処罰規定があるため、「性的姿態等」を撮影しようとしていたと認められる場合は、未遂犯として処罰される可能性があります(同法2条2項)。

次回の後編では、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)について、解説します。

盗撮行為を罪に問われた場合の刑事弁護

 福岡県迷惑行為防止条例違反(盗撮、卑わいな言動)の法定刑は、常習でない場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金ですが、性的姿態等撮影罪の法定刑は、未遂犯を含めて、3年以下の拘禁刑(施行までは懲役刑)又は300万円以下の罰金と、大きな開きがあります。

 福岡県迷惑行為防止条例違反(盗撮、卑わいな言動)で逮捕された場合、初犯であり、被害者との示談が成立すれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高かったのですが、厳罰化された性的姿態等撮影罪においては、同様に不起訴処分を獲得できるとは必ずしも限らない可能性があります。

 撮行為に関する処罰規定は大幅に改正されたばかりということもあるため、盗撮行為を罪に問われた場合、今後どのような手続で事件が進み、どの程度の刑罰が科される可能性があるのか、刑事事件に強い弁護士に相談されることをお勧めします。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、新法制定前の福岡県迷惑防止条例違反事件において、身体拘束からの解放や示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。

 盗撮行為を行ったとして、ご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

【事例解説】「身分なき共犯」として監護者性交等罪で起訴された事件(後編 ※「身分なき共犯」について)

2023-12-28

 前回に引き続き、交際相手の未成年の娘と性交したとして、交際相手である母親とともに監護者性交等罪で起訴された架空の事件を参考に、監護者性交等罪の成立とその弁護活動、「身分なき共犯」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介:交際相手の未成年の娘と性交したケース

 交際していた女性Bの娘V(16歳)と性交したとして、千葉市在住の男性Aが、監護者性交等罪で起訴されました。
 捜査機関の調べによると、AとBは出会い系サイトで知り合って交際を開始し、Aは、Bの娘Vが18歳未満だと知りながら性交したいと考え、Bに依頼してVに性交に応じるよう説得させ、Vと性交するようになったとのことです。
 A、Bは起訴内容を認めています。
(事例はフィクションです。)

前回の前編では、監護者性交等罪の成立について解説しました。

「身分なき共犯」について

 監護者性交等罪は、犯人が「監護者」であることが成立要件となっていますが、このように、犯人が一定の身分を有することが成立要件である犯罪を「真正身分犯」と呼び、「身分を有しない者」が行っても、犯罪は成立しないこととなります。

 保護者の交際相手の立場であっても、「監護者」と認められる可能性はあるものの、本件Aは、居住状況、生活状況、経済的状況などから、Vの「監護者」とまでは認められなかったようです。よって、Aに監護者性交等罪は成立し得ないとも思われます。

 しかし、「身分を有する者」の犯行に「身分を有しない者」が加担した場合は、「身分を有しない者」にも当該犯罪の共犯が成立するとされます(刑法第65条第1項)

 本件では、Vの「監護者」と認められる母親のBについて、Aとの性交に応じるようVを説得したという役割の大きさなどから、監護者性交等罪が成立し得ることを前提に、Bの犯行に「身分を有しない者」であるAが加担したとして、「身分を有しない者」であるAにも監護者性交等罪の共犯が成立し得るとして、起訴されたものと考えられます。

監護者性交等罪の弁護活動

 監護者性交等罪は、法定刑が5年以上の有期拘禁刑(拘禁刑の施行までは懲役)のため、起訴されると正式な裁判となります。

 被害者が未成年者である性犯罪の弁護活動では一般的に、不起訴処分等を目指して、被害者の両親等の保護者との示談を目指すことが重要となりますが、監護者性交等罪では被疑者が監護者の立場にあるため、示談を行うことがそもそも想定できない場合があります。

 このような場合、不起訴処分や刑の減軽を得るために、真摯な反省とともに再犯防止の意欲や取組みを、検察官や裁判官に具体的に示すことが特に重要になると考えられます。
性犯罪再犯防止のカウンセリング等を受ける意欲を示すことや、被害者やその家族との元々の関係性に応じて、離婚や交際の解消、離縁や別居等により、被害者である児童が安心して生活できるよう環境調整を行っていることを示すことなどが考えられます。
 被害者の今後の生活環境や家族関係に関わることであるため、弁護活動においては、被害者とその家族の心情に配慮した調整が必要となります。

 このように、監護者性交等罪の刑事弁護は、通常の性犯罪の場合とは異なる対応が求められることが想定されるため、刑事事件に強く、被害者が未成年者である場合を含む、様々な性犯罪の刑事弁護の経験豊富な弁護士への相談をお勧めします。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、被害者が未成年者である様々な性犯罪において、不起訴処分や刑の減軽などを獲得した実績があります。
 ご家族が監護者性交等罪などで逮捕されご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】「身分なき共犯」として監護者性交等罪で起訴された事件(前編 ※監護者性交等罪について)

2023-12-21

 交際相手の未成年の娘と性交したとして、交際相手である母親とともに監護者性交等罪で起訴された事件を参考に、監護者性交等罪の成立とその弁護活動、「身分なき共犯」について、前編・後編に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介:交際相手の未成年の娘と性交したケース

 交際していた女性Bの娘V(16歳)と性交したとして、千葉市在住の男性Aが、監護者性交等罪で起訴されました。
 捜査機関の調べによると、AとBは出会い系サイトで知り合って交際を開始し、Aは、Bの娘Vが18歳未満だと知りながら性交したいと考え、Bに依頼してVに性交に応じるよう説得させ、Vと 性交するようになったとのことです。
 A、Bは起訴内容を認めています。
(事例はフィクションです。)

監護者性交等罪について

 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、5年以上の有期拘禁刑に処する、と定められています(刑法第179条)。

 監護者性交等罪は、被害者が18歳未満であり、精神的・経済的に監護者に依存している状況においては、そのような関係性を利用して性交等をした場合、不同意性交等罪(刑法第177条)の成立要件に該当しない場合でも、被害者の自由な意思決定に基づくものではないと考えられることから、不同意性交等罪と同等の悪質性があるものとして、これと同様に処罰するものとされます。

 「監護する者」(「監護者」)とは、同居の両親等の法律上の監護権(民法820条)を有する者に限られず、事実上、現に18歳未満の者を監督・保護する者とされ、同居の有無等の居住状況、身の回りの世話等の生活状況、生活費の負担等の経済的状況などを考慮して判断されます。

 「影響力」とは、監護者が被監護者の生活全般にわたり、衣食住などの経済的な観点や生活上の指導・監督などの精神的な観点から、現に被監督者を監督し、保護することによる生じる影響力とされ、行為時においてもその影響力を及ぼしている状態で性交等をした場合、監護者性交等罪が成立し得ます。

次回の後編では、「身分なき共犯」について、解説します。

監護者性交等罪の弁護活動

 監護者性交等罪は、法定刑が5年以上の有期拘禁刑(拘禁刑の施行までは懲役)のため、起訴されると正式な裁判となります。

 被害者が未成年者である性犯罪の弁護活動では一般的に、不起訴処分等を目指して、被害者の両親等の保護者との示談を目指すことが重要となりますが、監護者性交等罪では被疑者が監護者の立場にあるため、示談を行うことがそもそも想定できない場合があります。

 このような場合、不起訴処分や刑の減軽を得るために、真摯な反省とともに再犯防止の意欲や取組みを、検察官や裁判官に具体的に示すことが特に重要になると考えられます。
性犯罪再犯防止のカウンセリング等を受ける意欲を示すことや、被害者やその家族との元々の関係性に応じて、離婚や交際の解消、離縁や別居等により、被害者である児童が安心して生活できるよう環境調整を行っていることを示すことなどが考えられます。
 被害者の今後の生活環境や家族関係に関わることであるため、弁護活動においては、被害者とその家族の心情に配慮した調整が必要となります。

 このように、監護者性交等罪の刑事弁護は、通常の性犯罪の場合とは異なる対応が求められることが想定されるため、刑事事件に強く、被害者が未成年者である場合を含む、様々な性犯罪の刑事弁護の経験豊富な弁護士への相談をお勧めします。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、被害者が未成年者である様々な性犯罪において、不起訴処分や刑の減軽などを獲得した実績があります。
 ご家族が監護者性交等罪などで逮捕されご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】わいせつ目的で幼児を多目的トイレに連れ込み逮捕(後編 ※不同意わいせつ罪の成立と中止未遂についての解説)

2023-12-14

 

 前回に引き続き、わいせつ目的で幼児を多目的トイレに連れ込み、わいせつ誘拐罪などで逮捕された架空の事件を参考に、わいせつ誘拐罪、監禁罪、不同意わいせつ罪の成立とその弁護活動及び未遂と中止未遂ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

 京都市内のショッピングモールで、女児V(4歳)を多目的トイレに連れ込み、わいせつな行為をしようとしたとして、京都市在住の会社員の男A(25歳)が、わいせつ誘拐、監禁、不同意わいせつ未遂の容疑で逮捕されました。
 警察の調べによると、犯行当時、玩具売場で母親から離れて1人で遊んでいるVに、「お母さんが探している」と嘘を告げ、わいせつ行為を行う目的で、玩具売場外の多目的トイレに連れ込んで中から鍵をかけたところ、Vが泣き叫んだため解放したとのことです。
 Aは容疑を認めており、「Vが泣いてかわいそうになったので、わいせつ行為には及んでいない」と供述しているとのことです。
(事例はフィクションです。)

前回の前編では、わいせつ誘拐罪、監禁罪及び不同意わいせつ罪の成立について解説しました。

未遂とは

 本件Aは、Vにわいせつ行為を行う前に解放したとして、同罪の未遂の容疑で逮捕されています。

 未遂とは、犯罪の実行に着手したが、これを遂げなかった場合、と規定されています(刑法第43条)。
どの時点で「犯罪の実行に着手した」と認定されるかについて、判例上明確な基準はありませんが、犯罪の結果発生の現実的危険性のある行為が開始された時点、と解する立場が有力です。

 旧強姦罪(現行法の不同意性交等罪)の判例ですが、被害者を性交目的でダンプカーの運転席に引きずり込もうとした段階で、犯罪の実行に着手したと認定し未遂犯が成立したものがあります。

 本件で、Aがわいせつ目的でVを多目的トイレに監禁し、Vの服を脱がせようとするなどのわいせつ行為に及ぶような挙動を見せていた場合、不同意わいせつ罪の現実的危険性が生じるに至ったとして、不同意わいせつ罪の実行に着手したと認定され得ると考えられます。

中止未遂とは

 未遂の場合は、刑を減軽することができる、と規定されていますが、未遂のうち、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する、と規定されています(刑法第43条)。
 刑が必ず減軽又は免除される点で、通常の未遂と区別して、中止未遂と呼ばれます。

 「自己の意思により犯罪を中止した」について、判例上明確な基準はありませんが、通常犯行の継続を思いとどまらせるような外部的事情により犯行を中止したような場合は、自発的意思による犯行の中止とは言えないため、中止未遂は成立しないとされます。

 本件でAは、「Vが泣いてかわいそうになったので、わいせつ行為には及んでいない」と供述していますが、多目的トイレの外にVの泣き叫ぶ声が漏れて、犯行が直ちに発覚するのを防ぐためなど、やむなく犯行を中止したものと認定された場合は、中止未遂は成立しないこととなります。
 中止未遂が成立しない場合は、通常の未遂として、刑が任意的に減免されることとなります。

幼児に対するわいせつ誘拐罪などの弁護活動

 幼児が被害者となるわいせつ誘拐罪や不同意わいせつ罪などは、被害児童の今後の日常生活や対人関係に深刻な影響を及ぼす可能性があり、悪質と評価されやすく、被害者側との示談が成立したとしても不起訴処分を得られるとは限りません。
 しかしながら、示談の成否は、起訴された場合の量刑や執行猶予の判断にも影響を及ぼし得るため、示談を成立させることはなお重要と言えます。

 示談交渉は通常、被害者本人と行うものですが、被害者が幼児である場合は、当然ながら、両親等の保護者と行うこととなります。
 保護者は、子どもの心身に深刻な被害を受けたということで、犯人を許せないという処罰感情が強いことが一般的であり、示談交渉を断られる可能性もあるため、刑事事件に強く、示談交渉の経験の豊富な弁護士への相談をお勧めします。

 また、中止未遂が認められる可能性がある場合、被疑者(被告人)にとって有利となる事情を捜査機関や裁判所に的確に主張できるかが重要であり、この点からも、出来るだけ早く刑事事件に強い弁護士に相談し、適切な弁護活動を開始してもらうことをお勧めします。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、未成年者が被害者である様々な性犯罪において、保護者との示談締結により不起訴処分や刑の減軽などを獲得した実績があります。
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