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準強制わいせつ罪で不起訴獲得
準強制わいせつ罪と不起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪府寝屋川市に住む大学生のAさん(22歳)は、サークルの活動の飲み会に参加しました。そして、Aさんは飲み会がお開きになった後、トイレに行こうとしたところ、別室で泥酔状態でぐったりとしているVさん(21歳)を見つけました。AさんはVさんとは日頃から良く話す仲で、お互い少しずつ好意を寄せていることを感じていました。そこで、Aさんは「この隙に」と思い、Vさんの胸を数回揉みながらVさんの口にキスをしました。すると、Vさんが意識を取り戻し、Vさんから「触ったでしょ?」と言われました。そして、Aさんは、後日、大阪府寝屋川警察署に準強制わいせつ罪で逮捕されてしまいました。Vさんが警察署に被害届を提出したようです。
(フィクションです。)
~準強制わいせつ罪~
準強制わいせつ罪は刑法178条1項に規定されています。
刑法178条1項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
刑法176条
13 歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
「心神喪失」とは、精神上の障害によって正常な判断を失っている状態をいいます。具体的には、熟睡、泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。責任能力における心神喪失(刑法39条1項)とは若干意味が異なります(責任能力における心神喪失とは、精神病や薬物中毒などによる精神障害のために、自分のしていることが善いことか悪いことかを判断したり、その能力に従って行動する能力のないことをいいます)。
「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。睡眠中、泥酔中、麻酔中、催眠状態など、心神喪失以外の理由でわいせつな行為をされていることを認識していない場合がこれに当たります。また、わいせつな行為をされること自体認識していても、加害者の言動によりこれを拒むことを期待することが著しく困難な状態なども含まれます。
「(心身喪失・抗拒不能に)乗じる」とは既存の当該状態を利用することをいいます。当該状態を作出した者とわいせつ行為をした者が同一であることは必要ではありません。「(心神喪失・抗拒不能)にさせる」手段には制限はありません。麻酔薬、睡眠薬の投与・使用、催眠術の施用、欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。
~不起訴獲得に向けて~
準強制わいせつ罪は懲役刑しか規定されていません。
ですから、起訴されれば必ず正式裁判を受けなければなりません。
起訴後は保釈されなければ裁判が終わるまで身柄を拘束され続けます。
このような事態を避けるには、起訴を回避する、つまり不起訴を獲得することが必要です。
不起訴を獲得するには、事実を認め、被害者に真摯に謝罪し、示談を成立させる必要があります。
また、起訴か不起訴かを判断するのは検察官ですから、示談は検察官が刑事処分の決める前に成立させ、その結果を検察官にアピールしなければなりません。
時間との勝負でもありますから、事件に対してどのような態度で臨むのか迷われている方ははやめに弁護士に相談する必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。お気軽にご相談ください。
風営法と不起訴
風営法と不起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪府貝塚市に住むAさんは、キャバクラで、18歳未満の女性を働かせ客の接待をさせていたとして、風営法違反の罪で大阪府貝塚警察署に逮捕されました。Aさんは、今後の営業のためにも不起訴処分を獲得したいと考えています。
(フィクションです)
~風営法~
風営法は、正式名称、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「法律」)といいます。
その名のとおり、法律では「風俗営業等」に関する必要な規制等を定めています。
法律22条1項各号には、以下のとおり、風俗営業における禁止行為が定められています。
風俗営業を営むものは、次に掲げる行為をしてはならない。
1号:客引きをすること
2号:客引きのための立ちふさがり、つきまといをすること
3号:営業所で18歳未満の者に客の接待をさせること
4号:営業所で18歳未満の者を客に接する業務に従事させること(午後10時から午前6時までの間)
5号:18歳未満の者を営業所に客として立入らせること
6号:営業所で20歳未満の者に酒類又はたばこを提供すること
ところで「接待」とは、法律2条3項で「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう」とされており、具体的には、「営業者、従業者等との会話やサービス等慰安や歓楽を期待して来客する客に対して、その気持ちに応えるため営業者側の積極的な行為として相手を特定して3の各号に掲げるような興趣を添える会話やサービス等を行うことをいう。言い換えれば、特定の客又は客のグループに対して単なる飲食行為に通常伴う提供を超える程度の会話やサービス行為等を行うこと」をいいます。
具体的には「談笑、お酌等」、「ショー等」、「歌唱等」、「ダンス」、「遊戯等」、「その他」などがあります。
罰則は「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金」、場合によっては、懲役刑と罰金刑を併科(両方の刑を受ける)です。
されるおそれがあります。
~風営法違反と不起訴処分~
不起訴処分と言っても、その理由付けは様々ですが、大方次の2つを意味します。
一つは、関係証拠から犯罪事実を認定することはできるが、情状を考慮して不起訴処分とするもの(起訴猶予)。
もう一つは、犯罪事実を認定するに足りる証拠が不十分で不起訴処分とするもの(嫌疑不十分)です。
もちろん、風営法でも不起訴処分を獲得することは可能です。
前者では、Aさんが営業取消し処分を受けたことなど社会的制裁を受けたこと、再発防止のための環境が整えているなど、有利な情状につき検察官に主張して不起訴処分の獲得を目指します。
後者では、Aさんは、通常、「18歳未満であると知らなかった」などと事実を否認している思われます。
その場合、従業員への聞き込みや、契約内容を精査するなどしてその事実を示す証拠を収集し、検察官に意見を主張することで不起訴処分の獲得を目指します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。お気軽にご相談ください。
準強制わいせつ事件で逮捕・示談に向けた弁護活動
準強制わいせつ事件で逮捕されてしまった事案における示談に向けた弁護活動ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~事例~
Aは、兵庫県伊丹市で整体院を営んでいるが、同整体院において、施術中に無抵抗の女性Vに対してわいせつな行為を行った。
兵庫県伊丹警察署の警察官は、Aを準強制わいせつの疑いで逮捕した。
Aの家族は、性犯罪事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~準強制わいせつ罪について~
本件ではAは、自らが経営する整体院においてわいせつな行為を行ったとして準強制わいせつ罪で逮捕されています。
「強制わいせつ罪」と比して「準強制わいせつ罪」は一般にはあまり耳慣れない犯罪かもしれません。
以下では、準強制わいせつ罪について、強制わいせつ罪と比較しながら見ていくことにします。
この点、刑法176条は、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする」と、強制わいせつ罪を定めています。
これに対し、刑法178条1項では、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による」と、準強制わいせつ罪が定められています。
本件についてこれらの条文の適用関係をみてみると、まず本件では176条の強制わいせつ罪が成立するための前提である「暴行又は脅迫」行為が行われていません。
したがって、Aの行為に強制わいせつ罪は成立しないことになります。
したがって、次にAの行為がVを「抗拒不能」にして行われたかどうかをみていくことになります。
ここにいう「抗拒不能」とは、心理的または物理的に抵抗できない状態 をいうと解されています。
本件のような整体の施術中においては、一般に女性1人ではわいせつ行為に対し心理的・物理的に抵抗することは困難であると考えられ、施術中におけるわいせつ行為は「抗拒不能」にして行われたものということができるでしょう。
したがって、本件Aの行為には強制わいせつ罪は成立しないものの、準強制わいせつ罪が成立するものと考えられるのです。
~準強制わいせつ事件における示談を目指した弁護活動~
本件のような準強制わいせつ罪も含めた刑法典の性犯罪規定は、平成29年 の刑法改正によって非親告罪となりました。
つまり、親告罪であった改正前であれば、示談を成立させた上で告訴を取り下げてもらうことによって確実に不起訴となることが可能でしたが、親告罪ではなくなった改正後においては理論上は告訴の取り下げによって当然に不起訴となることはなくなりました。
もっとも、非親告罪となった改正後においても、起訴するか否かの判断には被害者の意思が尊重されており、示談が成立しているか否かはこの判断に大きく影響することは変わらないと考えられています。
したがって、準強制わいせつ事件のような性犯罪事件においては、被害者との示談成立に向けた弁護活動を行っていくことが極めて重要になってくるといえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、準強制わいせつ罪などの性犯罪事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
性犯罪事件の弁護活動の経験が豊富な弁護士が、依頼者様のために適切な弁護活動を行って参ります。
準強制わいせつ事件で逮捕された方のご家族等は、24時間通話可能なフリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。
不退去罪で取調べ
今回は、不退去事件を起こした大学生の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
京都市上京区に住むAさんは3回生の大学生です。
深夜、友人女性V宅に遊びに行っていたところ、同女と性交したいと考えたので、「一発やらせてほしい」などと依頼しました。
同女はこれを拒絶し、Aさんに何度も帰るよう要求したのですが、Aさんがしつこく性交を要求するので、Vはやむなく京都府上京警察署を呼びました。
Aさんは任意同行を求められ、取調べを受けました。
Aさんが逮捕されることはありませんでしたが、警察官からは「これから何度か出頭してもらうことになる。呼ばれたら警察署に来てほしい」と告げられています。
Aさんはこれからどうなるのでしょうか。(フィクションです)
~聞き慣れない「不退去罪」について解説~
正当な理由がないのに、要求を受けたにもかかわらず、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船から退去しない犯罪です(刑法第130条後段)。
刑法第130条前段においては、巷においてもよく知られている「住居侵入等罪」が定められていますが、同条後段においては、「不退去罪」という犯罪が定められています。
不退去罪の主体は、適法に又は過失により「人の住居」、「人の看守する邸宅、建造物、艦船」に立ち入った者に限られます。
したがって、違法に人の住居等に侵入し、住居侵入等罪が成立する場合には、不退去罪は成立しません(最高裁昭和31年8月22日決定)。
「要求を受けたにもかかわらず」という文言ですが、退去するよう要求しうる者は、住居侵入罪における立入りに有効な承諾を与えうる者をいい、これらの者から退去要求の権限行使を委任された者も、その範囲内で退去を要求できます。
住居の管理権者は、「退去するよう要求し得る者」に該当するでしょう。
「不退去」とは、文字通り、正当な理由なく、住居等から退去をしないことをいいます。
~ケースの場合を検討~
(Aさんは不退去罪の主体になるか?)
AさんはVの友人であり、V宅に遊びに行っていた、ということですから、V宅に立ち入ることについては、Vの承諾があったものと考えられます。
したがって、Aさんの立入りは適法なので、Aさんは不退去罪の主体になり得ます。
(「要求を受けたにもかかわらず」という点)
Vは、V宅について管理権を有していると考えられるので、「退去するよう要求し得る者」に該当すると思われます。
AさんがVにしつこく性交を求めたところ、Vに何度も帰るよう求められた、という事実関係においては、「要求を受けたにもかかわらず」という要件を満たすと考えられます。
(Aさんの不退去)
Vから何度も帰るよう告げられているのに、V宅を出て行かなかったAさんの行為は「不退去」に当たるでしょう。
以上の事実関係によれば、Aさんに不退去罪が成立する可能性は高いと思われます。
~今後必要な弁護活動~
事件を検察に送致せず、警察限りで終了させる「微罪処分」という事件処理があります。
しかし、不退去の動機が性的満足を得るというものであることを考慮すると、微罪処分は難しいかもしれません。
事件が検察に送致され、起訴されてしまうと、前科がついてしまう可能性が極めて高いです。
そこで、Vと示談をし、不起訴処分を目指すことが考えられます。
不起訴処分を獲得できれば、裁判にかけられることはないので、前科を付けずに事件を解決できることになります。
ケースのAさんは悪質な強制性交等罪や、強制わいせつ罪を犯したわけではなく、被疑事実は不退去罪のみに留まるでしょう。
このような場合は、不起訴処分を獲得できる見込みが十分あります。
弁護士のアドバイスを受けながら、事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
不退去事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
リベンジポルノ防止法違反で取調べ
リベンジポルノ防止法違反で取調べ
(1)事例
福岡県北九州市在住のA(26歳)は、元交際相手Ⅴの裸の写真をSNS上にアップロードしたとして、リベンジポルノ防止法違反容疑で福岡県八幡東警察署にて取調べを受けました。
Aはどうすればよいかわからず、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
(2)リベンジポルノ防止法とは
「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(通称リベンジポルノ防止法)は、平成26年11月に施行された比較的新しい法律です。
近年、性的な画像等を撮影対象者の同意なくインターネット上に拡散され、被害者が大きな精神的苦痛を受ける被害が増加しています。
このような実情に鑑みて、個人の名誉や私生活の平穏に対する侵害を防止する等の目的により、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」が制定されました。
(3)定義
同法の「私事性的画像記録」とは、性交や衣服を着けない等の人の姿態が撮影された電磁的記録(いわゆる電子データのこと)を指します。
「私事性的画像記録物」とはこの電磁的記録を記録した物(例えば写真、USBメモリーなど)を指します。
(4)リベンジポルノ防止法違反に当たる行為
リベンジポルノ防止法違反に当たる行為は、2つあります。
1つは、私事性的画像記録(物)を、第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、不特定若しくは多数の者に提供し、又は私事性的画像記録物を公然と陳列した場合です(公表罪)。
もう一つは、公表罪の行為をさせる目的で私事性的画像記録(物)を提供する行為をいいます(公表目的提供罪)。
リベンジポルノ防止法違反の罰則は、公表罪の場合は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金、公表目的提供罪の場合には1年以下の懲役又は30万円以下の罰金です。
リベンジポルノ問題は早期解決が特に重要です。
そのため、リベンジポルノ防止法違反にあたる行為をしてしまった方は早めに刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、リベンジポルノ防止法違反をはじめ、刑事事件に強い弁護士が多数在籍しております。
また、初回法律相談を無料で承っております。
無料法律相談のご予約は0120-631-881にて24時間受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください
連れ子への監護者性交等罪
連れ子への監護者性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。
~事例~
東京都墨田区在住のAはB女と同棲し、Bの前夫の子であるV女(14歳)と共に暮らしていた。
Aは、同居している母親の同棲相手としての立場を利用し、V女と性交行為を行うなどしていた。
警視庁向島警察署の警察官に、監護者性交等罪の容疑で逮捕した。
Aの家族は、性犯罪事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~監護者性交等罪(監護者わいせつ罪)とは~
本件では、Aは同棲相手Bの娘であるVと性交したことによって、監護者性交等罪で逮捕されています。
この点に関して刑法179条は、
・「18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条の例(注:6月以上10年以下の懲役に処する)による。」(同条1項)
・「18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第177条の例(注:5年以上の有期懲役に処する)による。」(同条2項)
と、1項において「監護者わいせつ罪」を、2項において「監護者性交等罪」を規定しています。
「監護者わいせつ罪」は、監護者としての影響力を利用してわいせつ行為を行うという点で、強制わいせつ罪(刑法176条)に対応しており、「監護者性交等罪」は、同様の影響力を利用して性交等を行うという点で、強制性交等罪(旧強姦罪・刑法177条)に対応しています。
これらは、平成29年(2017年)改正・施行の改正刑法によって、新設された規定です。
これらの規定は、暴行・脅迫や抗拒不能を認定できないことから旧強制わいせつ罪や旧強姦罪などで処罰が難しかった事案に対応するために設けられるに至った規定です。
本罪は、「現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて」、わいせつ行為や性交等をした場合に犯罪の成立を認めることで、上記のような刑法上の立法の隙間を埋めるための処罰規定となっています。
なお、このような監護者としての影響力が認められない場合にも、児童福祉法等の特別刑法や条例違反に当たりうることに注意が必要です。
~改正刑法と弁護士による弁護活動~
まず、刑法犯に関する性犯罪事件については、その多くが親告罪とされていました。
親告罪とは、告訴がなければ公訴を提起(起訴)することができない犯罪をいいます。
その帰結として、被害者が告訴を取り下げれば、検察官は起訴をすることはできません。
その意味でも、弁護士による捜査段階での弁護(起訴前弁護)での示談が極めて重要であったことが分かるでしょう。
しかし、上述のように今般の改正により、親告罪が規定されていた旧180条が削除されることによって非親告罪となり、被害者による告訴は検察官による起訴の条件とはならなくなったのです。
もっとも、本罪や強制性交等罪(旧強姦罪)や強制わいせつ罪といった性犯罪は、被害者からの告訴や被害届から発覚することが少なくない犯罪です。
そして改正後もなお、性犯罪における被害者の処罰感情は、検察官の訴追裁量に与える影響が大きいと考えられます。
このことからも、従前からの性犯罪に対する弁護活動の経験が活かされていくことは間違いなく、性犯罪事件の経験豊富な刑事事件専門の弁護士による捜査段階での弁護活動は重要性を失っていません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、監護者性交等罪を含む刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件専門に扱っていることから、刑事法に関する改正などのフォローアップも迅速に行っており、刑事弁護のエキスパートの弁護士が依頼者様のご相談を承ります。
監護者性交等罪でご家族等が逮捕されてしまった方は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。
女子高生に児童ポルノを送信させ取り調べ
今回は、児童ポルノを被害児童に送信させてしまった場合に成立する犯罪、及びその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
東京都八王子市に住むAさんは、SNSで知り合った17歳の女子高生Vに対し、裸の写真を送るよう要求し、これに応じたVから、同女の裸の画像を受け取りました。
後日、Aさんの自宅に警察官が現れ、警視庁八王子警察署に出頭を求められました。
出頭後、取り調べを受け、携帯電話などを押収されました。
Aさんはどうなるのでしょうか。(フィクションです)
~Aさんに成立する犯罪~
児童ポルノの単純所持罪が成立することになります。
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第7条1項は、
「自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。」
としています。
※「第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態」
①児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
②他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
が上記に該当します。
ケースの経緯からは、Aさんに児童ポルノの単純所持罪が成立する可能性が極めて高いと思われます。
児童ポルノの単純所持罪の法定刑は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっています。
~今後の手続~
Aさんが警察署で取り調べを受けた後、帰宅することができれば、在宅で事件が進行する可能性が高いと思われます。
反対に、取り調べ後に逮捕状が執行されてしまう場合もあります。
Aさんが取り調べで嘘をついたり、余罪が多数疑われる場合は、逮捕される可能性が高くなるでしょう。
在宅で事件が進行する場合は、何度か警察の出頭要請に応じて出頭し、取り調べを受けることになります。
警察での捜査が熟すると、事件が検察に送致されます。
検察での取り調べを受けた後、検察官がAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決定します。
捜査機関が他の身柄事件の処理をしている場合、身柄事件には厳格なタイムリミットがある関係で、在宅事件の処理は後回しになりがちです。
そのため、検察官による処分が決まるまで、数か月かかる場合もあります。
~Vと示談をする~
ケースのように被害児童が誰なのか明らかな場合は、被害児童(実際に交渉するのは児童の保護者になります)との示談を目指しましょう。
在宅事件であれば、比較的時間の余裕があるので、充実した示談交渉を行うことができるでしょう。
よい条件で示談が成立すれば、Aさんになされる処分が軽くなる可能性が高まります。
児童ポルノの単純所持につき起訴されてしまう可能性は、残念ながら比較的高いと言わざるを得ないのですが、示談を成立させることにより、不起訴処分を獲得できる可能性を高めることができます。
まずは、弁護士と相談し、被害者との示談交渉についてアドバイスを受けましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
児童ポルノ単純所持事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
小学校の教員が教え子の児童にわいせつな行為をし逮捕
今回は、小学校の教員が、児童にわいせつな行為をした疑いで逮捕されてしまった場合の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは横浜市内の小学校の教員をしています。
Aさんは小学3年生のクラスの担任であり、クラスの女子児童のVを気に入っていました。
ある日、用具室にVを呼出し、「成績がよくなるおまじない」などと称して、自身の男性器をなめさせるなどしました。
その時のVは特に気にしなかったのですが、Vがこのことを「学校での出来事」として、いつものように母親に話したところ、母親は激怒し、神奈川県加賀町警察署に相談しました。
Aさんが出勤するとき、逮捕状を携えた加賀町警察署の警察官が自宅に現れ、逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~強制わいせつ罪・強制性交等罪について解説~
強制わいせつ罪は、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をし、または、13歳未満の者に対し、わいせつな行為をする犯罪です(刑法第176条)。
一方、性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」といいます)をした場合は、強制性交等の罪となります(刑法第177条)。
ケースのVは13歳未満であるので、暴行・脅迫によらなくても、また、Vの同意があったとしても、わいせつな行為や性交等をすれば、強制わいせつ罪又は強制性交等罪が成立することになります。
ケースにおける「自身の男性器をVになめさせる行為」は口腔性交に該当する可能性があります。
この場合、Aさんに強制性交等罪が成立します。
仮に強制性交等に該当しないとしても、Aさんの行為は「わいせつな行為」に該当する可能性が高いです。
~今後の手続~
Aさんはこの後、警察署に連れていかれた後、弁解を録取され、取調べを受けることになります。
この時に、当番弁護士を呼ぶこともできます。
取調べにおいては、黙秘することもできるので、弁護士と相談してから供述することもできます。
供述内容によっては、口腔性交と判断される可能性もあります。
供述するか、黙秘するか、弁護士とよく相談しましょう。
ケースの事件において、留置の必要が認められると、逮捕時から48時間以内にAさんを検察へ送致しなければなりません。
送致を受けた検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するかを決めなければなりません。
勾留請求は裁判官に対して行います。
裁判官が勾留の要件を審査し、勾留可能と判断した場合には、勾留決定が出されます。
勾留決定が出ると、10日間、留置場や拘置所に入らなければなりません。
さらにやむを得ない事由があると認められると、最長10日間、勾留が延長されます。
~報道の回避~
ケースの事件は、世間においても多くの注目を集める事件になるでしょう。
人々の興味を集める事件は、報道されやすい傾向にあるようです。
ケースの事件が実名で報道されると、Aさんの社会復帰が困難になることが予想されます。
ケースの事件が報道される場合は、警察がマスコミに事件を発表し、マスコミがこれを報道する、という流れになるかと思われます。
弁護士を通じて、警察に対し、マスコミに対して事件を発表しないよう働きかけていくことも重要です。
~Vとの示談交渉~
Vと示談を成立させることにより(実際にはVの親などの「法定代理人」と交渉します)、Aさんに対する処分が軽くなる可能性があります。
示談が成立すれば、当事者同士で事件が解決したものとして、逮捕・勾留中であっても、釈放される可能性が高まります。
釈放されない場合であっても、検察官が裁量により、Aさんを起訴猶予処分とする可能性も高まります。
起訴猶予処分を獲得できれば、裁判にかけられないので、前科をつけずに事件を解決することができます。
~起訴された場合~
ただし、ケースの事件は、小学生の性に対する思慮不足に付け込んだ悪質な性犯罪と評価される可能性が高いです。
したがって、起訴されてしまう可能性は十分あります。
起訴された場合であっても、示談を成立させることにより、示談をしない場合と比べて、より軽い量刑による判決が期待できます。
他にも、Aさんを監督する身元引受人を用意し、法廷で証言してもらうなどの活動が必要です。
弁護士のアドバイスを受けながら、事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が強制わいせつ事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
13歳未満との性交・強制性交等事件で逮捕
13歳未満との性交によって強制性交等(旧強姦)で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~事例~
Aは、V(12歳)の同意を得た上で、Vが13歳未満であると知りながら性行為を行った。
埼玉県上尾警察署の警察官は、Aを強制性交等(旧強姦)の疑いで逮捕した。
Aの家族は、性犯罪事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~13歳未満に対する性交等の処罰~
刑法177条前段は、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役」に処することを規定しています。
これは、かつて同条において「強姦罪」として規定されていたものを、「強制性交等罪」として新たに規定し直したものです(2017年刑法改正)。
改正後の「強制性交等罪」と、かつての「強姦罪」との具体的な相違としては、
・性別を問わず強制性交等罪の客体となるとした(旧強姦罪は女性のみを被害客体としていた)
・通常の性行為のみならず、肛門性交や口腔性交も処罰対象とした
・親告罪から非親告罪への変更
等が重要な改正点として挙げられます。
では、本件について具体的に検討していくことにしましょう。
本件では、Aは形式上はVの同意を得ており、上述の177条前段が定めるような「暴行又は脅迫」は行われていないと考えられ、そうすると原則として犯罪は成立しないことになります。
もっとも、刑法177条は、その後段において「13歳未満の者に対し、性交等をした者」も強制性交等罪として処罰する旨を定めていることに注意が必要です。
同条前段と比較すれば分かるとおり、「13歳未満の者」に対する「性交等」は、「13歳以上の者」に対する「性交等」のように「暴行又は脅迫」を手段とせずとも強制性交等罪が成立するとしている点に重大な相違があるのです。
そもそも強制性交等罪(旧強姦罪)とは、個人の意思に反する性行為を、犯罪として処罰する規定です。
つまり、当然ではありますが、同意のある(意思に反しない)性行為を処罰する趣旨に出たものではありません。
にもかかわらず、法は、13歳未満の個人は、自らの性的自由に関して自由な意思決定を行うことが困難であるとして、仮に形式的な同意があったとしてもこれを有効なものとはみなさずに処罰する旨を定めているのです。
したがって、本件のようにAが、Vが13歳未満と知りながら「性交等」を行った場合、そのことのみによって強制性交等罪が成立することになり、AはVの形式的な同意を得ていたとしても、強制性交等罪によって逮捕することが可能なのです。
~強制性交等罪(旧強姦罪)における弁護活動~
上述のように刑法改正によって、強制性交等罪(旧強姦罪)を含む性犯罪規定は、非親告罪となりました。
もっとも、改正後も検察官が起訴するかどうかを判断にあたっては、被害者の意思などを十分に尊重する必要があるとされています。
したがって、被害者(及びその家族)と示談の交渉等を行う重要性に変化はないと考えられています。
もっとも、特に本件のような13歳未満という幼い被害者に対する犯罪の場合、被害者家族の処罰感情も苛烈である可能性は否定できません。
そこで、示談交渉等の経験に長けた弁護士による対応が必要不可欠となるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強制性交等(旧強姦)事件などの性犯罪事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
強制性交等(旧強姦)事件で逮捕された方のご家族は、24時間365日対応のフリーダイヤル(0120-631-881)まで、まずはお問い合わせください。
ストーカー規制法法違反(ストーカー行為)で逮捕
ストーカー規制法違反(ストーカー行為)で逮捕されてしまった事案ついて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~事例~
Aは以前から好意をよせていたV女に対してつきまとい行為をしたとして、警告を出されていた。
にもかかわらず、AはインターネットのSNS上で、V女に対しメッセージを送信するなどの行為を繰り返していた。
千葉中央警察署の警察官は,Aをストーカー規制法違反(ストーカー行為)の容疑で逮捕した。
Aの家族は,性犯罪事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~ストーカー規制法における処罰範囲の拡張~
本件では、Aはストーカー行為を行ったとして逮捕されるに至ってしまっています。
この点、ストーカー行為を規制し、一定の場合に行為者を処罰することを定めているのが、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」いわゆる「ストーカー規制法」です。
本事例におけるAの行為は、現在のストーカー規制法においては、2条1項5号・同条2項によって「つきまとい等」に該当し、「つきまとい等」を「反復してする」と「ストーカー行為」に該当することになります。
そして、ストーカー規制法19条は「ストーカー行為」を行った者を刑罰によって処罰する旨を定めています。
もっとも、当初のストーカー規制法2条1項5号は、「電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信すること」とのみ規定されており、電子メール等のインターネットを介した「つきまとい等」を禁止する規定がありませんでした。
その後ストーカー絡みの凄惨な事件が多発し、また電子機器や情報技術の発達に法が追いついていないなどの問題点が指摘されたことから、現在まで漸次的な改正を経ることになります。
まず2013年の法改正により、2条1項5号に「電子メールの送信等」が「つきまとい等」の類型に含まれることになりました。
しかし、これには解釈上SNS等による嫌がらせ行為は含まれていませんでした。
つまり、この時点ではSNS等によるつきまとい行為を処罰することができなかったのです。
その後、2016年改正法(2017年施行)により2条2項が改正され、SNS等を使った行為もつきまとい行為に該当することになりました。
このように、「つきまとい等」の態様は、上述のような電子機器や情報技術の発達に伴った法改正により処罰範囲が広がっており、十分に注意が必要であるといえます。
~ストーカー事件における弁護活動~
逮捕されてしまった被疑者(容疑者)が弁護士を依頼する権利(弁護人依頼権)は、憲法に由来する重要な権利です(憲法34条前段)。
そして、このような被疑者が弁護士を依頼する権利は、刑事訴訟法上においても、捜査官による告知などによって担保されています。
しかし、実際には、捜査官による十全な告知が行われないあるいは黙秘権を行使する権利を告知しないなど、被疑者の権利を不当に侵害するような運用がまかり通っているというような報告もあります。
したがって、大切な家族が逮捕されてしまった場合などは、本人が弁護士を呼んでいない可能性もあり、家族等が一刻も早く弁護士を呼ぶことが被疑者たる本人にとって極めて重要な防御手段となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,ストーカー事件を含む性犯罪事件を専門としている刑事事件専門の法律事務所です。
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