売春防止法違反
売春の斡旋を行った場合の法定刑は、2年以下の懲役又は5万円以下の罰金です(売春防止法第6条第1項)。なお、併科することも可能です(売春防止法第15条)
売春のための場所を提供した場合の法定刑は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です(売春防止法第11条第1項)。
なお、併科することも可能です(売春防止法第15条)。
売春をさせる業をした場合の法定刑は、10年以下の懲役及び30万円以下の罰金です(売春防止法第12条)。
売春防止法違反事件の解説
1 売春防止法とは
⑴ はじめに
売春防止法とは、売春の防止を図る目的の下、売春を助長する行為等に対する刑罰、売春婦に対する補導処分(婦人補導院)、売春を行うおそれのある女子に対する保護更生(保護観察)の措置等を定めた法律です。
⑵ 売春とは
「売春」とは、「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」をいいます。
上述のとおり、売春防止法は売春の防止を図るための法律であり、「売春」を禁止しているものの、「売春(買春)」を行ったからといって、直ちに罰せられるということはありません。
売春防止法において処罰される場合の多くは、売春の周旋を行う行為や、売春の場所を提供する行為など、売春を助長する行為となります。
2 売春防止法により罰則の対象となる行為について
⑴ 売春の周旋
売春の周旋とは、①売春の周旋をすること及び売春の周旋をする目的で、②人を売春の相手方となるように勧誘することや、売春の相手方となるように勧誘するため道路その他の公共の場所で人の身辺に立ちふさがり又はつきまとうこと、広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引することをいいます。
⑵ 場所の提供
場所の提供とは、情を知って、売春を行う場所を提供することをいい、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金又はこの併科に処せられます。
なお、業として、場所の提供を行った場合には、7年以下の懲役又は30万円以下の罰金又はこの併科に処せられます。
⑶ 売春をさせる業
売春をさせる業とは、人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に居住させ、これに売春をさせる業とすることをいいます。
「業とした者」とは、売春業者が得る経済的利益は必ずしも売春の対価によるものでなくても構いません。たとえば、売春を飲食店などの客集めの手段として利用し、その結果、飲食店の売り上げが増加するような場合や売春の対価は売春をした者に全額帰属させる代わりに従業員としての固定給を低額(あるいはゼロ)にしているような場合など、売春によって売春業者に経済的利益が帰属する場合であればよいとされています。
3 売春防止法違反事件違反事件の流れ(平成26年度検察統計年報参照)
刑事事件として処理された売春防止法違反事件違反事件のうち、行為者が逮捕されたケースは約67%です。
また、逮捕された場合の勾留率は92%と高く、勾留延長される場合も約65%と高いことから、逮捕された場合の身柄拘束は長期化する傾向があるといえます。
売春防止法違反事件の対応
1 無罪を主張する場合
身に覚えがないにも関わらず、売春防止法違反の容疑を掛けられてしまった場合(実質的には経営者ではないにもかかわらず経営者として容疑を掛けられ場合)には、弁護士を通じて、警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対してその旨主張することで、不起訴又は無罪を獲得する余地があります。
実質的には経営者ではないことを主張する場合には、そのような状況であったことを推認できる客観的な証拠、事情を捜査機関に主張していくこととなります。
もっとも、このような主張・証明にはポイントがあるところ、効果的な主張・証明を行っていくことは、一般の方には困難と思われます。
この点、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、売春防止法違反事件など刑罰(刑事責任)が問題になる刑事事件・少年事件を取り扱っており、売春防止法違反事件の刑事弁護実績が豊富な弁護士が多数在籍しておりますので、適切なアドバイスをすることにより、不起訴・無罪を獲得するためのサポートをさせていただきます。
2 罪を認める場合
⑴ 反社会的勢力との縁を切る
売春防止法違反事件の成立に争いがない場合、事件の背景に暴力団等の反社会的勢力の存在が挙げられます。
暴力団等の一員として、風営法に違反する行為をしてしまった場合は、組織と完全に縁を切ることが必要不可欠です。
そのためには、組織について知っていることは全て話し、進んで捜査に協力すべきです。
また、携帯電話やインターネットのプロバイダは全て解約し、組織と連絡が取れない状態にしてもらいます。
暴力団員であれば、脱会届、破門状などを裁判の証拠として提出することもあります。
⑵ しょく罪寄付
売春防止法に違反することにより、不当な利益を得ていた場合には、そのような利益を贖罪寄付により吐き出すことで、行為者の反省を示すことができます