性犯罪事件と冤罪
1 性犯罪・わいせつ事件の冤罪と誤認逮捕
冤罪とは、無実であるのに犯罪者として扱われることをいいます。性犯罪・わいせつ事件の捜査においては、警察官による犯人逮捕の際に、被害者や目撃者の証言を重視して捜査される場合が多いことから、被害者らが犯人を見間違える、勘違いする等の事情が介在して、冤罪逮捕(誤認逮捕)されるケースが考えられます。満員電車内での痴漢事件などで、この誤認逮捕がよく発生する傾向にあります。
通常の逮捕手続きにおいて、警察官は必ず、容疑となる事実を記載した逮捕状を、逮捕される者に対して示さなければなりません。逮捕される者は、逮捕状が示された時点で、自分がどのような容疑にかけられているかを知ることができます。
もし、逮捕状記載の被疑事実について身に覚えがなく、誤認逮捕であったならば、できるだけ速やかに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。弁護士に、現在、逮捕されている警察署まで接見(面会)に来るよう依頼をして、冤罪である旨を伝えることにより、性犯罪・わいせつ事件の経験豊かな弁護士が、今後の事件の見通しや取調べ対応を検討し、迅速な身柄解放、適切な無実主張のための働きかけを行うことができます。
誤認逮捕事件では、疑いを晴らすために、弁護士を通じて独自の捜査を行い、目撃者の証言やその他の客観的証拠を積み上げ、被害者の証言が信用性に欠けることを説得的に主張することが肝心です。
2 性犯罪・わいせつ事件の冤罪と不任意自白
性犯罪・わいせつ事件で逮捕されると、取調べのプロである警察官からの厳しい尋問を受け、自白するまでずっと身柄解放されないのではないかという苦しい心境から、自分は罪を犯していないのに、嘘の自白(不任意自白)をしてしまうケースが考えられます。
自白とは、自己の犯罪事実の全部または重要な部分を認める被疑者・被告人の供述をいいます。刑事裁判においては、被疑者・被告人による自白を重要視しすぎると、冤罪による人権侵害や事実誤認が発生してしまうという過去の反省から、不任意になされた自白あるいは不任意の疑いのある自白は、裁判で証拠として用いることができないという原則(自白排除法則)があります。日本国憲法38条2項は、「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない」と定めています。
しかし、警察による取調べの際に一度でも、自己の犯罪事実を認める自白をしてしまえば、捜査機関はその自白内容を事件証明の基礎として、嘘の自白内容と実際の証拠との辻褄合わせをして、事件を起訴する流れになってしまうおそれが考えられます。
冤罪事件では、事件が起訴される前に、弁護士の方から、無実の主張やそれを裏付ける証拠を検察官に提示することで、不起訴処分による事件解決を目指すことが、第一の目標となります。逮捕されてできるだけ早い段階で弁護士と接見(面会)し、警察官による厳しい取調べで不任意自白をしてしまう前に、弁護士から、事件の今後の見通しと取調べ対応についてアドバイスを受けることが重要となります。
3 性犯罪・わいせつ事件の冤罪と弁護方針
性犯罪・わいせつ事件の冤罪事件に巻き込まれた際には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご依頼いただければ、まずは、逮捕事案であれば、弁護士が、留置場にいるご本人との「接見(面会)」に向かいます。性犯罪・わいせつ事件の経験豊かな弁護士が、逮捕されたご本人から直接話を聞くことで、捜査機関による取調べへの対応を検討しつつ、事件の今後の見通しをお話しさせていただきます。
その後に、弁護士はご本人の「身柄解放」のために、検察官や裁判官に対する積極的な働きかけを行います。弁護士による意見書の提出や客観的な事件証拠の提示等をすることで、事件が冤罪であること、身柄拘束の必要性がないことを、弁護士の方から主張・立証いたします。
そして、性犯罪・わいせつ事件の冤罪事件では、検察官が事件の起訴・不起訴を決定する前の段階において、弁護士の方から、「不起訴処分」を得るための働きかけ、並びに、無実を証明するための証拠収集活動を行うことが重要となります。性犯罪・わいせつ事件では特に、被害者の供述が重要な証拠とされるケースが多いことから、被害者やその他目撃者の供述の信用性を争い、捜査機関が十分な証拠なく立件しようとしていることを強く主張していくことにより、冤罪証明による不起訴処分の獲得を目指した弁護活動を行います。