風営法違反
風営法に違反し,無許可で風俗営業を営んだ場合の法定刑は,2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はこの併科となります(風営法第49条第1項第1号,第3条第1項)。
風営法に違反し,届出を出さずに性風俗特殊営業を営んだ場合の法定刑は,6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこの併科となります(風営法第52条第4号,第27条第1号等)。
風営法に違反し,客引き行為を行った場合の法定刑は,6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこの併科となります(風営法第52条第1号,第22条第1号,第2号等)。
風営法に違反し,18歳未満の者を客に接する業務に従事させた場合の法定刑は,1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこの併科となります(風営法第50条第1項4号,第22条第3号から第6号等)。
風営法違反事件の解説
1 風営法とは
⑴ はじめに
風営法とは,その正式名称を風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律といい,キャバレー・ダンスホール・パチンコ店などの風俗営業と,ソープランドなどの性風俗関連特殊営業について規制や罰則などを定めた法律です。
⑵ 風俗営業とは
風俗営業について風営法は,その営業を許可制としていて,具体的にはキャバレーやナイトクラブ,パチンコ店などが風俗営業として規定しています(風営法第2条第1項)。
⑶ 性風俗関連特殊営業とは
性風俗関連特殊営業について風営法は,⑴店舗型性風俗特殊営業,⑵無店舗型性風俗特殊営業,⑶映像送信型性風俗特殊営業,⑷店舗型電話異性紹介営業,⑸無店舗型電話異性紹介営業に分類して,それぞれを区別して規制しています。
なお,風俗営業については,その営業を許可制にしているのに対し,性風俗関連特殊営業については,その営業を届出制としています。
2 風営法により禁止される行為について
⑴ 無許可営業
風俗営業を営もうとする者は,風俗営業の種別に応じて,営業所ごとに,当該営業所を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならないところ,かかる許可を受けずに風俗営業を営んだ場合には,2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はこの併科に処せられます。
⑵ 届出をせずに営業
性風俗特殊営業を営もうとする者は,性風俗特殊営業の種別に応じて,営業所ごとに,所要の事項を記載した届出書を提出しなければならないところ,この届出書を提出せずに店舗型性風俗特殊営業を営んだ場合には,6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこの併科に処せられます。
⑶ 客引き
風俗営業を営む者等は,当該営業に関し客引きをしてはならないところ,客引き行為を行った場合には,6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこの併科に処せられます。
客引きとは,特定の相手方に対し,特定の営業所の客として,遊興,飲食,遊技等をさせるため勧誘することをいいます。
なお,客引きをするため,道路その他公共の場所で,人の身辺に立ちふさがり,又はつきまとうことも風営法により禁止されています。
⑷ 18歳未満の者を客に接する業務に従事させること
風俗営業を営む者等は,営業所で,18歳未満の者に客の接待をさせること等をしてはならないところ,そのような行為を行った場合には,1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこの併科に処せられます。
なお,相手方が18歳未満であると知らなかったからといって,処罰を免れることはできません。
風営法違反による処罰を免れるためには,原則として,18歳未満であると知らなかったことにつき過失がなかったことまで必要となります(風営法第50条第2項)。
3 風営法違反事件違反事件の流れ(平成26年度検察統計年報参照)
刑事事件として処理された風営法違反事件違反事件のうち,行為者が逮捕されたケースは約46%です。
また,逮捕された場合の勾留率は93%と高く,勾留延長される場合も約69%と高いことから,逮捕された場合の身柄拘束は長期化する傾向があるといえます。
風営法違反事件の対応
1 無罪を主張する場合
身に覚えがないにも関わらず,風営法違反の容疑を掛けられてしまった場合(実質的には経営者ではないにもかかわらず経営者として容疑を掛けられ場合や,18歳未満の者ではないと思ったことにつき過失がない場合)には,弁護士を通じて,警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対してその旨主張することで,不起訴又は無罪を獲得する余地があります。
18歳未満の者ではないと思ったことなどを主張する場合には,そのような状況であったことを推認できる客観的な証拠,事情を捜査機関に主張していくこととなります。
もっとも,このような主張・証明にはポイントがあるところ,効果的な主張・証明を行っていくことは,一般の方には困難と思われます。
この点,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,風営法違反事件など刑罰(刑事責任)が問題になる刑事事件・少年事件を取り扱っており,風営法違反事件の刑事弁護実績が豊富な弁護士が多数在籍しておりますので,適切なアドバイスをすることにより,不起訴・無罪を獲得するためのサポートをさせていただきます。
2 罪を認める場合
⑴ 反社会的勢力との縁を切る
風営法違反事件の成立に争いがない場合,事件の背景に暴力団等の反社会的勢力の存在が挙げられます。
暴力団等の一員として,風営法に違反する行為をしてしまった場合は,組織と完全に縁を切ることが必要不可欠です。
そのためには,組織について知っていることは全て話し,進んで捜査に協力すべきです。
また,携帯電話やインターネットのプロバイダは全て解約し,組織と連絡が取れない状態にしてもらいます。
暴力団員であれば,脱会届,破門状などを裁判の証拠として提出することもあります。
⑵ しょく罪寄付
風営法に違反することにより,不当な利益を得ていた場合には,そのような利益を贖罪寄付により吐き出すことで,行為者の反省を示すことができます。