児童買春、援助交際

児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下、「児童買春、児童ポルノ処罰法」といいます。)違反の場合の法定刑は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金です(児童買春、児童ポルノ禁止法第4条)。
 
青少年保護育成条例違反(愛知県)の場合の法定刑は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金です(愛知県青少年保護育成条例第29条第1項、第14条第1項)。

ただし、単に淫行又はわいせつ行為を教えたり、見せたに過ぎない場合は10万円以下の罰金です(愛知県青少年保護育成条例第29条第7項、第14条第2項)。
 
児童福祉法違反の場合の法定刑は、10年以下の懲役又は300万円以下の罰金又は併科です
(児童福祉法第60条第1項、第34条第1項第6号)。

 

児童買春 援助交際事件の解説

1 児童買春 援助交際事件で問題となる犯罪

未成年者との売春・援助交際のうち、18歳未満の児童との児童買春・援助交際は、相手方児童の同意があっても、法律や条例による処罰の対象となります。

具体的には、18歳未満の未成年者と性的関係を持った場合のうち、自分の性欲を満たすため対価を払わずに児童と性交等を行った場合には都道府県が制定する条例(いわゆる淫行条例)に、児童に対価を支払って性交等を行った場合には児童買春、児童ポルノ禁止法に、雇用主などの立場を利用して児童に淫行をさせた場合には児童福祉法によって罪に問われることになります。

 

2 青少年家保護育成条例(愛知県の場合)違反の解説

⑴ 青少年保護育成条例とは
青少年保護育成条例は、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を防止し、もって青少年を保護し、その健全な育成に寄与することを目的としており、青少年に対して、淫行又はわいせつ行為をすることが処罰対象とされています。
淫行とは、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等の心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうとされています。

⑵ 青少年保護育成条例違反事件の流れ(平成26年度検察統計年報参照)
刑事事件として処理された青少年保護育成条例違反事件のうち、行為者が逮捕されたケースは約33%です。
また、逮捕された場合の勾留率は約88%と高いものの、勾留延長される場合は約47%と高くありません。

 

3 児童買春、児童ポルノ禁止法違反の解説

⑴ 児童買春、児童ポルノ禁止法とは
児童買春、児童ポルノ禁止法は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく 侵害することの重大性にかんがみ、あわせて児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、 児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、 児童の権利を擁護することを目的としています。
児童買春とは、①児童(満18歳未満の者)、又は児童に対する性交等の周旋をした者、児童の保 護者または児童をその支配下においている者に対し、②対象を供与し、又はその供与の約束をして、③当該児童に対し、④性交等をすることをいいます。
そして、性交等とは、性交若しくは性交類似行為(手淫、口淫、同性愛行為など)をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいいます。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいいます。

⑵ 児童買春、児童ポルノ禁止法違反事件の流れ(平成26年度検察統計年報参照)
刑事事件として処理された児童買春、児童ポルノ禁止法違反事件のうち、行為者が逮捕されたケースは約33%です。また、逮捕された場合の勾留率は約90%と高いものの、勾留延長される場合は約53%と高くありません。

 

4 児童福祉法違反の解説

⑴ 児童福祉法とは
児童福祉法では、児童に淫行させる行為が処罰対象とされています。
淫行させる行為とは、児童に淫行を強制する行為のみならず、児童に対し、直接であると間接であると物的であると精神的であるとを問わず、事実上の影響力を及ぼして児童が淫行することに原因を与え、あるいはこれを助長する行為をも包含するものといわれています。

⑵ 児童福祉法違反事件の流れ(平成26年度検察統計年報参照)
刑事事件として処理された児童福祉法違反事件のうち、行為者が逮捕されたケースは約67%です。
また、逮捕された場合の勾留率は100%と高く、勾留延長される場合も約90%と高いことから、逮捕された場合の身柄拘束は長期化する傾向があるといえます。

 

児童買春 援助交際事件の対応

1 無罪を主張する場合

身に覚えがないにも関わらず、児童買春 援助交際の容疑を掛けられてしまった場合や、児童には当たらないと思った(具体的には、相手方が18歳以上であったと考えた場合)には、弁護士を通じて、警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対してその旨主張することで、不起訴又は無罪を獲得する余地があります。

身に覚えのない児童買春 援助交際の容疑をかけられた場合には、アリバイや真犯人の存在を示す証拠を提出することで、児童買春 援助交際罪を立証する十分な証拠がないことなどを主張していきます。

また、児童には当たらないと思ったことを主張する場合には、そのように考えたことが不自然ではないことを裏付ける客観的な証拠、事情を捜査機関に主張していくこととなります。

もっとも、アリバイの主張・証明等にはポイントがあるところ、効果的な主張・証明を行っていくことは、一般の方には困難と思われます。

この点、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、児童買春 援助交際事件など刑罰(刑事責任)が問題になる刑事事件・少年事件を取り扱っており、児童買春、援助交際事件の刑事弁護実績が豊富な弁護士が多数在籍しておりますので、適切なアドバイスをすることにより、不起訴・無罪を獲得するためのサポートをさせていただきます。

 

2 罪を認める場合

⑴ 謝罪、示談
児童買春 援助交際事件にいて問題となる条例や、児童買春・児童ポルノ禁止法は、特定の被害者を想定したものではなく、社会一般の児童を保護するためのものであることから、特定の被害者を観念できないものの、当該行為の相手方を実質的な被害者と観念することができます。

そこで、被害者感情が重要視される昨今、児童買春 援助交際事件においても、実質的な被害者の方と示談することは、重要な弁護活動です。

警察に被害届が提出される前であれば、被害届の提出を阻止し、警察の介入を阻止して事件化を防ぐことができます。

警察に被害届が提出されてしまった後であっても、児童買春 援助交際事件においては、示談をすることによって、不起訴を獲得する可能性を高めることができます。

児童買春 援助交際事件では、被害弁償や示談の有無及び被害者の処罰感情が行為者の処分に大きく影響することになるので、弁護士を介して迅速で納得のいく示談をすることが重要です。

また、示談をすることで行為者が釈放される可能性もありますので、示談によって行為者の早期の学校復帰・社会復帰を目指すことができます

 

⑵ カウンセリング等を受ける
児童買春 援助交際事件の加害者のなかには、その背景に自己の性的衝動に対するコントロールに関し、何らかの問題を抱えている場合が多く、そのような場合には、専門家による治療が必要となります。

カウンセリングを受けたり、クリニックに通うことによって、問題を根本から改善する必要があります。

 

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