保釈して欲しい
1 性犯罪・わいせつ事件の保釈の説明
保釈とは、保釈保証金(いわゆる保釈金)の納付を条件として、住居等の制限のもとに被告人の身体拘束を解く釈放制度です。
日本の保釈制度では、起訴前の保釈(捜査段階の保釈)は条文上定められておらず、起訴後保釈(公判段階の保釈)のみが認められています。
性犯罪・わいせつ事件の保釈には、権利保釈、裁量保釈、職権保釈の3種類があります。
① 権利保釈
一定の重大犯罪、常習性、罪証隠滅のおそれ、事件関係者やその親族への加害畏怖行為のおそれなど刑事訴訟法89条に規定する6つの事由(権利保釈除外事由)のいずれにも当たらない場合に、裁判所が保釈を認めなければならない場合です。
② 裁量保釈
権利保釈除外事由のいずれかに当たる場合でも、性犯罪・わいせつ事件の性質や情状、被告人の経歴、前科や健康状態、家族関係などから保釈を相当とする事情がある場合に、裁判所が職権で保釈を認める場合です。
③ 職権保釈
被告人の勾留が不当に長くなった時に、裁判所が請求または職権で保釈を認める場合です。
2 性犯罪・わいせつ事件での保釈のメリット
起訴後の被告人勾留による性犯罪・わいせつ事件の被告人の身体拘束期間は2か月で、1か月ずつの更新が認められています。
性犯罪・わいせつ事件で逮捕・勾留された容疑者や加害者・犯人は、留置場や拘置所などの留置施設で身体を拘束されるため、被告人勾留では数か月~1年以上もの長期間にわたって所属している会社や学校に行くことはできなくなります。
被告人勾留中は所属先の会社や学校を欠勤・欠席する状態が長期間続くため、解雇や退学処分になる危険が極めて高くなります。
また、起訴後の裁判は性犯罪・わいせつ事件の容疑者・犯人への刑事処分(刑罰)が決まる重要な時期で、被告人勾留によって拘置所などの留置施設から出廷させられる性犯罪・わいせつ事件の被告人の肉体的・精神的な負担も非常に大きくなります。
保釈が認められれば、身柄事件が在宅事件に切り替わり、性犯罪・わいせつ事件で逮捕・勾留されていた被告人・加害者・犯人は身体拘束から解放されて、住み慣れた自宅に戻ることができます(裁判は自宅から裁判所に出廷して受けることになります)。
保釈中は会社や学校に行く等の社会生活も送れます。そのため、性犯罪・わいせつ事件における釈放には、以下の大きなメリットが生じます。
・会社や学校に戻れる可能性がある
・示談や、打合せなど刑事裁判の準備が十分にできる
・自宅や家族のもとで安心して裁判にのぞめる
3 性犯罪・わいせつ事件での保釈に向けた弁護活動の重要性
性犯罪・わいせつ事件の被告人勾留では、裁判が終わるまで所属先の会社や学校を欠勤・欠席する状態が長期間続くため、解雇や退学処分になる危険が極めて高くなります。
また、起訴後の公判は性犯罪・わいせつ事件の容疑者・犯人への刑事処分(刑罰)が決まる重要な時期で、被告人勾留によって拘置所などの留置施設から出廷させられる性犯罪・わいせつ事件の被告人の肉体的・精神的な負担も非常に大きくなります。
性犯罪・わいせつ事件で起訴(正式公判請求)された場合には、なるべく早く性犯罪・わいせつ事件の保釈に強い専門弁護士に依頼して保釈に向けた弁護活動をしてもらうことで、保釈の可能性を高めて刑事裁判の準備を万全にしながら会社や学校への社会復帰も目指すことが可能になります。
性犯罪・わいせつ事件による刑事事件・少年事件に特化した弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、以下のような性犯罪・わいせつ事件の保釈の特性に精通した専門弁護士による、保釈に向けた万全の弁護活動が受けられます。
① 保釈が認められるための条件
性犯罪・わいせつ事件で保釈が認められるためには、弁護士から裁判官に対して、以下の3点を説得的に主張することが重要です。
・被告人が性犯罪・わいせつ事件の証拠隠滅をする危険がないこと
・被告人が性犯罪・わいせつ事件の被害者や事件関係者及びその親族などに接触する危険がないこと
・被告人が逃亡する危険がないこと
また、性犯罪・わいせつ事件で保釈を勝ち取るために、被告人の身元を引受ける身元引受人の存在も重要となります。
② 性犯罪・わいせつ事件で保釈が認められるかどうかの判断期間
性犯罪・わいせつ事件における保釈請求から保釈許可・保釈不許可の決定が出るまでの期間は、一般的に2~3日です。
土日祝日をはさむ場合は4~5日かかることもあります。
③ 保釈金額の相場
性犯罪・わいせつ事件の保釈金の額は、性犯罪・わいせつ事件の性質や被告人の資産などを考慮して、被告人の裁判への出頭を保証するに足りる相当な金額を裁判所が決めます。
性犯罪・わいせつ事件の保釈金額は事件及び被告人ごとに異なるため、保釈金額の相場は一概には言えないのですが、被告人が前科のない初犯で罪を認めている自白事件の場合には150万円前後となることが多いです。
ただ、重大な性犯罪・わいせつ事件、被告人の収入や資産が多い、同種前科がある、定職や自宅がないなどの事情は保釈金額が高くなる要素で、事情によっては性犯罪・わいせつ事件の保釈金額が500万円を超える場合もあります。
なお、保釈金は、被告人が逃亡や証拠隠滅などをすることなく裁判に出廷すれば、没収(没取)されることなく裁判終了後に返却されます。