【事例解説】盗撮事件で自首・出頭を検討(前編)
今回は、盗撮事件を起こし、自首をするメリット及びデメリットにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
Aさんは職場の女子更衣室に用意した小型カメラをしかけ、着替えをする女性職員を盗撮しようと考えました。
小型カメラを購入し、職場の女子更衣室に入り、見つかりにくい場所に小型カメラを設置しました。
後日、カメラを回収するために再度女子更衣室に入ったところ、カメラがなくなっていることに気付き、自身の犯行が誰かに発覚してしまったことを悟り、不安に感じています。
Aさんは、今後の対応について、刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
Aさんに成立する犯罪
性的姿態等撮影罪について
以前は、各都道府県の迷惑行為防止条例違反として処罰されていた盗撮行為ですが、令和5年に施行された「性的姿態等撮影罪」(同法2条1項)により、全国で統一的に処罰されることになりました。
性的姿態等撮影罪の正式名称は、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」と言い、同法律の第2条1項に定められています。
法定刑は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金となっています。
「性的姿態等」の対象は
・人の性的な部位
(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部)
・人が身に着けている下着
(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)
のうち現に性的な部位を覆っている部分と規定されています。
建造物侵入罪(刑法第130条前段)について
盗撮目的で会社の社屋や女子更衣室に立ち入った行為により成立する可能性が高いと思われます。
迷惑防止条例違反及び軽犯罪法違反について
各都道府県の定める迷惑防止条例違反の罪
若しくは
軽犯罪法違反の罪(軽犯罪法第1条23号)
盗撮カメラを女子更衣室に設置するなどした行為により成立する可能性が高いと思われます。
迷惑防止条例は、「公共の場所」や、「公共の乗物」における盗撮行為を規制していることが多いですが、近年、そのような場所以外における盗撮行為をも規制する条例を制定する自治体が増えています。
反対に、そのような規定がない場合には、迷惑防止条例違反ではなく、軽犯罪法違反の嫌疑をかけられることになるでしょう。