【事例解説】女性に風俗店をあっせんしたとして職業安定法違反で逮捕
女性に性風俗店を斡旋したとことで、職業安定法違反で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事例
Aさんは、仕事をきっかけに知り合った客や、自身が街で声を掛けた女性に対し、風俗店を紹介して働かせていたとして、職業安定法違反で逮捕され警察署に逮捕されました。
Aさんは、性風俗店から、紹介した女性の売り上げの一部から報酬をもらっており、数か月で数百万円を儲けていました。
Aさんは、女性に同意させたうえで性風俗店に紹介することを説明していたので、警察の逮捕には納得できていません。
(フィクションです。)
職業安定法違反について
Aさんと同じように、この行為の何が犯罪なの?と疑問に思う方もおられるかもしれません。
実はAさんの行為は職業安定法違反となる可能性があります。
職業安定法第63条
次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、これを1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
1 (略)
2 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集、募集情報等提供若しくは労働者の供給を行い、又はこれらに従事したとき。
公衆道徳上有害な業務
性風俗店は、公衆道徳上有害な業務とされています。
「公衆道徳上有害な業務」とは、社会共同生活上守られるべき道徳を害する業務と定義されており、風俗営業法を遵守している性風俗店であっても、「公衆道徳上有害な業務」に該当するとされています。
性風俗店の他、ストリップや、アダルトビデオなどの性産業が「公衆道徳上有害な業務」に該当するとされています。
スカウト行為の問題点
Aさんのように、性風俗店に女性を紹介、斡旋する行為を「スカウト」と言います。
関係者によると、このスカウトが間に入ることによって、性風俗店で働きたい女性は、希望にあったお店で働けたり、不安が解消されるといったメリットもあるといいます。
しかしスカウトには、女性が稼いだお金の何パーセントがお店から支払われるシステムなので、スカウトが自分の儲けを優先するあまりに、女性が意図しない働き方をさせられたりするケースもあるといいます。
職業安定法違反によって逮捕される人の報道が増えているとは思われるものの、スカウト行為が犯罪に該当する認識が無いという方もまだまだおられるのではないかと思います。
スカウトを利用するお店も、これが違法であることの認識がないことがあるため、お店の誘い話をうのみにするべきではないでしょう。