【事例解説】医師の男が面会要求罪で警察から呼び出し②
医師の男が面会要求罪で警察から呼び出しを受けた事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
医師のAさんは、SNSで連絡を取り合っている14歳の中学生の女子Vにわいせつな目的を持ちながら何度も会おうとメッセージを送り続けていました。
また、会ってくれたら5万円あげるよと金銭面でも誘惑をしていました。
何度断ってもしつこく誘ってくることに恐怖を覚えたVさんは両親に相談しました。
Vさんから、事情を聞いた両親は警察に相談し被害届を提出する運びとなりました。
数日後、Aさんのもとに警察から連絡があり、Aさんは取調べのため警察に行くことになりました。
不安を感じたAさんは、警察から取調べを受ける前に弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
医師免許への影響
これから、医師免許を取得しようとする医学部生などが面会要求罪で前科がついてしまうと医師免許が取得できない可能性があります。
医師法4条(出典/e-GOV法令検索)において相対的欠格事由として以下のことが定めれています。
「第4条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一 心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
三 罰金以上の刑に処せられた者
四 前号に該当する者を除くほか、医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者」
痴漢行為により、罰金以上の刑を受けると医師法4条3号の相対的欠格事由に該当することになります。
また、医師免許をもっている医師が第4条各号のいずれかに該当した場合は、厚生労働大臣から、戒告、3年以内の医業の停止、免許の取消しのいずれかの処分を受ける可能性があるため注意が必要です(医師法7条1号から3号)。
医師免許を守るために
医師免許をこれから取得しようとする方や医師の方が、痴漢行為で警察に逮捕された場合は、弁護士に依頼して初回接見に来てもらうことをお勧めします。
今後の刑事手続きの流れや取調べに対するアドバイスを聞くことで、精神的な負担が軽減されるだけでなく、不利な供述調書が作られることを防ぐことが出来ます。
また、痴漢による迷惑防止条例違反や不同意わいせつ罪は、被害者がいる犯罪になるため、犯罪行為を認めている場合は示談の締結が早期の釈放や処分の軽減にとって重要になります。
示談は、被疑者の方でもすることはできますが、逮捕されている間は連絡をとることが不可能ですし、釈放後であっても被疑者からの交渉だと拒絶されてしまう場合が少なくありません。
そのため、刑事事件における示談交渉の経験が豊富な弁護士に依頼して示談交渉に動いてもらうことが重要となります。