教え子に対する強制わいせつ
横浜市内の小学校の教員をしていたAさんは、クラスの女子児童のVを気に入っていました。そして、ある日、誰もいない教室にVさんを呼び出し、Vさんの身体を触るなどのわいせつな行為をしました。その後、Aさんは強制わいせつで逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~強制わいせつ罪~
強制わいせつ罪は刑法176条に規定されています。
刑法176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
「暴行」とは、他人の身体に対する有形力の行使をいい、脅迫とは、人を畏怖させるに足りる害悪の告知をいいます。
そして、強制わいせつ罪における暴行、脅迫の程度は、一般には、被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度のものでなければならないとされています。
具体的には、
・殴る、蹴る、叩く、首を絞める、馬乗りになる
が暴行の典型ですが、強制わいせつ罪の場合
・被害者の背後からいきなりわいせつな行為をする
というように暴行それ事態がわいせつな行為であってもよいとされています。
また、
・「殺すぞ」「家を焼くぞ」「裸の写真ネットにばらまくぞ」
と言ったり、本件のように何らかの手段で被害者に告知する行為が脅迫の典型です。
なお、強制わいせつ罪の脅迫に当たる場合でも脅迫罪(刑法222条)は別個に成立しません。
「わいせつな行為」とは、徒に性欲を興奮又は刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反するような行為をいうと解されています。
具体的には、
・膣を触る
・陰部に手を入れる
・乳房を弄ぶ
・相手方の感情を無視した接吻
などがこれに当たるでしょう。
~Vさんとの示談交渉~
Vさんと示談を成立させることにより(実際にはVの親などの「法定代理人」と交渉します)、Aさんに対する処分が軽くなる可能性があります。
示談が成立すれば、当事者同士で事件が解決したものとして、逮捕・勾留中であっても、釈放される可能性が高まります。
釈放されない場合であっても、検察官が裁量により、Aさんを起訴猶予処分とする可能性も高まります。
不起訴を獲得できれば、裁判にかけられないので、前科をつけずに事件を解決することができます。
不起訴理由には、主として、起訴猶予と嫌疑不十分の2種類があります。
起訴猶予は、犯人が罪を犯したことは明白ではあるが、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により不起訴(公訴を提起しない)とする場合の理由とされます。
他方、嫌疑不十分とは、犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分で不起訴とする場合の理由とされます。
不起訴(起訴猶予)の獲得を目指す場合、まずは犯人に猛省していただき、再犯防止に向けた具体的行動、対策を取っていただく必要があります。
それと併行して、被害者側との示談交渉、示談も大切です。
犯人の反省の程度、示談締結の事実、被害者の処罰感情の緩和といった事情が「犯罪後の情況」として考慮されうるからです。
不起訴(嫌疑不十分)の獲得を目指す場合は、犯人が事実を否認しているのが通常です。
その場合は、まず、捜査官(警察官、検察官)に対する取調べの対応が大切になってきます。
しかし、相手は取調べのプロですから、どう対応すべきかは刑事事件のプロである弁護士のアドアイスを受けた方が賢明です。
しかも、特に、事実を否認している場合、取調べが一回(一日)で終わるとうことまずないでしょう。
ですから、各取調べごとに綿密に弁護士と打合せを行い、取調べに対応する必要があります。
また、性犯罪においては、被害者や目撃者の供述が「犯罪の成立を認定すべき証拠」として重要となってきます。
ですから、事実を否認する場合は、被害者や目撃者の供述の信用性を争っていかなくてはなりません。
仮に、被害者や目撃者の供述の信用性がない、あるいは低いと認定されれば「犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分」であるとして不起訴(嫌疑不十分)を獲得できるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。