【事例解説】養子にわいせつ行為をしてしまったら?
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が、養子にわいせつ行為をしてしまった事例について解説します。
事例
Aは16歳の養子Vの養父です。これまで10年間以上同居し、寝食の世話をしてきました。ある日、大学受験のために塾に通わせてほしいというVに対し、Aは「性器を触らせてくれたらいいよ」などと持ち掛け、裸にさせたVの性器や胸を触りました。
(フィクションです)
監護者わいせつ罪について
刑法には監護者わいせつ罪という犯罪があります。
第179条1項(出典/e-GOV法令検索)
18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、6か月以上10年以下の懲役に処す。
・「そのものを現に監護する者」とは、親などのように、生活全般にわたって保護する者のことです。
同居の有無や、身の回りの世話をしているかどうか、生活費の支出をしているかどうかなどの事情から、監護者かどうかが判断されます。そのため、親権者であっても「監護者」にはあたらない場合もありますし、反対に、親権者ではなくても「監護者」にあたる場合もあります。
たとえば、親から子供を預かって実際に養育している親類や、同居している親の交際相手などは監護者に該当する可能性があります。
一方、学校や塾の教師、習い事のコーチ、バイト先の教育係などは、子供の生活全般にわたって世話をしているとまでは言えないため、基本的に監護者にはあたらないでしょう。
・「監護者であることの影響力に乗じ」とは、生活を保護することによって生じている影響力を利用することをいいます。
衣食住など生活全般について、被害者が自己に一定程度依存している関係にあることを認識しながらわいせつな行為に誘導する場合などが該当するでしょう。
・「わいせつな行為」とは、たとえば、被害者の胸や性器を触ったり、自己の陰茎を被害者の性器に押し当てるなどの行為がわいせつな行為にあたります。
さらに、性器を触るにとどめず、指や陰茎を膣の中に入れたりすれば、179条2項に定められている監護者性交等罪が成立する可能性があります。
また、監護者性交等罪が成立しない場合でも、青少年保護条例や児童福祉法の淫行罪に成立することがあり得ます。
弁護活動
監護者わいせつ罪は懲役刑のみで罰金刑はありませんので、起訴されることはすなわち公開裁判が開かれることを意味します。
また、有罪になれば、執行猶予付き判決を得ない限り刑務所に収監されます。
警察の捜査を受けることになったり、逮捕されてしまった場合は、処分の軽減のために今後どういった活動をしてもらえるのか、ご自身がどう対応していけば良いのかを弁護士から説明を受けることをお勧めします。
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