【事例解説】整体の施術中の準強制わいせつ事件

2023-06-22

 整体の施術中の準強制わいせつ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 Aさんは自身が経営する整体院で、自ら整体の施術を施しています。
 Aさんは、以前からの利用客であったⅤさんに好意を寄せていたことから、整体の施術と称して、Vさんの胸を揉みました。
 Vさんは施術中は拒否する意思を示しませんでしたが、後日、Aさんに対して『この前の施術について警察に被害届をこれから出す』というメールを送りました。
 Aさんは、Vさんのからのメールを受けて、今後の対応について弁護士に相談することを検討しています。
(この事例はフィクションです)

整体の施術と称してわいせつな行為を行うと?

 事例のAさんは、整体の施術中にVさんの胸を揉むというわいせつな行為をしています。
 このようなAさんの行為は、準強制わいせつ罪に当たる可能性があります。 準強制わいせつ罪は178条1項に規定されている犯罪で、被害者の方が「心神喪失」「抗拒不能」の状態のときに「わいせつな行為」をした場合や、被害者の「心身を喪失」させたり、「抗拒不能」にさせたりした上で「わいせつな行為」に及んだ場合に成立する犯罪です。
 ここでいう「心神喪失」とは、精神の障害によって正常な判断力を失った状態を意味していて、熟睡状態や酩酊状態のときは「心神喪失」に当たると考えられています。
 また、「抗拒不能」とは心理的又は物理的に抵抗が出来ない状態を意味し、被害者の方がわいせつな行為を医師による治療行為と勘違いした場合は「抗拒不能」に当たると考えられています。

 Aさんのように、整体の施術の一環と称してわいせつな行為をした場合は、被害者のVさんに、わいせつな行為を整体の施術のひとつであると誤信させて、Vさんが抵抗できない状態にさせたと考えられますので、事例のAさんは、Vさんの「抗拒不能」に乗じて「わいせつな行為」をしたとして準強制わいせつ罪が成立する可能性が高いと言えるでしょう。

 仮に、準強制わいせつ罪として起訴されて有罪となってしまうと、6月以上10年以下の懲役刑が科される可能性があります。

準強制わいせつ事件の被害者の方と示談したいとお考えの方は

 事例では、Vさんはまだ警察に被害届を出していません。
 このような場合、Vさんに対するわいせつな行為を認めて、Vさんと示談を締結することができれば、警察が準強制わいせつ事件として捜査が始まる前に当事者間で事件を解決することができる場合があります。
 被害者の方との示談交渉については、示談の条件や内容について後から蒸し返されることのないように、示談交渉の経験が豊富な弁護士に依頼されることをお勧めします。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所で、準強制わいせつ事件の被害者の方との示談交渉の経験がある弁護士が在籍しております。
 準強制わいせつ事件で被害者の方と示談したいとお考えの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。