【事件解説】入浴施設で女児の裸を盗撮し逮捕

2023-08-17

 入浴施設で女児の裸を盗撮したとして、性的姿態等撮影の容疑で逮捕された事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事件概要

 熊本市内の入浴施設で5歳の女児の裸を盗撮したとして、同市在住の会社員男性A(23歳)が性的姿態等撮影の容疑で逮捕されました。
 警察の調べによると、市内の温泉入力施設の洗い場で、県内に住む5歳の女児の裸を小型カメラで撮影していたところ、Aが不審な動きをしているのをその場に居合わせた女児の父親が目撃し、現行犯逮捕しました。
 Aは、性的姿態等撮影の容疑を認めているとのことです。
(過去に報道された実際の事件に基づき、事実関係を大幅に変更したフィクションです。)

性的姿態等撮影罪とは

 盗撮行為は、これまで各都道府県の迷惑防止条例によって規制されていましたが、令和5年7月に「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(以下、「性的姿態撮影等処罰法」)が成立、施行され、盗撮行為を全国一律で規制することとなりました。

 性的姿態撮影等処罰法によって、新たに「性的姿態等撮影罪」(単に「撮影罪」と表現されることもあります。)という犯罪が設立されました(同法2条1項)。

 同罪では、「性的姿態等」を、正当な理由がなくひそかに撮影する行為を、一定の例外を除き処罰の対象にしています。
 この「性的姿態等」の対象の一つに、「人の性的な部位(性器、肛門、臀部、胸部など)」(同法2条1項1号イ参照)が規定されています。

 なお、正当な理由なく13歳未満の者の「性的姿態等」撮影する行為は、被害者が成人の場合と異なり、上記一定の例外なく処罰の対象とされています(同法2条1項4号参照)。

 本件Aは、入浴施設の洗い場で、5歳の女児の裸を小型カメラで撮影しており、正当な理由なく13歳未満の者の性的姿態等撮影したとして、同罪の容疑で逮捕されたものと考えられます。

 なお、18歳未満の児童盗撮した場合には、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)も別途成立する可能性があります。

幼児に対する性的姿態等撮影事件の刑事弁護

 児童買春・児童ポルノ禁止法違反を別とすれば、本事件でのAの行為は、法改正前であれば、熊本県迷惑行為等防止条例違反(盗撮)として、法定刑は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(常習でない場合)でしたが、性的姿態等撮影罪の法定刑は3年以下の拘禁刑(拘禁刑の運用が開始されるまでは、懲役刑)又は300万円以下の罰金となっており、厳罰化されました。

 このように、性的姿態等撮影罪は新しく設立された犯罪ということもあるため、今後どのような手続で事件が進み、どの程度の刑罰が科される可能性があるのか、刑事事件に強い弁護士に相談されることをお勧めします。

 また、本件は被害者が女児であることから、両親等の保護者との示談交渉が、被害者が成人の場合よりも難航するおそれがあるため、その点からも、刑事事件に強く、示談交渉の経験の豊富な弁護士への相談をお勧めします。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、法改正前の迷惑防止条例違反(盗撮)事件において、逮捕・勾留による身体拘束からの解放や示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。

 性的姿態等撮影の容疑でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。