わいせつ目的誘拐略取罪

わいせつ目的誘拐略取罪の法定刑は、1年以上10年以下の懲役です(刑法第225条)。

 

わいせつ目的誘拐略取事件の解説

1 わいせつ目的誘拐略取罪とは

わいせつ目的誘拐略取罪は、わいせつ目的で、人を略取又は誘拐した場合に成立します。

 

2 わいせつ目的について

「わいせつ目的で」とは、被拐取者(誘拐等された者)に対して自らわいせつ行為をし、又は第三者をしてわいせつ行為をさせる目的、あるいは被拐取者にわいせつ行為をさせる目的がある場合をいいます。

 

3 略取、誘拐について

「略取」も「誘拐」も、他人をその生活環境から離脱させ、自己又は第三者の事実的支配下に置く行為をいうことに変わりはありませんが、その手段として、暴行・脅迫等の強制的手段を用いるなど人の意思を抑制して行う場合を「略取」といい、偽計・誘惑を手段とするなど人に誤った判断をさせて行う場合を「誘拐」といいます。

 

4 わいせつ目的誘拐略取事件等の流れ(平成26年度検察統計年報参照)

刑事事件として処理されたわいせつ目的誘拐略取事件等(わいせつ目的誘拐略取事件のほか、営利拐取、人身買受等を含みます。)のうち、行為者が逮捕されたケースは約72%です。

また、逮捕された場合の勾留率は95%と高い上、勾留延長される場合も約92%と高いことから、逮捕された場合の身柄拘束は長期化する傾向があるといえます。

そして、わいせつ目的誘拐略取事件等として処理されたケースの起訴率は38.2%とされ、重大犯罪であるにもかかわらず、低いといえます。

起訴率が低い理由は、わいせつ目的誘拐略取事件の場合、平成29年の改正前には、起訴に告訴が必要とされている親告罪であった点が影響していると思われます(わいせつ目的誘拐略取罪は、平成29年の刑法改正で非親告罪化されました)。

 

わいせつ目的誘拐略取事件の対応

1 無罪を主張する場合

身に覚えがないにも関わらず、わいせつ目的誘拐略取の容疑を掛けられてしまった場合や相手方の同意があった場合には、弁護士を通じて、警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対してその旨主張することで、不起訴又は無罪を獲得する余地があります。

身に覚えのないわいせつ目的誘拐略取の容疑をかけられた場合には、アリバイや真犯人の存在を示す証拠を提出することで、わいせつ目的誘拐略取罪を立証する十分な証拠がないことなどを主張していきます。

また、相手方の同意があったことを主張する場合には、相手方の同意を推認することができる客観的な証拠、事情を捜査機関に主張していくこととなります。

もっとも、アリバイの主張や同意があったことの主張・証明にはポイントがあるところ、効果的な主張・証明を行っていくことは、一般の方には困難と思われます。

この点、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、わいせつ目的誘拐略取事件など刑罰(刑事責任)が問題になる刑事事件・少年事件を取り扱っており、わいせつ目的誘拐略取事件の刑事弁護実績が豊富な弁護士が多数在籍しておりますので、適切なアドバイスをすることにより、不起訴・無罪を獲得するためのサポートをさせていただきます。

 

2 罪を認める場合

⑴ 謝罪、示談
被害者感情が重要視される昨今、わいせつ目的誘拐略取事件においても、被害者の方と示談することは、重要な弁護活動です。

警察に被害届が提出される前であれば、被害届の提出を阻止し、警察の介入を阻止して事件化を防ぐことができます。

警察に被害届が提出されてしまった後であっても、わいせつ目的誘拐略取事件においては、示談をすることによって、不起訴を獲得する可能性を高めることができます。

わいせつ目的誘拐略取事件では、被害弁償や示談の有無及び被害者の処罰感情が行為者の処分に大きく影響することになるので、弁護士を介して迅速で納得のいく示談をすることが重要です。

また、示談をすることで行為者が釈放される可能性もありますので、示談によって行為者の早期の学校復帰・社会復帰を目指すことができます

 

⑵ カウンセリング等を受ける
わいせつ目的誘拐略取事件の加害者のなかには、その背景に自己の性的衝動に対するコントロールに関し、何らかの問題を抱えている場合が多く、そのような場合には、専門家による治療が必要となります。

カウンセリングを受けたり、クリニックに通うことによって、問題を根本から改善する必要があります。

 

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