路上で泥酔し、寝ている女性と性交して逮捕

2021-04-14

今回は、路上で泥酔し、寝ている女性と性交して逮捕された場合の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

Aさんは深夜、東京都内の路上を歩いていたところ、泥酔して寝ている女性Vを見て劣情を催し、Vと性交してしまいました。
翌朝、目が覚めたVは自身の違和感に気付き、警察へ相談した上、被害届を提出しました。
警察は監視カメラに写っていた犯行中の男性を犯人であると断定し、Aさんであることを特定しました。
後日、Aさんの自宅に多数の警察官が現れ、Aさんは準強制性交等罪の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~準強制性交等罪とは?~

準強制性交等罪とは、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等を行う犯罪です(刑法第178条2項)。
準強制性交等罪の法定刑は強制性交等罪と同じく、「5年以上の有期懲役」となっています。

本罪にいう「心神喪失」とは、意識喪失(睡眠・泥酔など)、高度の精神障害などによって、性的行為につき正常な判断ができない状態にあることをいいます。

「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由で、物理的・心理的に抵抗することが不可能または著しく困難な状態にあることをいいます。
例として、手足を縛られている場合や、錯誤に陥っている場合(性行為が治療のために必要であると誤信しているなど)が挙げられます。

「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ」とは、心神喪失又は抗拒不能の状態を利用することをいい、例えば被害者が泥酔しているのを利用した場合や、被害者が共犯関係にない第三者から暴行・脅迫を受け、心神喪失又は抗拒不能の状態にあるのを利用する場合が挙げられます。

「心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて」とは、暴行・脅迫によらずに心神喪失又は抗拒不能の状態に陥らせることをいいます。
例えば、密かに被害者に睡眠薬を飲ませ、心神喪失又は抗拒不能の状態に陥らせる場合(広島高裁松江支部昭和38年1月28日判決)が挙げられます。

Aさんは、路上で泥酔し寝ている女性と性交しています。
このような行為は、Vの心神喪失(又は抗拒不能)に乗じてこれと性交したものと判断される可能性が高いでしょう。

上記の事実関係によれば、Aさんに準強制性交等罪が成立する可能性が高いと思われます。

~不起訴処分を目指す活動~

逮捕、勾留されると、捜査段階において最長23日間の身体拘束を受けます。
Aさんを裁判にかけるか否かは、捜査の最終段階において検察官が判断します。
もし、検察官が起訴・不起訴の別を判断するまでに、AさんとVとの間で示談が成立すれば、不起訴処分を獲得できる場合もあります。
起訴され有罪判決を受けると、刑の減軽がなされない限り最低でも5年の懲役を言い渡されるため、執行猶予がつきません。
是非とも不起訴処分を獲得し、刑務所での服役を回避したいところです。

示談交渉を行う際は、弁護士を依頼しましょう。
AさんとVに面識がなければ、弁護士から警察・検察に対し、被害者情報の開示を求めます。
無事に開示されれば、弁護士はVと示談交渉を行うことができます。
示談においては金額のほか、引っ越しや接触禁止などの条件、宥恕(処罰を求めないとの意思)の条項の有無などの条件が交渉されます。
V側の満足のいく金額などの条件が満たされ、宥恕の条項が示談書に記載されれば、不起訴の可能性が高まるでしょう。

~起訴されてしまった場合~

起訴されてしまった場合は極めて不利となるでしょう。
真摯に被害者への謝罪を行い、Vと示談が成立したことを明らかにすること(成立していない場合は示談交渉を試みたことなど)、Aさんの身元引受人を用意し、法廷で証言してもらうなどの弁護活動を行い、酌量減軽(刑法第66条)がなされれば、執行猶予付き判決を獲得できるかもしれません。

まずは刑事事件に熟練した弁護士の接見を受け、有利な事件解決に向けたアドバイスを受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が準強制性交等罪の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。