公然わいせつ罪で勾留前に釈放

2021-09-01

公然わいせつ罪で勾留前に釈放ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します.

Aさんは性欲発散のために真夜中に陰茎を出しながら街中を歩いていたところ、たまたま通りかかった人に目撃されて現行犯逮捕され、駆け付けた警察官に身柄を引き渡されてしまいました。ところが、その後Aさんは勾留前に釈放されました。
(フィクションです。)

~公然わいせつ罪~

公然わいせつ罪は刑法174条に規定されています。
 
刑法174条
 公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

簡単にご説明しますと、「公然と」とは、不特定又は多数人が認識することができる状態をいいます。「認識することができる状態」であれば公然となるわけですから、必ずしも認識されている必要はありません。インターネットの世界では、世界中の誰もがいつでも、どこでも、好きなときに情報を得ることができる世界であることは既に周知の事実であるといっても過言ではありません。そこで、全裸でわいせつな行為をする動画を生配信している際、たまたま誰からも閲覧されていなかったとしても「公然」に当たりますし、閲覧されいたとすればなおさら「公然」に当たるでしょう。
次に、「わいせつな行為」とは、行為者又はその他の物の性欲を刺激興奮又は満足させる動作であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するもの、とされており、全裸となる行為はもちろん、自らの下半身を露出する行為や、性交渉を見せつける行為などもこれにあたると考えられます。

~勾留前に釈放~

警察に逮捕され、身柄拘束を継続する必要があると判断された場合、その後検察庁へ送致される(送検)手続きが取られます。
ところが、警察の判断でこの送検前に釈放されることもしばしばあります。

そもそも、身柄拘束されるのは、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがあるからです。そこで、これらの事情が認められない場合は身柄を拘束することはできず直ちに身柄を釈放しなければなりません。

現行犯逮捕の場合は、本件のように見ず知らずの第三者に現認されていることが多いでしょう。したがって、被疑者が罪証隠滅行為を図る客観的可能性は低いと考えられます。
また、定職に就いている、適切な監督者がいる、ご家族と同居している、前科前歴がない(初犯である)、監護・介護を要する方がいるなどの事情が認められる場合には逃亡のおそれがないと判断されやすいでしょう。

~釈放されると弁護士は選任されない~

勾留前の注意点は、弁護士が選任されないという点です。
国選弁護人は勾留後にしか選任されないからです。

勾留前に釈放され、刑事弁護が必要な場合は私選弁護人を選任する必要があります。
釈放された時点でおとがめなしと確定したわけではありません。不起訴獲得を目指す場合は被害者と示談する必要がありますが、公然わいせつの加害者と直接示談交渉する被害者はいません。
また、連絡先をしらないことがほとんどで、その場合、捜査機関から連絡先を入手する必要がありますが、捜査機関が加害者に被害者の連絡先を教えることはありません。
そのため、示談、不起訴獲得を目指す場合は私選弁護人を選任する必要性が高いです。

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