盗撮(盗撮罪と迷惑防止条例違反)

迷惑防止条例違反(愛知県)の場合の法定刑は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金です(愛知県迷惑防止条例第16条第1項、第2条第2項第2号)。

ただし、常習として盗撮行為を行っていた場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります(愛知県迷惑防止条例第16条第2項、第2条第2項第2号)。

 

盗撮事件の解説

1 盗撮事件で問題となる犯罪

盗撮は、今までは各都道府県の迷惑防止条例によって規制されていました。

しかし、令和5年に「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(以下、「盗撮行為等処罰法」)が成立、施行されました。

これは、盗撮を全国一律で取り締まる法律であり、法定刑も迷惑防止条例違反と比してもかなり重くなっています。

第2条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。

一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくはこう門若しくはこれらの周辺部、でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
三 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
四 正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は13歳以上16歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
2 前項の罪の未遂は、罰する。
3 前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。
 
これが、いわゆる撮影罪(盗撮罪)に関する条文です。
下着等を撮影した場合には、3年以下の拘禁刑(懲役)又は300万円以下の罰金となります。
 
また、盗撮行為等処罰法は、盗撮行為だけではなく、盗撮動画像の「提供」、「保管」、「送信」、「記録」もそれぞれ処罰対象になっています。

18歳未満の児童を盗撮した場合には、児童ポルノ禁止法違反となる可能性があります。

 

2 盗撮(盗撮行為等処罰法違反、迷惑防止条例違反)について

⑴ 場所による限定
盗撮行為として迷惑防止条例違反となる場合には、一般的に「公共の場所又は公共の乗物において」、盗撮行為がなされなければなりません。
なお、「公共の場所又は公共の乗物において」とは、不特定又は多数の人が出入りしうる場所又は乗物をいいます。

一方で、盗撮行為等処罰法違反となる場合には、「人が通常衣服を着けている場所」ですので、迷惑防止条例違反よりも広くなっています。

⑵ 禁止される行為について
各地方自治体の迷惑防止条例では、一般的に、正当な理由なく、人に不安を覚えさせるような方法で、衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること、などを禁止しています。

 

盗撮事件の対応

1 無罪を主張する場合

身に覚えがないにも関わらず、盗撮、のぞきの容疑を掛けられてしまった場合には、弁護士を通じて、警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対してその旨主張することで、不起訴又は無罪を獲得する余地があります。

身に覚えのない盗撮、のぞきの容疑をかけられた場合には、アリバイや真犯人の存在を示す証拠を提出することで、盗撮、のぞき行為を立証する十分な証拠がないことなどを主張していきます。

もっとも、アリバイの主張・証明にはポイントがあるところ、効果的な主張・証明を行っていくことは、一般の方には困難と思われます。

この点、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、盗撮、のぞき事件など刑罰(刑事責任)が問題になる刑事事件・少年事件を取り扱っており、盗撮、のぞき事件の刑事弁護実績が豊富な弁護士が多数在籍しておりますので、適切なアドバイスをすることにより、不起訴・無罪を獲得するためのサポートをさせていただきます。

 

2 罪を認める場合

⑴ 謝罪、示談
被害者感情が重要視される昨今、盗撮、のぞき事件においても、被害者の方と示談することは、重要な弁護活動です。

警察に被害届が提出される前であれば、被害届の提出を阻止し、警察の介入を阻止して事件化を防ぐことができます。

警察に被害届が提出されてしまった後であっても、盗撮、のぞき事件においては、示談をすることによって、不起訴を獲得する可能性を高めることができます。

盗撮、のぞき事件では、被害弁償や示談の有無及び被害者の処罰感情が行為者の処分に大きく影響することになるので、弁護士を介して迅速で納得のいく示談をすることが重要です。

また、示談をすることで行為者が釈放される可能性もありますので、示談によって行為者の早期の学校復帰・社会復帰を目指すことができます

 

⑵ カウンセリング等を受ける
盗撮、のぞき事件の加害者のなかには、その背景に自己の性的衝動に対するコントロールに関し、何らかの問題を抱えている場合が多く、そのような場合には、専門家による治療が必要となります。

カウンセリングを受けたり、クリニックに通うことによって、問題を根本から改善する必要があります。

 

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