性犯罪の上告

性犯罪・わいせつ事件での上告とは

性犯罪・わいせつ事件で裁判にかけられ、地方裁判所・高等裁判所で審理を行い判決が下されたものの、高等裁判所(第二審)の判決にも不服がある場合には、さらに上級裁判所である最高裁判所に対し、「上告」を行っていくことになります。

上告審は、第二審同様、前審で下された判決の内容を事後的に審査するものです。

今回の性犯罪・わいせつ事件について、再び最初から審理をやり直すというものではありません。

また、上告審は「法律審」であり、違憲審査・法令解釈の統一がその役割とされています。

そのため、今回の性犯罪・わいせつ事件について、事実関係についての新たな証拠調べを行うことは基本的にありません。

 

上告の手続き

まず、控訴審で判決が言い渡された後、14日以内に上告の提起を行う必要があります。

その後、裁判所から「上告趣意書」の提出期限が指定されます。

その期限までに、上告理由を記載した上告趣意書を裁判所に提出することになります。

上告審は、純粋な「法律審」であり、事実関係について新たに証拠調べを行うことは基本的にありません。

第一審・第二審までの訴訟記録に対する書面審理に終始することになります。

実際に法廷で公判を開くのも、重大事件や、第二審判決が覆る可能性のある場合等に限られます。

ほとんどの事件では、法廷での公判も開かれず、書面のみをもって判断が下されます。

 

上告の理由

①憲法違反

第二審の訴訟手続・判決内容が憲法に違反している場合です。

 

②憲法解釈の誤り

第二審が示した憲法解釈に誤りがある場合です。

 

③判例違反

第二審が、最高裁判所の判例と相反する判断をした場合、最高裁判所の判例がない場合には、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又は刑訴法施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をした場合です。

 

④最高裁判所の裁量による職権破棄を求める

ⅰ判決に影響を及ぼすべき法令違反があること
ⅱ刑の量定が甚だしく不当であること
ⅲ判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認があること
ⅳ再審事由があること
ⅴ判決があった後に刑の廃止・変更又は大赦があったこと

これらⅰからⅴのいずれかの事由があり、第二審の判決を破棄しなければ「著しく正義に反する」と認められる場合に、最高裁判所が職権で第二審判決を破棄することができます。

これらについては、それ単体で上告理由になるものではありません。

①から③に該当する主張と併せて主張することで、最高裁判所の職権発動の可能性が出てくるというものです。

ただ、実際に上告審で原審が破棄される場合としては、この職権発動による場合が多くなっています。

 

上告審での判決

①上告棄却決定

上告の申立てに形式上の不備がある場合など、上告が不適法であることが明らかな場合は、「決定」で上告が棄却されます。

 

②上告棄却判決

上告趣意書の中で、法律上定められた上告理由に該当する主張がなされている場合でも、それが認められないことが明らかな場合に、「判決」で上告が棄却されます。

法廷における弁論を開かずに棄却判決が下されることが非常に多いです。

 

③原判決破棄

法律上定められた上告理由が存在すると認められた場合、それが判決に影響を及ぼさないことが明らかと言える場合を除いて、原判決破棄の判決が下されます。

また、法定の上告事由は認められないが、裁量上告の事由が認められ、かつ原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると判断された場合にも、判決で原判決が破棄されることがあります。

ⅰ差し戻し
原判決を破棄した上で、再度下級審において審理をやり直させるというものです。
事実関係についての審理や証拠調べについては、基本的に最高裁判所では行いません。
そうした追加の審理が必要な場合には、原判決を破棄した上で、再度下級審に事件を差し戻します。

ⅱ自判
法律審である最高裁判所においても充分に最終結論まで言い渡すことができるとなった場合には、原判決を破棄した上で、最高裁判所自らが最終判決を下します。極めて稀なケースではあります。

 

上告審における弁護活動

①上告申立書の提出

第二審で判決が言い渡された後、14日以内に「上告申立書」を原審裁判所に提出します。

 

②上告趣意書の提出

上告申立書を提出した後、裁判所から「上告趣意書」の提出期限が指定されます。

その期限内に、上告の理由があることを説得的に論じた上告趣意書を提出することになります。

上告審は基本的に書面審理の世界です。

この上告趣意書が勝負となります。

上告審での弁護を請け負った弁護士としては、第一審・第二審の記録を全て精査し、被告人本人との綿密な打ち合わせを行い、この上告趣意書の内容を充実させていくことになります。

 

③再保釈

原審において実刑判決が言い渡されている場合、原審段階で保釈されていたとしても、原審判決後しばらくすると再度身体拘束が始まることになります。

上告審段階で再び身体解放を行うためには、再度保釈請求を行う必要があります。

第一審・第二審段階同様、弁護士を通じて裁判所に保釈の請求を行います。

 

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、第一審段階からご依頼を頂いて活動している事件のみならず、控訴審・上告審段階から新たにご依頼を受けて弁護活動を行っているケースもあります。

第一審・第二審の判決に不満があるという方は、ぜひ一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

 

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