児童福祉法違反

児童に対して、淫行させる行為をした場合の法定刑は、10年以下の懲役又は300万円以下の罰金です(児童福祉法第60条第1項、第34条第1項第6号)。

満15歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為をした場合の法定刑は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金です(児童福祉法第60条第1項、第34条第1項第5号)

 

児童福祉法違反事件の解説

1 児童福祉法とは

児童福祉法とは、児童の出生・育成が健やかであり、かつその生活が保障愛護されることを理念とし、児童保護のための禁止行為や児童福祉司・児童相談所・児童福祉施設などの諸制度について定めた法律です。

なお、児童とは、満18歳未満の者と定義されています。

 

2 児童福祉法により罰則の対象となる行為について

⑴ 児童に淫行させる行為について
淫行とは、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等の心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうとされています
淫行させる行為とは、児童に淫行を強制する行為のみならず、児童に対し、直接であると間接であると物的であると精神的であるとを問わず、事実上の影響力を及ぼして児童が淫行することに原因を与え、あるいはこれを助長する行為をも包含するものといわれています。

⑵ その他
児童福祉法違反において、処罰対象として規定されているその他の行為としては、満15歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為や、公衆の娯楽を目的として、満15歳に満たない児童にかるわざ又は曲馬をさせる行為などがあります。

 

3 相手方が18歳未満であると知らなかった場合

相手方が18歳未満であると知らなかった場合であっても、児童福祉法違反となる可能性があることに注意が必要です。

すなわち、児童福祉法は、「児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、前3項の規定による処罰(児童にいん行させる行為等に関する処罰)を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。」と定められていることから、相手方が18歳未満であると知らなかったからといって、処罰を免れることはできません。

児童福祉法違反による処罰を免れるためには、18歳未満であると知らなかったことにつき過失がなかったことまで必要となります。

 

4 児童福祉法違反事件の流れ(令和3年度検察統計年報参照)

刑事事件として処理された児童福祉法違反事件のうち、行為者が逮捕されたケースは約68%です。

また、逮捕された場合の勾留率は100%と高く、勾留延長される場合も約90%と高いことから、逮捕された場合の身柄拘束は長期化する傾向があるといえます。

 

児童福祉法違反事件の対応

1 無罪を主張する場合

児童(18歳未満の者)に該当しないと思ったことにつき過失がないにも関わらず、児童福祉法違反事件の容疑を掛けられてしまった場合には、弁護士を通じて、警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対してその旨主張することで、不起訴又は無罪を獲得する余地があります。

児童に該当しないと思ったことを主張する場合には、そのような状況であったことを推認できる客観的な証拠、事情を捜査機関に主張していくこととなります。

もっとも、このような主張・証明にはポイントがあるところ、効果的な主張・証明を行っていくことは、一般の方には困難と思われます。

この点、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、児童福祉法違反事件など刑罰(刑事責任)が問題になる刑事事件・少年事件を取り扱っており、児童福祉法違反事件の刑事弁護実績が豊富な弁護士が多数在籍しておりますので、適切なアドバイスをすることにより、不起訴・無罪を獲得するためのサポートをさせていただきます。

 

2 罪を認める場合

⑴ 謝罪、示談
児童福祉法は、特定の被害者を想定したものではなく、社会一般の児童を保護するためのものであることから、特定の被害者を観念できないものの、当該行為の相手方を実質的な被害者と観念することができます。

そこで、被害者感情が重要視される昨今、児童福祉法違反事件においても、実質的な被害者の方と示談することは、重要な弁護活動です。

警察に被害届が提出される前であれば、被害届の提出を阻止し、警察の介入を阻止して事件化を防ぐことができます。

警察に被害届が提出されてしまった後であっても、児童福祉法違反事件においては、示談をすることによって、不起訴を獲得する可能性を高めることができます。

児童福祉法違反事件では、被害弁償や示談の有無及び被害者の処罰感情が行為者の処分に大きく影響することになるので、弁護士を介して迅速で納得のいく示談をすることが重要です。

また、示談をすることで行為者が釈放される可能性もありますので、示談によって行為者の早期の学校復帰・社会復帰を目指すことができます

 

⑵ カウンセリング等を受ける
児童福祉法違反事件の加害者のなかには、その背景に自己の性的衝動に対するコントロールに関し、何らかの問題を抱えている場合が多く、そのような場合には、専門家による治療が必要となります。

カウンセリングを受けたり、クリニックに通うことによって、問題を根本から改善する必要があります。

 

⑶ しょく罪寄付
児童に淫行をさせる行為等により、不当な利益を得ていた場合には、そのような利益を贖罪寄付により吐き出すことで、行為者の反省を示すことができます。

 

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